オリジナル8の時代(〜1960年代初め)は「ヘビー級とそれ以外」の時代でした。

それでも、世界に8人しか王者が存在しなかった時代です。

一つの興行で世界戦をいくつも盛り込むなんてことは出来っこない時代です。

それが今や、複数の世界戦が盛り込まれる興行は珍しくありません。

米国でほとんど関心が払われないジュニアフェザー級以下の世界戦が、最も注目を浴びるのはSHOWTIMEやESPNのPPVや、圧倒的な資金力を持つDAZNやトリラーが手がけるメガファイトのアンダーカードかもしれません。

下手にメイン興行するよりも、興行規模の分母が桁違いのメガファイトの前座の方が報酬もはるかに高いのが現実です。

メキシカンとはいえ人気などあるはずもないバンタム〜ジュニアフェザーで戦ってきたルイス・ネリは、メガファイトの〝金魚の糞〟として、ファン・フランシスコ・エストラーダをはるかに凌駕する報酬を手にしてきました。

〝金魚の糞〟にあやかるためには、マニー・パッキャオやカネロ・アルバレスなど超ビッグネームの陣営に囲い込まれるのが手っ取り早いのですが、それを繰り返すことは「軽量級のプライド」にとっては諸刃の剣です。

世界王者になっても10万ドル以下の報酬が珍しくない貧困な超軽量級で、金魚の糞になることで、ときには30万ドルも稼ぐことができます。しょぼいメイン興行では、プロモーターが赤字覚悟で無いと捻出できない金額です。

その一方で〝金魚の糞〟ではボクシングファンの「超軽量級=メガファイトのオマケ」という印象がより一層強くなってしまうのは当然です。

西岡利晃や井上尚弥の「MGMメインで100万ドル」のカラクリは、もはや誰もが気付いているでしょう。

彼らを〝そこ〟に駆り立ててしまったのは「超軽量級でも注目される」という誤解からでした。

もっと本質的に言うと「大好きな西岡や井上もイチローや松山英樹のように米国スポーツシーンで大きく取り上げれれて欲しい」という願望が歪んで「取り上げられるはず」「取り上げられるに違いない」「バンタムでもラスベガスで20億円」という、浅はかな幻覚を見てしまったのです。

こすした妄想・幻覚は井上信者の中からだけ自然発生したのではありません。もしかしたら、幻覚を煽るような記事がネットに跋扈したことの方が主犯かもしれません。
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「リングマガジンのPFP2位、これはとんでもない偉業です。テニスやサッカーに置き換えるとわかりやすいでしょう」…リング誌の熱烈な愛読者として、摩訶不思議な詭弁が弄されるのは怒りを通り越して恥ずかしくなります。そんな大層な雑誌ちゃうでしょ、と。


ボブ・アラムが「イノウエはパッキャオになれる」と語るのをそのまま受けて垂れ流すのではなく、まともなメディアなら「フライ級やバンタム級の選手が米国で商業的に天下を取るの不可能」という背景をまず説明すべきです。


そして「一般のボクシングファンには馴染みがなくても全米ボクシング記者協会の年間最高選手賞(シュガー・レイ・ロビンソン杯)が専門家評価の最高。PFPには実体は無い」「この賞はフェザー級のカール・フランプトンやジュニアフェザー級のノニト・ドネアも獲得、PFPよりははるかに権威も認知度もあって井上に手が届く可能性がある最高地点」という説明が必要です。

2019年のPFP1位は誰?そんな質問に誰が答えられますが?

金魚の糞に甘んじることのなかった、軽量級が尊敬された時代のビッグファイト、ザ・ベスト10を振り返ります。