ESPNやリング誌のFighter Of The Decade についての考察をまとめて拙訳です。
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この10年で特別な輝きを放ったボクサーは3人に絞ることができる。
一人目は前途洋々の若きカネロ・アルバレス。4階級制覇を成し遂げ、全てのスポーツで最もカネを稼ぐ存在だ。
この2010−2019年のディケイドはカネロの疾走(2005年デビュー)をオーバーラップする。米国ボクシング産業を担うメキシカンの中でも29歳のカネロは別格だ。
残る二人は歴史的なレジェンド、フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオ。パックメイは前の2000−2009年のディケイドでも傑出した存在で、報酬でも印象でもとにかく巨大な試合を戦ってきた。
フロイド・メイウェザーのディケイドはシェーン・モズリーとの決戦で幕を開け、2017年にMMAのスーパースターであるコナー・マクレガーとの茶番劇で終わった。
2010年−2019年、この10年間でマネーが戦ったのはわずか8試合。しかし、リング外も含めて彼ほど人騒がせだったボクサーはいない。
メイウェザーのアスリートとしてのピークがこのディケイドにあるとは誰一人として考えていない。しかし、その存在価値、すなわち試合報酬はプライムタイムを迎えていた前の10年を遥かに凌駕している。
ミゲール・コット(2012年)にカネロ・アルバレス(2016年)、そして何と言ってもパッキャオ(2015年)。
試合内容がどんなに退屈なものであっても彼は負けなかった。そして、誰よりも大金を手にした。
メイウェザーがいかに優れたボクサーだったかは、完全に衰えてから何年も経っているパッキャオが今なお世界最高峰で戦い続けている事実が裏付けてくれている。
この10年間で3年(2016年/2018年/2019年)も全くリングに上がらなかったボクサーだが、このディケイドは間違いなくメイウェザーの時間だった。
ビクター・オルティス、マルコス・マイダナ、ロバート・ゲレーロとの試合ですら途轍もないメガファイトに仕立て上げた。
HBOを見捨てて、SHOWTIMEに鞍替え。6試合2億ドルで複数年契約を結んだ。彼はTV局よりも強かったのだ。そんなボクサーが他にいるか?
音楽界の超大物でボクシングビジネスにも触手を伸ばしたJay-Z は「いいか、お前らよく聞け。俺はビジネスマンじゃない、俺がビジネスそのものなんだ」と豪語したが、マネー・メイウェザーにもまさにそれが当てはまる。
メイウェザーをどんなに嫌悪しようが、彼を認めない人はいないはずだ。それがボクサーとしてなのか、それともビジネスマンとしてなのかは別にして。
カネロ・アルバレスは2010年代で2度の年間最高選手賞(2015年&2019年)に輝き、このスポーツの顔になった。
10年前、2010年。つまりまだ19歳だった赤毛のファイターはメイウェザーvsモズリーのアンダーカードでホセ・コットを9ラウンドでストップした。
しかし、コットの攻撃に1ラウンドでTKO寸前の大ピンチに陥った19歳がスターダムの階段をこれほど見事に駆け上がるとは、当時誰も想像だにできなかった。
あれから技術もパワーも打たれ強さも、そして人気もプロボクサーとして必要な何もかも全てで驚くべき進化を遂げた。
この10年の星勘定は25戦23勝1敗1分。ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級で王者になり、メガスターの座を手に入れた。
DAZNと交わした5年11試合3億6500万ドルの巨額契約は、スポーツ史上最高額だった。
「巧妙なマッチメイクによって作られたスーパースター」。カネロにつきまとう批判は間違っている。どんなに巧妙なマッチメイクでもここまでのスターを作ることなど出来はしない。
