軽量級世界王者が move up in weight、上の階級を目指す。
その動機には2種類あると前回、書きました。
一つ目は「減量の限界」。
かつては、長谷川穂積やノニト・ドネアのように「敗北を契機」に上を目指す(下に戻る)のがデフォルトでしたが、現在では井上尚弥のように負けたわけではないのに上を目指す「王座返上」型も増えてきました。
これは、世界王者の権威の失墜、レベル低下が進んでおることと、合わせ鏡です。
オリジナル8の時代でも世界王者になれたかもしれない井上レベルになると、現在の水増しされたクラスで世界王者になるだけではファンは満足できません…そして、それはおそらく本人も。
オリジナル8なら、バンタムにジュニアバンタムとジュニアフェザーの3階級を合わせるまではいかないまでも、相当に歯ごたえのあるクラスになります。
井上はIBFとWBAのピースをピックアップしましたが、その相手は試合ごとに評価が下がるエマヌエル・ロドリゲスに、誰が見てもとっくの昔にピークが過ぎたノニト・ドネアです。
そして、地雷を踏まなきゃ凡庸なジョンリール・カシメロ、どこからわいてきたかわからないノルディーヌ・ウバーリに勝てば The Undisputed Champion というのでは、バンタムは〝黄金〟どころか、全階級を通じて最もレベルの低いクラスといっても良いかもしれません。
ここまで3階級制覇している井上ですが「誰に勝ったのか」という、現代ボクシングの評価の根本質問に対しても、言葉に詰まるしかありません。
このブログでも何度も書いていますが、井上のわずか19戦の相手はリング誌やESPNで10傑が8人、デビュ−4戦目であたった田口良一はのちにフライ級の団体統一、リング誌王者にもなった文句無しの強豪です。
井上のキャリアで最も世界評価の高かったのは田口です。そして、次が〝数字だけ王者〟の典型オマール・ナルバエス?36歳のバンタム級出戻りバージョンのドネア?
19戦のボクサーの内申書としては十分すぎます。
しかし…現時点では「パッキャオの風景が見たい」ってどの口でほざいてんねん?ってレベルです。
井上は、少なくとも現時点では「減量の限界」とにらめっこしながら、恵まれない貧困バンタム級の可哀想なボクサーを屠っているだけです。
井上のmove up in weight には「より陽の当たる場所への脱出」という動機は、今のところ見つけることができません。
井上のmove up in weight の動機は、常に「自分中心」です。
減量がきついから上げる、以上。
もちろん、常識的には、それが当たり前です。
しかし「より陽の当たる場所への脱出」それしか考えていなかったパッキャオとは対照的です。
もちろん、井上とパッキャオでは立場が全く違います。
世界屈指の富裕国のスポンサードを受けて、日本でやるのがビジネスとしてベストなのに、注目度が極端に低い米国を志向するリッチ井上と、母国での大きな注目と報酬はありえないため、世界で勝負するしか道のなかった極貧パッキャオ。
「ラスベガスで戦いたい」といえば、その舞台が用意される井上。咬ませ犬としてラスベガスやテキサス、カリフォルニアに呼ばれたら二つ返事で馳せ参じるパッキャオ。
二人の境遇はあまりにも違いすぎます。
それでも、共通点を無理やり見つけるとしたら?
