英国ボクシングニューズ誌(BN)から「Four Middle Weights who Jumped to Light Heavy-weight」の拙訳です。


********ボクシングの階級は残酷です。ヘビー級やウェルター級、ミドル級は人気があっても、フライ級やバンタム級には誰も目を向けません。

ライトヘビー級は歴史的にレベルが高いクラスで人気もありますが、ヘビー級とミドル級という二つの太陽によって暗い影にいつも覆われてきました。

ライトヘビー級史上に残る名王者マイケル・スピンクスはマービン・ハグラーとの対戦を渇望しましたが相手にされませんでした。

人気階級ミドル級の王者にとってライトヘビー級はビジネスとして成立しない反面、リスクは大きいという〝北壁〟です。

登山家はあえて冬山の北壁を登頂しようとしますが、その動機はプライドだけです。

そんな誇り高いミドル級の勇者を振り返ります。


①ディック・タイガーvsホセ・トーレス(1966年12月16日:ニューヨーク州 マディソン・スクエア・ガーデン)

4月にエミール・グリフィスにミドル級タイトルを追われたタイガーは、8ヶ月後にホセ・トーレスのライトヘビー級王座に挑戦。

現在のスーパーミドル級(168ポンド)を下回る167ポンドでリングに上がった身長172㎝/リーチ180㎝のナイジェリアの虎は、178㎝/188㎝とフレームで上回るプエルトリカンを15ラウンド判定で下して2階級制覇に成功。

▶︎BN判定▶︎cream rises to the top. 途轍もない才能は階級をも飛び越える。



②トーマス・ハーンズvsデニス・アンドリュース(1987年3月7日:ミシガン州デトロイト  コボホール)
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WBC王者アンドリュースは前年9月にミドル級からの刺客トニー・シブソンを難なく9ラウンドでTKO。

体格差でもシブソンを圧倒したアンドリュースでしたが、ハーンズは役者が違いました。

ハーンズは6度も倒して10ラウンドTKO勝利。
 
▶︎BN判定▶︎ハーンズのテクニックとパワーに対抗できるボクサーはいない。



③シュガー・レイ・ロビンソンvsジョーイ・マキシム(1952年6月25日:ニューヨーク州 ヤンキースタジアム)
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地味なライトヘビー級の象徴のようなマキシムに、絢爛なミドル級を代表するロビンソンが挑みました。

戦前予想はロビンソンの圧倒的有利。試合はその通りに進みます。しかしこの夜、ニューヨークは記録的な猛暑にうだっていました。強烈なライトで照らされたリング上は気温40度超え。

この熱気にまず倒れたのが主審ルビー・ゴールドスタイン。10ラウンドで脱水のためゴールドスタインが退場、レイ・ミラーが代役として11ラウンドから裁きました。

そして13ラウンドにはロビンソンが疲労と脱水でスリップダウン。14ラウンド開始ゴングに応じることができませんでした。 

▶︎BN判定▶︎劣悪な環境では弱者にこそチャンスが訪れる。



④シュガー・レイ・レナードvsドニー・ラロンデ(1988年11月7日:ネバダ州ラスベガス シーザースパレス)

リングの外で醜い仕込みがあった恥ずべきメガファイト。レナードはキャッチウェイトでラロンデを168ポンドまで削ぎ落とし、WBCはあろうことかこの1試合でライトヘビーとスーパーミドルの二つのタイトルをステイクしました。

これ以上の悪行はありますか?

ただ、忘れ去られていることもあります。レナードは165ポンドで計量をパスしましたが、彼は両手にそれぞれ3ポンドの重りをもってスケールに乗っていたのです。つまり、実際の体重は159ポンドでした。

▶︎BN判定▶︎160ポンドも作れないことが言い訳になるわけもないが、レナードの能力は計り知れない。



*******そして、カネロ・アルバレスも〝北壁〟攻略の成功者としてこの偉大なリストにその名を刻みました。