この10年間も「期待のホープ」があっけなく躓く現実を数え切れないほど見てきたボクシングファンは本当は知っているのだ。
「認めたくはないけどカネロは本物」。
2015年のミゲール・コットとのLineal Championの座を賭けたミドル級タイトルマッチは、メキシコvsプエルトリコの伝統の一戦という絶妙のスパイスまでふりかけられた。
ゲンナディ・ゴロフキンとの決戦前は「惨敗する」と期待した人々は、試合後に同じ口で「GGGは衰えていた」と都合の良いように変節した。
フリオ・セサール・チャベスJr.との因縁の対決を完封劇で勝利、ダニエル・ジェイコブスにも完勝。
ライトヘビー級の破壊者セルゲイ・コバレフが弱々しく見えた4階級制覇。
唯一の黒星、メイウェザー戦ですらその後のカネロを見れば一目瞭然。敗北ですら彼は自らの学習能力の高さを見せ付けるツールにしてしまった。
その敗北もスプリットデジション。「卑劣なメイウェザーがキャッチウェイトを突きつけていなかったら圧勝していた」と残念がるファンもいる。
まだ、20代のカネロには次のディケイドもトップで戦い続けるだろう。
マニー・パッキャオはアメリカ人でもメキシコ人でもプエルトリコ人でもない。
アメリカのリングにとって彼は「招かれざる客」だった。彼がメガスターになるなんてことは、この国では誰も望んでいなかった。
アレクシス・アルゲリョ、ロベルト・デュラン、ゲンナディ・ゴロフキン…招かれざる客がアメリカのリングを支配し、脚光を浴びることは今までにも何度かあったが、彼らは主役ではなかった。
主役を飲み込むパフォーマンスを見せることがあっても、あくまでも名脇役だった。
パッキャオは彼らとは明らかに違った。
メキセキューショナー(メキシコ人死刑執行人)のヒールは、そのメキシコのファンまで巻き込む形で正真正銘の主役に登り詰めた。
全盛期のパッキャオの戦いぶりを嫌うボクシングファンがいるだろうか?
勇気一つを武器にして、歴史的な強豪が待ち構えるリングに嬉々として上がった小さなアジア人。
無敗のメイウェザー、1敗しかしていないカネロと比べるとパッキャオは7つも負けている。メイウェザーには直接対決で敗れた。
しかし、マネーとカネロを差し置いて彼を史上トップ5のファイターに数えることに異議を唱える人はどれくらいいるだろうか。
史上唯一の8階級制覇。外国人にもかかわらず100万世帯セールスを何度もマークするPPVモンスター。
招かれざる客はいつの間にか、アウエーだったアメリカのリングを自分の家にしてしまった。
When you think about boxing, you think about Manny Pacquiao. I love him as a fighter, and I love his courage in the ring. ボクシングに熱狂するとは、すなわちパッキャオに夢中になるということだ。とにかくあの戦い方が大好きなんだ。リングの上で誰が相手でも怖がらずに立ち向かう彼の勇気が大好きなんだ。
「対戦相手を選ぶ傲慢なAサイド」「巧妙なマッチメイクで作られたスター」。そんなこととは対極の世界からパックマンはアメリカのリングに舞い降りた。
前のディケイド、満場一致で最高選手に選ばれたのはパッキャオだった。そして今また、この10年で最高選手の候補に挙げられている。
これがどれほど偉大なことか、今更説明は要らないだろう。
来年から歩みを始める次の10年、2020−2029年。
この来るべきディケイド終わる10年後、Fighter Of The Decadeにはさすがにパッキャオの名前はないだろう。
次のディケイドはその一点を持ってして不幸だが…そのときパッキャオは49歳。
彼はどこにいることだろう?
マラカニアン宮殿で大統領の椅子に座っているのか?
それとも…?
