先週、世界を驚かせたタイソン・フューリーのKO勝利。
ワイルダーとの初戦は引き分けながら「フューリーとトレーナー(ベン・ダビソン)の勝利」と絶賛されました。
どの世界でもそうですが、人間は成功体験にしがみつきます。 ボクシングでも、大きな成功を収めたコンビが袂を別つことはありません。
ゲンナディ・ゴロフキンがアベル・サンチェスを切ったのは「カネのもつれ」でしたが、カネロ・アルバレスとの第2戦でGGGがサンチェスに不信感を抱いたことも原因の一つでした。
ビッグベアで〝桃園の契り〟を交わしたはずの二人が「カネの亡者」と互いを罵り合うのは残念でしたが、リングの外でも何が起きるかわからないのがボクシングです。
成功体験にしがみつかない人間は、どこかタガが外れています。まともじゃありません。
クロンクでトレーニングしたことのあるフューリーはシュガーヒルの攻撃ボクシングの哲学に触れて「教養として勉強になった」と語っていますが、それはデトロイトスタイルとは距離を置くという意味でもありました。
しかし、フューリーは多くの人がリスクが大きいと誤解しているフリッカージャブが実は非常に防御的な武器であることも理解していました。
必要になればその引き出しを開け、シュガーヒルの教えを仰ぐ。大きな成功体験を切り捨てて、そのオプションを行使したのです。
「リードを下げて突き上げるようにして打つフリッカージャブは、ガードが疎かになるから危険なスタイル」というのは表面的なことです。
現実には体重を乗せてパンチを打ち込んでくる強打者には、非常に有効な戦法です。
下から高速で連射されるフリッカージャブは、強打者の生命線である前重心を殺し、自慢の強打を無力化します。
WOWOWの解説陣も指摘していたように、フューリーのジャブでワイルダーは上体を起こされてしまい体重を乗せたパンチが打てなくなってしまったのです。
強打を封じられたワイルダー。牙と爪を捥がれた虎です。
フューリーがシュガーヒルをトレーナーに招いた時点で、ブリーランドはどうしてそれに気づけなかったのか?
一つはアーロン・デービスにKOされ、1年間クロンクのスタイルを学んだもののホルヘ・バカにもストップされたことでクロンクを離れたブリーランドは〝デトロイト〟を諸刃の剣と感じていたはずです。
「ブリーランドもクロンクだからどっちに転んでも勝者はスチュワード」というのは早計なのです。
もう一つは、一発で試合を終わらせるワイルダーのスタイルにブリーランドも過信していたのかもしれません。直近のオルティス戦で6ラウンドまでの採点で大量リードを許しながら、一発でひっくり返した勝利も、フューリーと戦うには大きな危険を孕んだ成功体験でした。
「トレーナーの最優先の仕事は選手を守ること」。スチュワードの教えを忠実に実行したブリーランドでしたが、クロンクの技術の深奥は識りません。
もし、理解していたとしても、あれほどまでに偏った才能に恵まれたワイルダーに還元するのは難しかったでしょう。
「天才は作られるものじゃない。生まれてくるもの。それもクレイジーとして」。ワイルダーのパンチも、フューリーの勘の良さも、天才でクレイジーです。
もちろん、ボクシングほど結果論が大手を振ってまかり通るスポーツはありません。
もし、ワイルダーが勝利を収めていたら…フューリーは「神輿で入場したせいで乗り物酔いしてしまい、バランス感覚が戻らなかった」と苦々しく敗因を語っていたかもしれませんが…。
次は、またまた結果論がまかり通りそうな明日のリングに上がる、ジェシー・バルガスのお話です。
ワイルダーとの初戦は引き分けながら「フューリーとトレーナー(ベン・ダビソン)の勝利」と絶賛されました。
どの世界でもそうですが、人間は成功体験にしがみつきます。 ボクシングでも、大きな成功を収めたコンビが袂を別つことはありません。
ゲンナディ・ゴロフキンがアベル・サンチェスを切ったのは「カネのもつれ」でしたが、カネロ・アルバレスとの第2戦でGGGがサンチェスに不信感を抱いたことも原因の一つでした。
ビッグベアで〝桃園の契り〟を交わしたはずの二人が「カネの亡者」と互いを罵り合うのは残念でしたが、リングの外でも何が起きるかわからないのがボクシングです。
成功体験にしがみつかない人間は、どこかタガが外れています。まともじゃありません。
クロンクでトレーニングしたことのあるフューリーはシュガーヒルの攻撃ボクシングの哲学に触れて「教養として勉強になった」と語っていますが、それはデトロイトスタイルとは距離を置くという意味でもありました。
しかし、フューリーは多くの人がリスクが大きいと誤解しているフリッカージャブが実は非常に防御的な武器であることも理解していました。
必要になればその引き出しを開け、シュガーヒルの教えを仰ぐ。大きな成功体験を切り捨てて、そのオプションを行使したのです。
「リードを下げて突き上げるようにして打つフリッカージャブは、ガードが疎かになるから危険なスタイル」というのは表面的なことです。
現実には体重を乗せてパンチを打ち込んでくる強打者には、非常に有効な戦法です。
下から高速で連射されるフリッカージャブは、強打者の生命線である前重心を殺し、自慢の強打を無力化します。
WOWOWの解説陣も指摘していたように、フューリーのジャブでワイルダーは上体を起こされてしまい体重を乗せたパンチが打てなくなってしまったのです。
強打を封じられたワイルダー。牙と爪を捥がれた虎です。
フューリーがシュガーヒルをトレーナーに招いた時点で、ブリーランドはどうしてそれに気づけなかったのか?
一つはアーロン・デービスにKOされ、1年間クロンクのスタイルを学んだもののホルヘ・バカにもストップされたことでクロンクを離れたブリーランドは〝デトロイト〟を諸刃の剣と感じていたはずです。
「ブリーランドもクロンクだからどっちに転んでも勝者はスチュワード」というのは早計なのです。
もう一つは、一発で試合を終わらせるワイルダーのスタイルにブリーランドも過信していたのかもしれません。直近のオルティス戦で6ラウンドまでの採点で大量リードを許しながら、一発でひっくり返した勝利も、フューリーと戦うには大きな危険を孕んだ成功体験でした。
「トレーナーの最優先の仕事は選手を守ること」。スチュワードの教えを忠実に実行したブリーランドでしたが、クロンクの技術の深奥は識りません。
もし、理解していたとしても、あれほどまでに偏った才能に恵まれたワイルダーに還元するのは難しかったでしょう。
「天才は作られるものじゃない。生まれてくるもの。それもクレイジーとして」。ワイルダーのパンチも、フューリーの勘の良さも、天才でクレイジーです。
もちろん、ボクシングほど結果論が大手を振ってまかり通るスポーツはありません。
もし、ワイルダーが勝利を収めていたら…フューリーは「神輿で入場したせいで乗り物酔いしてしまい、バランス感覚が戻らなかった」と苦々しく敗因を語っていたかもしれませんが…。
次は、またまた結果論がまかり通りそうな明日のリングに上がる、ジェシー・バルガスのお話です。

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