フロイド・メイウェザーは大袈裟ではなく、人類史上最高のセルフ・プロデューサーです。
 
好感よりも嫌悪の方が大きなエネルギーになる、という「人気の力学」に気付くと、1ミリの隙もない誰からも嫌悪されるキャラクターを作り上げました。

〝死刑執行人〟を名乗りながらボランティアやチャリティ活動に励むパーナード・ホプキンスを「何も分かっちゃいない」と斬り捨てた、その言葉の意味はちょっと考えれば誰にでも想像がつきます。

そんなメイウェザーが〝分かっちゃいない〟行動を取りました。
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ミネソタ州ミネアポリスで起きた白人警官による〝黒人殺人事件〟に端を発した抗議デモは、暴動となって全米に広がっています。

女子ボクサーのヘザー・ハーディが早々とメッセージを発するなど、ボクシング界でも大きな関心を呼んでいますが、メイウェザーも「被害者の葬儀に経済的な支援」を申し出たというのです。

もちろん、本人の口やSNSからではありません。

そして、常日頃から米国の黒人が他の有色人種と比べても不当な差別を受けていると主張してきたメイウェザーの、この申し出は驚くことではありません。

このブログでも何度か触れているように、メイウェザーは恵まれない子供たちや不幸な人たちに広く手を差し伸べてきました。

しかし、その多くはメディアにリリースされず、嗅ぎつけた記者には「税金対策」と嘯くのが常でした。

それが、今回はリング誌やespnのスポーツメディアはもちろん、一般メディアにもリリースしたのです。

メイウェザーの側近レオナルド・エルベは「メイウェザーの許可なく、このことを公表したことを彼は怒るかもしれない」と断っていますが、ある程度のパーミッションがあったことは間違いありません。

長年連れ添ったエルベが、メイウェザーの意思に反することをするわけがありません。

もちろん、今回はあまりにも大きな事件であって、普段のチャリティやボランティアとは一線を引くものと、メイウェザーが判断したのかもしれません。

それに、この惨たらしく人が殺された事件からも、この件を嗅ぎ付かれて「税金対策」というのは憚られます。

しかし、それならエルベが「メイウェザーはこういうことを20年以上前からずっと続けているんだ」と〝言っちゃった〟のは説明がつきません。

エルベの言葉は、メイウェザーが演じるマネーを真に受けて蛇蝎のように侮蔑してきた人々への怒りが込もっているようにも聞こえてきます。

もう、全部言うぞ、と。もう、全部言っても良いんだ、と。
 

それは何を意味するのでしょうか?

こんなことを公表してしまうと、長年に渡って作り上げてきた下劣な人格が根底から崩れ去りかねません。

天才セルフ・プロデューサー、マネーとしては〝何も分かっちゃいない〟愚行です。

もしかしたら…嫌悪のドス黒いエネルギーを引き起こしてPPVを巻き上げる、あのリングにもう立たないと決めたのかもしれません。

今年に入ってから穏やかな表情でトレーナーへの転身を語り、若い選手がマニー・パッキャオと戦いたがることを「愚かだ」と一蹴。「41歳のパッキャオに勝ってあいつのレガシーを全部もらえるなんて思ってないだろうな」と釘を刺しました。

パッキャオのことを「老人」と呼びながらも、その業績へのリスペクトも匂わせる発言でした。

もう、下劣なキャラクターが必要ないと判断したのかもしれません。

第二の人生で、キャラを180度転換してベビーフェイスに生きるメイウェザーも悪くはありません。

ただ、個人的には墓場まで持っていって欲しかったですね。

死んでからとんでもない巨額の寄付活動が明るみに出るなんて、ちょっとカッコ良すぎです。