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この10年で特別な輝きを放ったボクサーは3人に絞ることができる。
一人目は前途洋々の若きカネロ・アルバレス。4階級制覇を成し遂げ、全てのスポーツで最もカネを稼ぐ存在だ。
この2010−2019年のディケイドはカネロの疾走(2005年デビュー)をオーバーラップする。米国ボクシング産業を担うメキシカンの中でも29歳のカネロは別格だ。
残る二人は歴史的なレジェンド、フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオ。パックメイは前の2000−2009年のディケイドでも傑出した存在で、報酬でも印象でもとにかく巨大な試合を戦ってきた。
フロイド・メイウェザーのディケイドはシェーン・モズリーとの決戦で幕を開け、2017年にMMAのスーパースターであるコナー・マクレガーとの茶番劇で終わった。
2010年−2019年、この10年間でマネーが戦ったのはわずか8試合。しかし、リング外も含めて彼ほど人騒がせだったボクサーはいない。
| Mayweather Notable Fights This Decade | ||
| YEAR | OPPONENT | RESULT |
| 2017 | Conor McGregor | W (TKO10) |
| 2015 | Manny Pacquiao | W (UD) |
| 2014 | Marcos Maidana | W (UD) |
| 2014 | Marcos Maidana | W (MD) |
| 2013 | Canelo Alvarez | W (MD) |
| 2012 | Miguel Cotto | W (UD) |
| 2011 | Victor Ortiz | W (KO4) |
| 2010 | Shane Mosley | W (UD) |
ミゲール・コット(2012年)にカネロ・アルバレス(2016年)、そして何と言ってもパッキャオ(2015年)。
試合内容がどんなに退屈なものであっても彼は負けなかった。そして、誰よりも大金を手にした。
メイウェザーがいかに優れたボクサーだったかは、完全に衰えてから何年も経っているパッキャオが今なお世界最高峰で戦い続けている事実が裏付けてくれている。
この10年間で3年(2016年/2018年/2019年)も全くリングに上がらなかったボクサーだが、このディケイドは間違いなくメイウェザーの時間だった。
ビクター・オルティス、マルコス・マイダナ、ロバート・ゲレーロとの試合ですら途轍もないメガファイトに仕立て上げた。
HBOを見捨てて、SHOWTIMEに鞍替え。6試合2億ドルで複数年契約を結んだ。彼はTV局よりも強かったのだ。そんなボクサーが他にいるか?
音楽界の超大物でボクシングビジネスにも触手を伸ばしたJay-Z は「いいか、お前らよく聞け。俺はビジネスマンじゃない、俺がビジネスそのものなんだ」と豪語したが、マネー・メイウェザーにもまさにそれが当てはまる。
メイウェザーをどんなに嫌悪しようが、彼を認めない人はいないはずだ。それがボクサーとしてなのか、それともビジネスマンとしてなのかは別にして。
カネロ・アルバレスは2010年代で2度の年間最高選手賞(2015年&2019年)に輝き、このスポーツの顔になった。
10年前、2010年。つまりまだ19歳だった赤毛のファイターはメイウェザーvsモズリーのアンダーカードでホセ・コットを9ラウンドでストップした。
しかし、コットの攻撃に1ラウンドでTKO寸前の大ピンチに陥った19歳がスターダムの階段をこれほど見事に駆け上がるとは、当時誰も想像だにできなかった。
あれから技術もパワーも打たれ強さも、そして人気もプロボクサーとして必要な何もかも全てで驚くべき進化を遂げた。
この10年の星勘定は25戦23勝1敗1分。ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級で王者になり、メガスターの座を手に入れた。
| Alvarez Notable Fights This Decade | ||
| YEAR | OPPONENT | RESULT |
| 2019 | Sergey Kovalev | W (KO11) |
| 2018 | Gennadiy Golovkin | W (MD) |
| 2017 | Gennadiy Golovkin | D (SD) |
| 2017 | Julio C. Chavez Jr. | W (UD) |
| 2016 | Amir Khan | W (KO6) |
| 2015 | Miguel Cotto | W (UD) |
| 2015 | James Kirkland | W (KO3) |
| 2013 | Floyd Mayweather | L (MD) |
| 2012 | Shane Mosley | W (UD) |
| 2010 | Carlos Baldomir | W (KO6) |
「巧妙なマッチメイクによって作られたスーパースター」。カネロにつきまとう批判は間違っている。どんなに巧妙なマッチメイクでもここまでのスターを作ることなど出来はしない。
この10年間も「期待のホープ」があっけなく躓く現実を数え切れないほど見てきたボクシングファンは本当は知っているのだ。
「認めたくはないけどカネロは本物」。
2015年のミゲール・コットとのLineal Championの座を賭けたミドル級タイトルマッチは、メキシコvsプエルトリコの伝統の一戦という絶妙のスパイスまでふりかけられた。
ゲンナディ・ゴロフキンとの決戦前は「惨敗する」と期待した人々は、試合後に同じ口で「GGGは衰えていた」と都合の良いように変節した。
フリオ・セサール・チャベスJr.との因縁の対決を完封劇で勝利、ダニエル・ジェイコブスにも完勝。
ライトヘビー級の破壊者セルゲイ・コバレフが弱々しく見えた4階級制覇。
唯一の黒星、メイウェザー戦ですらその後のカネロを見れば一目瞭然。敗北ですら彼は自らの学習能力の高さを見せ付けるツールにしてしまった。
その敗北もスプリットデジション。「卑劣なメイウェザーがキャッチウェイトを突きつけていなかったら圧勝していた」と残念がるファンもいる。
まだ、20代のカネロには次のディケイドもトップで戦い続けるだろう。
マニー・パッキャオはアメリカ人でもメキシコ人でもプエルトリコ人でもない。
アメリカのリングにとって彼は「招かれざる客」だった。彼がメガスターになるなんてことは、この国では誰も望んでいなかった。
アレクシス・アルゲリョ、ロベルト・デュラン、ゲンナディ・ゴロフキン…招かれざる客がアメリカのリングを支配し、脚光を浴びることは今までにも何度かあったが、彼らは主役ではなかった。
主役を飲み込むパフォーマンスを見せることがあっても、あくまでも名脇役だった。
パッキャオは彼らとは明らかに違った。
メキセキューショナー(メキシコ人死刑執行人)のヒールは、そのメキシコのファンまで巻き込む形で正真正銘の主役に登り詰めた。
全盛期のパッキャオの戦いぶりを嫌うボクシングファンがいるだろうか?
