どこへ越しても住みにくいと悟ったとき、詩が生れて、絵ができる。(夏目漱石「草枕」)。
カネロ・アルバレスの次戦が紆余曲折の末に12月19日、テキサスでカラム・スミスとのスーパーミドル級WBA団体統一戦で決定しました。
生中継するのは、カネロと訴訟に発展しているDAZN。そこしか落とし所がないのはわかってはいましたが、いやはやさすがボクシング、「昨日の敵は今日の友」なんて生易しい世界じゃありません。
それにつけても魑魅魍魎の魔宮、です。
直近1ヶ月だけを振り返っても、この魔宮では異常な事件がいくつも起きています。
いえいえ、魑魅魍魎の魔宮で「異常な事件」など起きるわけがありません、訂正します。
というわけで、ボクシング界でつい最近起きた普通の日常を三つだけご紹介させて頂きます。
「ヘビー級の大型化による不公平が拡大している」という大義名分と「ライトヘビーとクルーザー、ヘビーの3階級を軽量のように(階級制覇を容易にして)活性化させたい」という錯乱的思考回路から生み出されたのが、224ポンド級が=ブリッジャーです。
キリの良い225ポンドではなく224にしたのはストーン単位を意識したからでしょう。
ちなみに224ポンド=ブリッジャー級は16ストーン、8ストーン=フライ級のちょうど2倍です…どうでもいいですね。
王座と階級の量産は、ボクシングの価値を貶め、マイナースポーツに追いやったA級戦犯です。
一方で、ヘビー級の大型化がクルーザー級との間に、階級スポーツの大前提である大きな格差を広げ続けていることも事実です。
個人的な考えでは、ヘビー級は「最も重い〝クラス〟」ではありません。
ヘビー級を「階級シールドに守られた、残りの16階級とは全く別のスポーツ」と考えているといっても良いかもしれません。
ヘビー級は「小さな体を弱さの言い訳に卑屈に細分化されたシェルターに避難して身を縮こませている臆病者」とは全く違う人種なのです。
そうは言っても「クルーザーでは軽すぎる、ヘビーでは重すぎるから新しい階級のシールドで守られたい」と慈悲を乞うボクサーの声や「人気がないくせに細分化されている軽量級はおかしい」という欧米のボクシングファンの主張は、一理あります。
「新設階級に大義名分があるなら、無意味に細分化された軽量級の一つを廃級にする〝司法取引〟で、17階級上限を維持する」など暴力的な意見も飛び交っていますが、それをやっちゃうと王座の再編成トーナメントが実行されることになり、大きな混乱が生じるのは必至です。
すでにジュニア階級のアイドルに耽溺してきた私たちにとっても、リカルド・ロペスのストロー級やカオサイ・ギャラクシーのジュニアバンタム級が消滅することを素直に受け入れるのは、非常に難しい作業です。
でも、そんな心配は杞憂、なにしろ魔宮では「新設あっても廃級なし」というのが絶対の戒律なのですから。
歌舞伎座の地下売店フロアまでもがクリスマスモードです。
🎲🎲🎲🎲🎲🎲🎲
カネロ・アルバレスの次戦が紆余曲折の末に12月19日、テキサスでカラム・スミスとのスーパーミドル級WBA団体統一戦で決定しました。
生中継するのは、カネロと訴訟に発展しているDAZN。そこしか落とし所がないのはわかってはいましたが、いやはやさすがボクシング、「昨日の敵は今日の友」なんて生易しい世界じゃありません。
それにつけても魑魅魍魎の魔宮、です。
直近1ヶ月だけを振り返っても、この魔宮では異常な事件がいくつも起きています。
いえいえ、魑魅魍魎の魔宮で「異常な事件」など起きるわけがありません、訂正します。
というわけで、ボクシング界でつい最近起きた普通の日常を三つだけご紹介させて頂きます。
◀︎日常茶飯事①WBCが18番目のクラス「ブリッジャー級」を新設▶︎
「ヘビー級の大型化による不公平が拡大している」という大義名分と「ライトヘビーとクルーザー、ヘビーの3階級を軽量のように(階級制覇を容易にして)活性化させたい」という錯乱的思考回路から生み出されたのが、224ポンド級が=ブリッジャーです。
キリの良い225ポンドではなく224にしたのはストーン単位を意識したからでしょう。
ちなみに224ポンド=ブリッジャー級は16ストーン、8ストーン=フライ級のちょうど2倍です…どうでもいいですね。
王座と階級の量産は、ボクシングの価値を貶め、マイナースポーツに追いやったA級戦犯です。
一方で、ヘビー級の大型化がクルーザー級との間に、階級スポーツの大前提である大きな格差を広げ続けていることも事実です。
個人的な考えでは、ヘビー級は「最も重い〝クラス〟」ではありません。
ヘビー級を「階級シールドに守られた、残りの16階級とは全く別のスポーツ」と考えているといっても良いかもしれません。
ヘビー級は「小さな体を弱さの言い訳に卑屈に細分化されたシェルターに避難して身を縮こませている臆病者」とは全く違う人種なのです。
そうは言っても「クルーザーでは軽すぎる、ヘビーでは重すぎるから新しい階級のシールドで守られたい」と慈悲を乞うボクサーの声や「人気がないくせに細分化されている軽量級はおかしい」という欧米のボクシングファンの主張は、一理あります。
「新設階級に大義名分があるなら、無意味に細分化された軽量級の一つを廃級にする〝司法取引〟で、17階級上限を維持する」など暴力的な意見も飛び交っていますが、それをやっちゃうと王座の再編成トーナメントが実行されることになり、大きな混乱が生じるのは必至です。
すでにジュニア階級のアイドルに耽溺してきた私たちにとっても、リカルド・ロペスのストロー級やカオサイ・ギャラクシーのジュニアバンタム級が消滅することを素直に受け入れるのは、非常に難しい作業です。
でも、そんな心配は杞憂、なにしろ魔宮では「新設あっても廃級なし」というのが絶対の戒律なのですから。
◀︎日常茶飯事②ファントム・ヘッドバット〜エビデンス無きビデオ裁定▶︎
議論を呼ぶ判定が下った初戦の決着をつけるはずだった「ジョシュア・フランコvsアンドリュー・マロニー」のダイレクトリマッチ。
"the contestant is not competing honestly, or is intentionally not competing to the best of his or her ability."
