昨年10月、IBF王者テオフィモ・ロペスは時期尚早と圧倒的不利予想を跳ね返してワシル・ロマチェンコを大番狂わせで破りました。

The Takeoverは、ウクライナのハイテクが保持するWBA・WBO、WBCフランチャイズのピースを吸収。WBCフランチャイズは防衛義務のない〝名誉王座〟、つまりWBCの正統王座ではないため、テオフィモがUndisputed Championになるには、WBC正統王者デビン・ヘイニーが腰に巻くベルトが必要になるはずでした。

しかし、WBCのマウリシオ・スライマン会長は「フランチャイズこそが最上位で正統のベルト」と語ります。「承認団体の会長が明言したのだから、フランチャイズがWBCの本物タイトル」という理屈は一見正しいように思われますが、これを認めてしまうといくらでも〝後出し正統王座〟が生まれることになります。

ESPNやリング誌などはフランチャイズをWBCの正統王座とは認めていません。

それでも、テオフィモが大きな興行が打てる未来のスーパースター候補であることは間違いありません。

24歳のテイフィモが33歳のハイテクを押し切って勝利を収めた時、すぐ先の未来にビッグファイトがいくつも待ち構えていると思われました。

ヘイニーにガーボンタ・デービス、ライアン・ガルシア、さらにはロマチェンコとの再戦…ライト級という文字どおりの軽量級、欧米では見過ごされることの多い階級でも、人気の高いライバルが揃っているのです。

ボクシングファンが期待を膨らませるライト級ウォーズが火蓋を切る、その肩慣らしと考えられたIBFの指名試合(ジョージ・カンボソス戦)は、競争入札、メイウェザーの茶番劇とのバッティング、テオフィモのコロナ感染など紆余曲折の末に、今日まで持ち越されてしまいます。

興行は、トップランク&ESPNに入札で圧勝したトリラーが執り行うはずでしたが、入札金額(601万8000ドルでビジネスを進めることに頓挫、マッチルーム&DAZNに興行権が移りました。

トリラーは、度重なる試合延期によって会場や人員のキャンセル料だけで500万ドル以上を失った

「31年間、ボクシング興行の世界にどっぷりつかっているが、ここまでもつれたジェットコースターのような試合は記憶にない」(カンボソスのプロモーター:ルゥ・ディベラ)。

複雑な思惑がいくつも交錯した「テオフィモvsカンボソス」でしたが、突き詰めるとカネです。

ロマチェンコ戦でキャリアハイの135万ドルを獲得したテオフィモは、カンボソス戦でトップランクが「これ以上は出せない」と提示した125万ドルに不満を爆発、プロモーター同士ではなく、プロモーターと傘下選手の確執という異例の事態から入札に持ち込まれたのです。

ロマチェンコ戦から400日も経っていました。

没落一途のトップランクは、テオフィモとの関係修復に躍起になっており、来年はビッグファイトをESPNがPPVに乗せる計画も進んでいると言われています。

「PPVなら人気がそのまま反映される。販売件数を稼げば、500万ドルでも1000万ドルでも、それこそ1億ドルも夢じゃない」(ボブ・アラム)。

トップランクにとって不倶戴天の敵、マッチルームがテオフィモをプロモートするのは「今回が最初で最後」とアラムは言いますが、テオフィモ陣営の不信感は完全に拭えていません。


もうすぐ開始ゴングが打ち鳴らされる防衛戦のオッズは、テオフィモ1/8(1.13倍)、カンボソス13/2(7.5倍)。

リング誌+3団体王者が圧倒的有利と見られていますが…。