米国ボクシングの凋落から、ボクシングから撤退してしまったHBO。

毎年削減される一方のボクシング予算。

この予算を使わずにメガファイトを打てるPPVはマニー・パッキャオやカネロ・アルバレスという文字通りの〝ドル箱〟スターを抱えていたとはいえ、彼らは2人合わせても年4試合やるかやらないかの特別すぎる存在です。

次年度の予算編成に関わる通常プログラム(World Championship Boxing=上位プログラム=とBoxing after dark=下位プログラム=)の視聴者数は不振を極め続けました。

ヘビー級やウェルター級の高額報酬が支払えない状況の中で、HBOはコスパの高いイベントを求めて「人気はないけどとにかく強い」ゲンナディ・ゴロフキンと契約。

2015年5月にはGGGとの抱きわせとはいえ「誰も知らないけどとにかく優れている」ローマン・ゴンザレスとも契約しました。軽量級の試合を天下のHBOが放映するのは実に20年ぶりという大異変でした。

そして、ボクシング事業の生き残りをかけてBoxing after darkに新企画を投入します。

なんと、ウェルター級やヘビー級のスター選手1人の報酬にも満たない100万ドル前後で賄える破格のコスパを誇る軽量級を中心としたイベント、THE SUPERFLY です。
Weight-Classes_90_
第1回は2017年9月9日、 カリフォルニア州カーソン、スタハブセンター。

そして、この試合にはもう1つの仕掛けも隠されていました。日本からの放映権料です。

WBOジュニアバンタム級王者として参戦した井上尚弥のファイトマネーは、この放映権料が反映されてロマゴンの60万ドルに次ぐ18万2500ドル。

それでも、陣営の渡航費や宿泊費などの経費を考えるまでもなく、日本で試合していた方が多い金額です。もちろん、日本側からさらに補填されて、井上の最終取り分は40万ドルと倍以上になりましたが。

日本のボクシングファンの目からは「ロマゴンも含めてもっと高い報酬でいいだろう」と映ったかもしれませんが「米国で全く人気のないロマゴンに60万ドルは高すぎる。こんなことをやり出したHBOは間違いなくボクシング事業から撤退する」というのが常識的な見方です。

HBOには「どうせ全体経費でも100万ドル、損してもたいした金額じゃない。それよりもアジアの富裕国、日本やタイからもっと太い放映権料が引っ張り込めたら」という〝ナジーム・ハメドの夢よもう一度〟の皮算用があったのかもしれません。

ロマゴンとの再戦が用意されたシーサケットの17万ドルも破格、人気・認知のない軽量級ですから、本来なら同じイベントで激突したファン・フランシスコ・エストラーダやカルロス・クアドラスの6万5000ドルの線が妥当でした。

THE SUPERFLYは最後の第3回に井岡一翔も登場。HBOのボクシング予算が完全に枯渇化した時期とはいえ、日本からのスポンサードも弱い井岡に用意された報酬はわずか2万5000ドルに過ぎませんでした。

前置きが長くなりました。
IMG_5104
HBOは斃れても、THE SUPERFLYの決着は付いていません。

現在、このクラスのFive Kingsは、リング誌王者のファン・フランシスコ・エストラーダ、PFPキングのローマン・ゴンザレス、そしてこの2人から勝利を収めているシーサケット・ソールンビサイ、8連続防衛中のジェルウィン・アンカハス、そして我らが井岡!

エストラーダと井岡がPFPファイター、ロマゴンとシーサケットも元PFPと世界的に非常に評価が高い4人に、このクラスの番人的存在のアンカハスーー軽量級とは思えないタレントが威並ぶ超豪華なリストです。

さて、HBOの忘れ形見THE SUPERFLY、誰がその頂点を極めるのか?