今度こそスッキリした結末が期待されましたが、初戦とは次元の異なるカオスな判定がなされてしまいました。
ビデオ判定の導入によって全ての判定がクリアになるわけではありません。
ヘッドバットがあったことは確認できても、それが「偶然」だったのか、それとも「故意」だったのかは非常に微妙なケースが多々あります。
あるいは「アンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフ2」のように、ローブローがフィニッシュパンチとなったケースをどう判定するのか?
一連の流れのアドバンテージをとってウォードの勝利にするのか、それとも厳密に「ローブロー=反則」 を適応して失格負けにするのか。
ビデオ判定導入でも議論を呼ぶ判定が無くなるわけがありません。
しかし、これまでファンが納得の出来なかった判定を、ビデオという揺るがぬ正義で正すケースも増えるでしょう。
しかし、すでに書きましたがネバダ州アスレティック・コミッションは、大きな過ちを二つも犯してしまいました。
①ビデオ判定の証拠を提示しなかった②たった1ラウンド180秒の検証に約30分もの時間を費やした、という2点において,ファンのための「ビデオ判定」という原理原則を全く理解していないことをさらけ出したのです。
彼らは、身内をかばうギルド集団です。パックやメイのメガファイトで、メディアやファンの非難から逃れられないと諦めたときだけ、泣く泣く身内に処分を下すのです。
ビデオ検証の技術や経験不足以前の、あまりにもお粗末すぎる問題が、深い闇の底に横たわっているのです。
◀︎日常茶飯事③ fixed game 〜Aフローレスは倒されたのか,それとも演じたのか?▶︎
またまたファントム、幻の一撃です。今度は頭突きではなく、ちゃんとした拳…なのですがやはりヒットしていない幻のパンチでした。
11月7日、ロスアンゼルス、Microsoftシアター。
キューバのキングコング、ルイス・オルティスがアレキサンダー・フローレスを46秒でノックアウト。
フィニッシュはボディーにめり込ませた右フックでした…んがッ!!
右ボディーは空振り、そのスイングで二頭筋がフローレスの後頭部に当たってはいますが、ノックアウトされるような威力は感じられません。
試合を管轄したカリフォルニア州アスレティック・コミッションの責任者アンディ・フォスターは「八百長の疑いがある」として、フローレスの報酬8万ドルを凍結、調査に乗り出しました。
"the contestant is not competing honestly, or is intentionally not competing to the best of his or her ability."
近日中に特別聴聞会が開かれることになっています。
アーネスト・ヘミングウェイのFifty Grand や、映画「パルプフィクション」など、数え切れない創作の中でも「それ」が頻繁に登場するように、ボクシングと八百長は馴染みの薄い関係ではありません。
それにしても…。
🎲 🎲🎲🎲 🎲🎲 🎲
どこへ越しても住みにくいと悟ったとき、詩が生れて、絵ができる。(夏目漱石「草枕」)。
ボクシングに限らず、テニスやサッカーのようなメジャースポーツでも不条理な闇を抱えています。
私たちボクシングファンは、腐りきった魔宮の中でもリングの上だけは高潔で感動的な試合が繰り広げられることを知ってしまったのです。
「だったら、清濁併せ呑むしかない」と悟ったのです。
ボクシングの面白い試合の緊張を見てしまうと、他のスポーツの弛緩は退屈でなりません。
最近の試合だと、サンタクルスやブルックに「たかが1敗、また頑張れ!」なんて声援をかかることはできません。
たった一発のパンチでキャリアが終わるのが、ボクシングです。
清濁併せ呑んだボクシングの世界で詠まれる詩は、美しい韻を踏んでいるでしょうか。
その絵筆は、心躍らす色彩を描いているでしょうか。
どこへ越しても住みにくいと悟ったとき、詩が生れて、絵ができる。(夏目漱石「草枕」)。
ボクシングに限らず、テニスやサッカーのようなメジャースポーツでも不条理な闇を抱えています。
私たちボクシングファンは、腐りきった魔宮の中でもリングの上だけは高潔で感動的な試合が繰り広げられることを知ってしまったのです。
「だったら、清濁併せ呑むしかない」と悟ったのです。
ボクシングの面白い試合の緊張を見てしまうと、他のスポーツの弛緩は退屈でなりません。
最近の試合だと、サンタクルスやブルックに「たかが1敗、また頑張れ!」なんて声援をかかることはできません。
たった一発のパンチでキャリアが終わるのが、ボクシングです。
清濁併せ呑んだボクシングの世界で詠まれる詩は、美しい韻を踏んでいるでしょうか。
その絵筆は、心躍らす色彩を描いているでしょうか。


コメント