140ポンド、63.50g、ジュニアウェルター級。
全階級を通じて最も優れた才能が集結するウェルター級への最終ゲートです。

今では正真正銘のメジャー階級ですが、私がボクシングを見始めた1980年代は日本人にも親近感のあるクラス、つまり欧米ではマイナーでした。

浜田剛史が電撃の1ラウンドKOでレネ・アルレドンドを攻め落とした1986年、一つ下のライト級にはヘクター・カマチョ、一つ上のウェルター級にはドン・カリーという無敗のスター選手が君臨。

今なら「カマチョやカリーと戦う可能性もある」とゾクゾクするところですが、当時のファンは物分りが良く「ジュニアウェルター級は中量級の穴。ライトやウェルターとはたまたま隣わせなだけで無関係」と達観していました。

このジュニアウェルター級はヘンリー・アームストロングも獲得、これをカウントすると史上初の4階級制覇でしたが、当時もマイナー階級でまともなタイトルと認められませんでした。

歴史的にもビッグネームと呼べるのはアーロン・プライアーくらいで、陽が当たるのはライト級からフリオ・セザール・チャペスが進撃して来るまで待たねばなりませんでした。

それでも、浜田の後に平仲が続き、ラティゴ日本人にも馴染みの階級だったのは今は昔。

現代ではオスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオらが通過した〝スーパースター予備校〟です。

ところが、リッキー・ハットンが退場するとこの階級の空が再び曇り始めます。

2017年にはPFPトップの一角テレンス・クロフォードが4団体史上2人目となる完全統一王者=Undisputed Champion=になりますが、人気は戻らず。

WBC王者ビクトル・ポストルとの統一戦は初のPPV興行になりますが、あろうことか5万世帯にしか売れないという大惨事。

ボブ・アラムは「パッキャオじゃあるまいし50万、100万世帯に売れるとは考えていない。10万近くまで行けば画期的な大成功」と思いっきり予防線を張っていましたが、クロフォードの不人気は簡単に突き抜けてしまったのです。

HBOが予算を削減して番組枠に入れなかったためですが、普通に考えたらハイレベルな攻防はもちろん、面白い試合になりそうな匂いを発散させていたのに…。

ちなみに、先日のパッキャオvsサーマンは50万世帯を突破したそうです。

挙げ句の果ては、マイナー階級をターゲットにした貧乏神WBSSにまで食指を伸ばされてしまうまでに落ちぶれたジュニアウェルター級。

それでも、流石にWBSS参戦に応じたのはWBA 王者レジス・プログレスとIBF王者ジョシュ・テイラーだけ。

残る二つの王者、IBFのモーリス・フッカーとWBCのホセ・ラミレスにもWBSSから不幸のオファーが届いていたはずですから、丁重にお断りしたのでしょう。

日本では井上尚弥が出場したスコットランドの興行でメインを張ったテイラーとプログレイスの方が有名かもしれませんが、WBSSが超マイナーの米国では勝手が違います。

順番が違いますね。 WBSSは米国でマイナーな階級を狙ったトーナメントですから、人気がないのも最初から当たり前なのです。

ドラマティックな人生ってを歩んできたフッカーとメキシコ系のラミレスの名前が断然売れているのです。

そのフッカーとプログレイスが明日激突。つまり皮肉なことですが、統一トーナメントを謳ったWBSSよりも先にここで2団体統一王者が明日決まるのです。