勇気一つを武器にして、歴史的な強豪が待ち構えるリングに嬉々として上がった小さなアジア人。
無敗のメイウェザー、1敗しかしていないカネロと比べるとパッキャオは7つも負けている。メイウェザーには直接対決で敗れた。
しかし、マネーとカネロを差し置いて彼を史上トップ5のファイターに数えることに異議を唱える人はどれくらいいるだろうか。
| Pacquiao Notable Fights This Decade | ||
| YEAR | OPPONENT | RESULT |
| 2019 | Keith Thurman | W (SD) |
| 2018 | Lucas Matthysse | W (TKO7) |
| 2016 | Timothy Bradley Jr. | W (UD) |
| 2015 | Floyd Mayweather | L (UD) |
| 2012 | Timothy Bradley Jr. | L (SD) |
| 2011 | Juan Manuel Marquez | W (MD) |
| 2011 | Shane Mosley | W (UD) |
| 2010 | Antonio Margarito | W (UD) |
招かれざる客はいつの間にか、アウエーだったアメリカのリングを自分の家にしてしまった。
When you think about boxing, you think about Manny Pacquiao. I love him as a fighter, and I love his courage in the ring. ボクシングに熱狂するとは、すなわちパッキャオに夢中になるということだ。とにかくあの戦い方が大好きなんだ。リングの上で誰が相手でも怖がらずに立ち向かう彼の勇気が大好きなんだ。
「対戦相手を選ぶ傲慢なAサイド」「巧妙なマッチメイクで作られたスター」。そんなこととは対極の世界からパックマンはアメリカのリングに舞い降りた。
前のディケイド、満場一致で最高選手に選ばれたのはパッキャオだった。そして今また、この10年で最高選手の候補に挙げられている。
これがどれほど偉大なことか、今更説明は要らないだろう。
来年から歩みを始める次の10年、2020−2029年。
この来るべきディケイド終わる10年後、Fighter Of The Decadeにはさすがにパッキャオの名前はないだろう。
次のディケイドはその一点を持ってして不幸だが…そのときパッキャオは49歳。
彼はどこにいることだろう?
マラカニアン宮殿で大統領の椅子に座っているのか?
それとも…?

コメント
コメント一覧 (10)
ほんとにバケモンすぎますね。
フシ穴の眼
が
しました
最近のカネロからはメイウェザーの残像すら垣間見える。
メイウェザーがスクールつけたと言える。
メイウェザーのディフェンスは芸術、最高の攻撃ともとれ、カネロはメイウェザーに成すすべなくして、完封された試合だった。
フシ穴の眼
が
しました
しかし賞を取るのはカネロと予想します
フシ穴の眼
が
しました
完敗なのに惜しかったみたいな言い方なんですね。
ボクシングって面白いけど、本当におかしな競技ですよ。
フシ穴の眼
が
しました
メイウェザーの全勝は偉大ですが、インパクトやその戦いっぷりという面でパッキャオであって欲しいな、というのが感情的に正直なところです。
フシ穴の眼
が
しました
ここら辺の見識を伺いたいです。お願い致します
フシ穴の眼
が
しました