かつて米国ボクサーの夢はHBOのイベントでメインを務めることでした。

その遥か上には、PPVイベントがあります。

しかし、PPVはHBOとShowTimeが番組予算では報酬が捻出できないほんの一握りの超人気スターにだけ許されたリング、夢や目標にするにはあまりに狭き門でした。

ところが、今年になって状況は一変。

チャーロ兄弟やガーボンタ・デービス、レオ・サンタクルス、ワシル・ロマチェンコ、テオフィモ・ロペスといった〝PPV未満〟の人気しか無いタレントが続々とはれの舞台に上がっているのです。

「PPVスターの資格はあるか?」という一次テストの意味も多少はありますが、これはパンデミックによる無観客や観客入場制限でゲート収入が大打撃を受けたことによる特例措置です。
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↑「モハメド・アリvsジョージ・フォアマン」がクローズドサーキット生中継で上映される劇場に並ぶ人々。※これは映画の一場面です。



ほとんど全てのプロスポーツの収益源はゲート収入とテレビ放映権が基本です。

しかし、ボクシングの超メガファイトはテレビ放映権料に代わってPPVが大きな柱になり、さらにラスベガスなどで開催する場合は招致フィーも無視できない収益になっています。

クローズドサーキットからPPVへ。

ときには日本円で100億円を超えるファイトマネーを生み出すこともある、人気階級のほんの一部のスーパースターでしか享受出来ないハレの舞台がPPVです。

一方で、PPVを支えるのは100ドル近い視聴料を支払うコアなマニアで、この閉鎖的なシステムがボクシングを大衆スポーツの座から引き摺り下ろした原因の一つであることは間違いありません。

地上波でオンエアされ全米のどこにいても誰もがボクシングを楽しめる、そんな時代は実はとっくの昔、半世紀以上も前に終わっています。

今もPPVイベントではカジノや大都市圏で、規模は小さいものの展開されているクローズドサーキット。

主役はPPVにとって代わられたとはいえ、クローズドサーキットはシュガー・レイ・レナードの時代まではメガファイトを支え、個別に視聴料を取るというPPVと全く同じやり方です。

ボクシング興行のあり方がどう変遷して来たかを振り返りながら、この愛すべきスポーツの未来のあるべき姿を考えます。