おそらく、井上がアンダードッグのリングに上がることはないでしょう。そして、今のパッキャオも(キース・サーマン戦は不利予想と思いましたがオッズは微妙ながら有利、ファン予想は圧倒的有利で拍子抜けしてしまいましたが)。
そこが共通点です。
そして、それでも。
その陳腐な予想を二人が覆してくれることを願ってやみません。
井上がフェザーやジュニアライトのビッグネームを相手に、不利予想のリングに上がる。
パッキャオがGGGやカネロと、自身の持つレコード「8階級制覇」を更新する 、9つ目のタイトルを狙う。
10ポンド以上のリバウンド・アドバンテージ に依拠する井上が、減量ストレスがほとんどないフェザーやジュニアライトで戦うとなると、強引なパワーは100%通用しません。「ドネアのフェザー挫折」以上の悲惨な結果しか待ち受けていないでしょう。
ただ、身体能力に大きく頼った「軽量級のロイ・ジョーンズ」といわれるドネアと、井上は少しスタイルが違います。
今のリバウンド・アドバンテージ に乗った勢いのある攻撃は、減量プロセスで世界最高峰の知見を持ち、様々な化学物質を駆使するビクター・コンテの処方を受けるドネアには通用しませんでした。
井上がフィジカルで圧倒できなかったのは、コンテと組んだドネアだけですが、上の階級ではそれ以上のフィジカル不利の前提で戦わなければなりません。
それでも、井上にはスタイルチェンジ、新しい引き出しを作る能力が、少なくともドネアよりはありそうです。
そして、パッキャオです。カネロやGGGなんてとんでもない、と思いますか?
カネロはアミール・カーンに5ラウンドまで苦戦(スコアは2−1)していました。
セルゲイ・コバレフを追いかけ回したカネロ、あれは巧みなウェイト条件で相手を弱らせた欺瞞です。その半年前にダニエル・ジェイコブスを持て余してダルゲームしか出来なかったのがカネロの正体です。
GGGはケル・ブルックに4ラウンドまでリードを許してしまいました。カネロとの2試合を見ても、鈍重なカザフ人がスピードに戸惑うことは明らかです。
カーンやブルックとはスピードの種類が全く違う、経験豊かで、トリッキーなフェイントを自在に操るパッキャオを、カネロやGGGは何ラウンドで捕まえることができますか?
あるいは、リードされるラウンドが深まり、焦ったミドル級が大きなミスを犯してカンバスに転がることなんてありえないでしょうか?
いずれにしても、move up in weight の二つの動機付け=アクセル。「減量の限界」と「栄光への脱出」。
どちらのアクセルを踏むボクサーを見てみたいですか?
という愚問で、タイトルにあがったバルデスらには一度も触れないままに、②はおしまい。
書いているうちに、全く違う話に逸れまくった、このお話はまままだ続きます
その動機には2種類あると前回、書きました。
一つ目は「減量の限界」。
かつては、長谷川穂積やノニト・ドネアのように「敗北を契機」に上を目指す(下に戻る)のがデフォルトでしたが、現在では井上尚弥のように負けたわけではないのに上を目指す「王座返上」型も増えてきました。
これは、世界王者の権威の失墜、レベル低下が進んでおることと、合わせ鏡です。
オリジナル8の時代でも世界王者になれたかもしれない井上レベルになると、現在の水増しされたクラスで世界王者になるだけではファンは満足できません…そして、それはおそらく本人も。
オリジナル8なら、バンタムにジュニアバンタムとジュニアフェザーの3階級を合わせるまではいかないまでも、相当に歯ごたえのあるクラスになります。
井上はIBFとWBAのピースをピックアップしましたが、その相手は試合ごとに評価が下がるエマヌエル・ロドリゲスに、誰が見てもとっくの昔にピークが過ぎたノニト・ドネアです。
そして、地雷を踏まなきゃ凡庸なジョンリール・カシメロ、どこからわいてきたかわからないノルディーヌ・ウバーリに勝てば The Undisputed Champion というのでは、バンタムは〝黄金〟どころか、全階級を通じて最もレベルの低いクラスといっても良いかもしれません。
ここまで3階級制覇している井上ですが「誰に勝ったのか」という、現代ボクシングの評価の根本質問に対しても、言葉に詰まるしかありません。
このブログでも何度も書いていますが、井上のわずか19戦の相手はリング誌やESPNで10傑が8人、デビュ−4戦目であたった田口良一はのちにフライ級の団体統一、リング誌王者にもなった文句無しの強豪です。
井上のキャリアで最も世界評価の高かったのは田口です。そして、次が〝数字だけ王者〟の典型オマール・ナルバエス?36歳のバンタム級出戻りバージョンのドネア?
