今日の「テレンス・クロフォードvsケル・ブルック」の試合後、ボブ・アラムもご機嫌でした。

「2021年の4月か5月にカタール開催で交渉を進めている。実は、この交渉はほぼ合意に達していたが、パンデミックの影響でカタールの保健省が介入、試合開催を認めなかったために頓挫してしまった」。

アラムもテレビカメラに向かって語っているというよりは、クロフォードに言い訳しているようにも見えました。

誰もが初耳でしたが、もちろん、この種の交渉ごとで途中経過を逐一公表するわけがありません。

クロフォードのトレーナーでマネージャーのブライアン〝ボーマック〟マッキンタイルは「アラムとトップランク社長のトッド・デュボフがパッキャオとスペンスとの交渉に努力しているのは知っている。プロモーターとテレビ局の障壁が大きいこともわかっている」と、メガファイトの扉が全く開く気配がないことに一定の理解を示す一方で「それでも、話し合いを進めているという話はもう沢山だ。進行中だという話は要らない。プロモーターなら交渉成立という結果を持って来るべき。それが彼らの仕事」と苛立ちも隠しません。

「PBCを率いるアル・ヘイモンがクロフォードを恐れている」と矛先をボクシング界の怪人に向け続けるアラムの言葉は間違ってはいませんが、プロモーターやテレビ局がメガファイトの障壁になってきたのは、いつものことです。

そして、アラムも50年以上のプロモーター人生で、さんざんそんな妨害行為に手を染めて来ました。

クロフォードはこれまで「トップランクとの契約はあと数ヶ月で切れる」と、契約更新をしないことも匂わせてきました。今週には「契約は2021年10月まで」と具体的な時期を明らかにし、あと1年近くもトップランクに縛られるとメガファイトは実現できないと不満をこぼしています。

マッキンタイルも「残りの契約期間がどうあれ、それは時間の問題。そのときが来たらトップランクに残留するのか、それともオファーが届いているPBCやマッチルームに移籍するのかを決めるだけ」と、〝そのとき〟までにトップランクがパッキャオかスペンス戦を成立できなければ契約更新はしない姿勢を鮮明にしています。

パッキャオ戦は、中東の富裕国が莫大なサイト・フィーを支払ってでも招致に乗り出す超弩級のメガファイト。プレミア階級で最強無敗にもかかわらず、全く人気のないクロフォードにとって米国はもちろん世界中のボクシングファンにアピールするまたとない機会です。

そして、この試合を決定的な形で終わらせようものなら、パキャオは引退、スーパースターのトーチがクロフォードの手に渡るのです。

パッキャオ戦が「人気とカネ」を両づかみできる〝白鯨〟なら、スペンス戦は「まともなウェルター級とは誰一人として戦っていない」という批判を一気に黙らせることができる「プライド」の〝白鯨〟です。

Spence is Crawford's white whale -- the fight that would secure him a place as one of the best fighters of his generation. But Crawford seems prepared for it not to happen.

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クロフォードは「私は内容のある3階級制覇を達成した。ウェルター級で強豪と戦えない理由は、私に全く責任がない」と、自身が成し遂げたレガシーに胸を張ります。

とはいえ、二頭の〝白鯨〟を射止めるかどうかで、ボクシングの歴史に大きな爪痕を残すのか、それともこの時代の優秀な王者の一人で終わるのか、大きな違いを生み出します。

そして、最も大切なことは、何よりも、この試合を私たちボクシングファンが見届けたい、という思いを募らせていることです。

プロモーターの仲が悪い?ライバル同士のテレビ局は握手できない?…ファンを置き去りにするボクシング界って存在価値はあるのか?