欧米で関心の低い軽量級でありながら、ローマン・ゴンザレスがPFPキングに戴冠したことは、大きな快挙でした。

それがたとえ脳内妄想のMythical ranking だとしても、欧米で最も権威のあるメディアの一つとされるリング誌から「最高」と認められたのですから。

さらに、小さな体に帝拳の血が流れているチョコラティトがPFPキングに選ばれたことは、日本のボクシングファンを勇気づけてくれました。

しかし、PFPが人気(報酬)ランキングとは全く関係がないことはしっかり理解していなければなりません。

そもそも、PFPは人気・報酬の両面で、ヘビー級の陰に甘んじていたシュガー・レイ・ロビンソンを正しく評価しようというムーブメントから広く知られるようになった概念です。

ここがわかっていないと「PFPで高評価の井上尚弥はラスベガスでメガファイト」と、第二の西岡利晃を産み出しかねない恥ずかしい勘違いを犯してしまいます。

悲しいかな、PFPキングのロマゴンも、かつて3位まで登り詰めたリカルド・ロペスも、生涯一度も100万ドルを拝むことはありませんでした。つまり、その実力に見合った人気評価が全くなされなかったのです。ロペスに至っては、世界王者になってからもほとんどの試合を10万ドルを下回る報酬で戦い続けました。

まだ現役のロマゴンには、復帰ロードで覚醒的な進撃を重ねてPFPに返り咲き、日本で井上尚弥とUnfinished Businessを戦うとなれば、そのラインを超える可能性は残されていますが…。

母国が貧しいロマゴンは、アウエーで戦うことが義務付けられています。軽量級でアウエー、人気も報酬も大きく望めない二重苦です。

ロペスはボクシング大国メキシコが産んだ傑作でしたが 、美しいスタイルが仇となりました。血の気の多いメキシコ人は、精密機械が戦う姿に熱狂することは出来ません。

しかもメキシカンスタイルを絵に描いたようなチキータ・ゴンザレスやマイケル・カルバハルの挑発にも乗らず、頑固一徹の職人のごとく自分の階級とスタイルを貫き、メキシコのファンを興ざめさせてしまいます。
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井上よりも評価の高かった全盛期のドネアやロマゴンでも、リング誌単独カバーなど相手にもされませんでした。それを日本のモンスターは8ヶ月で2回もやってのけたのです。井上は自称「ボクシングの聖書」を今年何度カバーするでしょうか?

もちろん、井上尚弥は違います。

モンスターは軽量級ボクサーにとってのパラダイス、日本で生を受けました。

具志堅用高までの時代とは違い、世界チャンピオンの1試合の報酬がプロ野球トップ選手の年俸を軽く上回るなんてことは、もはやありえません。

村田諒太は例外として、井上ですらプロ野球トップ選手の年俸の10分の1レベルです。

それでも、軽量級でPFP評価を受けるファン・フランシスコ・エストラーダでも20万ドルがキャリアハイ、ドニー・ニエテスに至っては10万ドルが最高という悲惨な状況を考えると井上は恵まれています。

日本円で5000万円前後を普通に稼ぐ井上は、軽量級では別格なのです。

井上よりも遥かに評価の高かった全盛期のロマゴンは最高60万ドルでしたが、それは断末魔のHBOが「スーパーフライ」興行の目玉として必死で工面したもので、ロマゴンの人気を反映したものではありません。

ああ、そういえば村田諒太がWBAセカンドとはいえ世界タイトルのピースを獲ったとき「日本で出来るのはここまで。日本ではミドル級のトップを毎試合抱えるのは無理、あとは米国で戦わなければならない」と思いましたが…。

しかし、米国ボクシングの没落は想像以上で、カネロ・アルバレスやゲンナディ・ゴロフキンと超高額契約を結んだDAZNのボクシングビジネスは大赤字と見られています。

今日のRing.tvでも、カネロの注目の次戦について「大きなカネが動くことをメガファイトというなら日本で村田と戦うのがベスト」とまで見られています

Canelo vs. Murata would be huge event in Japan .

カネロ以外なら村田のマネーパワーが抜けているのはわかっていましたが…確かにやり方によっては、つまりジャパンマネーを引っ張り出せば東京ドームで日本ボクシング史上最大の祭典が開催できます。

米国のデメトリアス・アンドラーデやジャーモル・チャーロの地味ミドルは論外、英国のビリー・ジョー・サンダースでもカネロのダンスパートナーとしては物足りません。

もちろん「東京に来る」といっても、カネロがAサイドです。どのウェイトでやるのかも含めて、全てのボールはカネロ側にあります。

ライトヘビー級のセルゲイ・コバレフを追い回して叩き潰したカネロに、村田の単調なプレッシャーボクシングが通用するわけがない…全然そうは思いません。

計量失敗で干からびたコバレフはクラッシャーではありませんでした。

派手にぶっ倒されたのに、笑いながら「サンキュー、カネロ」と対戦してくれたことに感謝しきりだったコバレフは、ファイターではありませんでした。

そこにいたのは誇り高きクラッシャーではなく、カネロに雇われた卑屈な下請け業者でした。

村田vsカネロ。実現したら、これはもう何がなんでも行かねばなりません。

また東京ドームでボクシングを見る日が来るかもしれないなんて、しかも日本人がそのリングに上がるなんて…。

ああ、PFPの話だったのに、完全に脱線してしまいました。。。

カネロを沈めたら村田もPFP入り確実ですから、まあ許してやってつかぁさい。