19戦のボクサーの内申書としては十分すぎます。
しかし…現時点では「パッキャオの風景が見たい」ってどの口でほざいてんねん?ってレベルです。
井上は、少なくとも現時点では「減量の限界」とにらめっこしながら、恵まれない貧困バンタム級の可哀想なボクサーを屠っているだけです。
井上のmove up in weight には「より陽の当たる場所への脱出」という動機は、今のところ見つけることができません。
井上のmove up in weight の動機は、常に「自分中心」です。
減量がきついから上げる、以上。
もちろん、常識的には、それが当たり前です。
しかし「より陽の当たる場所への脱出」それしか考えていなかったパッキャオとは対照的です。
もちろん、井上とパッキャオでは立場が全く違います。
世界屈指の富裕国のスポンサードを受けて、日本でやるのがビジネスとしてベストなのに、注目度が極端に低い米国を志向するリッチ井上と、母国での大きな注目と報酬はありえないため、世界で勝負するしか道のなかった極貧パッキャオ。
「ラスベガスで戦いたい」といえば、その舞台が用意される井上。咬ませ犬としてラスベガスやテキサス、カリフォルニアに呼ばれたら二つ返事で馳せ参じるパッキャオ。
二人の境遇はあまりにも違いすぎます。
それでも、共通点を無理やり見つけるとしたら?
おそらく、井上がアンダードッグのリングに上がることはないでしょう。そして、今のパッキャオも(キース・サーマン戦は不利予想と思いましたがオッズは微妙ながら有利、ファン予想は圧倒的有利で拍子抜けしてしまいましたが)。
そこが共通点です。
そして、それでも。
その陳腐な予想を二人が覆してくれることを願ってやみません。
井上がフェザーやジュニアライトのビッグネームを相手に、不利予想のリングに上がる。
パッキャオがGGGやカネロと、自身の持つレコード「8階級制覇」を更新する 、9つ目のタイトルを狙う。
10ポンド以上のリバウンド・アドバンテージ に依拠する井上が、減量ストレスがほとんどないフェザーやジュニアライトで戦うとなると、強引なパワーは100%通用しません。「ドネアのフェザー挫折」以上の悲惨な結果しか待ち受けていないでしょう。
ただ、身体能力に大きく頼った「軽量級のロイ・ジョーンズ」といわれるドネアと、井上は少しスタイルが違います。
今のリバウンド・アドバンテージ に乗った勢いのある攻撃は、減量プロセスで世界最高峰の知見を持ち、様々な化学物質を駆使するビクター・コンテの処方を受けるドネアには通用しませんでした。
井上がフィジカルで圧倒できなかったのは、コンテと組んだドネアだけですが、上の階級ではそれ以上のフィジカル不利の前提で戦わなければなりません。
それでも、井上にはスタイルチェンジ、新しい引き出しを作る能力が、少なくともドネアよりはありそうです。
そして、パッキャオです。カネロやGGGなんてとんでもない、と思いますか?
カネロはアミール・カーンに5ラウンドまで苦戦(スコアは2−1)していました。
セルゲイ・コバレフを追いかけ回したカネロ、あれは巧みなウェイト条件で相手を弱らせた欺瞞です。その半年前にダニエル・ジェイコブスを持て余してダルゲームしか出来なかったのがカネロの正体です。
GGGはケル・ブルックに4ラウンドまでリードを許してしまいました。カネロとの2試合を見ても、鈍重なカザフ人がスピードに戸惑うことは明らかです。
カーンやブルックとはスピードの種類が全く違う、経験豊かで、トリッキーなフェイントを自在に操るパッキャオを、カネロやGGGは何ラウンドで捕まえることができますか?
あるいは、リードされるラウンドが深まり、焦ったミドル級が大きなミスを犯してカンバスに転がることなんてありえないでしょうか?
いずれにしても、move up in weight の二つの動機付け=アクセル。「減量の限界」と「栄光への脱出」。
どちらのアクセルを踏むボクサーを見てみたいですか?
という愚問で、タイトルにあがったバルデスらには一度も触れないままに、②はおしまい。
書いているうちに、全く違う話に逸れまくった、このお話はまままだ続きます


コメント
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フシ穴の眼
が
しました