公開練習でエマヌエル・ロドリゲスがリングに上がり、井上真吾トレーナーがその様子をスマホで撮影…するとロドリゲスのトレーナー、ウイリアム・クルーズが真吾トレーナーを喧嘩腰に突き押しました。

普通に考えると試合前の煽りパフォーマンスです。

当日チケットはかなりダブついていて、日本ではプロレス興行でよく見られる広告代理店がタダ券どころか謝礼まで払ってサクラで客席を埋めるーーなんてことでもしないと閑古鳥が大合唱しそうな気配で、こういう煽りは確かに必要かもしれません。
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しかし、パフォーマンスにしてはクルーズの行動は、中途半端を越えてあまりにも地味過ぎました。

パフォーマンスでなければ何だったのか?

無名の28歳のトレーナーが何とか盛り上げようとしたけど、慣れないことをして失敗したということでしょう。

この試合に向けて、ロドリゲスの新トレーナーに就任したことも28歳に大きな重圧をかけていたのかもしれません。 

確かに、自分がトレーナーについての初戦が圧倒的不利予想なんて、誰だって頭を抱えたくなる状況です。 

それにしても、お粗末でした。

プエルトリコはボクシング大国ですが、ロドリゲスの人気は低く、当然そのトレーナーだと収入も知れています。

フロイド・メイウェザーにパフォーマンスとトラッシュトークをレッスンしてもらえば、あの無様なパフォーマンスも少しは改善されるかもしれませんが、全財産を差し出しても相手にされなさそうです。

そういえば、ロドリゲスがWBOラテン王者時代の試合後、メイウェザーがリングに上がり「今来たばかりだが、ものすごい才能だ。ジャーボンタ・デービスより強い」と適当なことを吐いていたのを思い出します。

メイウェザーは那須川天心についても「彼とのエキシビションでは一切練習しなかったが、ものすごい才能だ」と絶賛してました。

「今来たばかり(つまりロドリゲスの試合は見ていない)」とか「一切練習してない」とかイヤミを忘れないのがメイウェザークオリティです。

いや、もしかしたらイヤミを先に出すことで「これから言うことは全部冗談だからな」と断っているのかもしれません。

 

さて、パフォーマンスとトラッシュトークです。

お粗末過ぎるクルーズさんは〝別格〟にしても昨日、トラッシュトークでは達人の部類に入るデオンティ・ワイルダーが対戦相手のドミニク・ブルージールを「殺す」と発言して、マウリシオ・スライマンWBC会長が「ボクシングを冒涜している」と遺憾の意を示しました。


 “This isn't a gentleman's sport. We don't ask to hit each other in the face, but we do anyway. If you ask any doctor around the world, he'll tell you the head is not meant to be hit. This is the only sport where you can kill a man and get paid for it at the same time. It's legal. So why not use my right to do so?

ボクシングは紳士のスポーツなんかじゃない。世界中の医者に聞いてみるがいい、頭を拳で殴ることは絶対にしてはいけない非常に危険な行為だと教えてくれるだろう。人を殺すかもしれない殴り合いをしてカネを稼げる、こんなスポーツはボクシングだけだ。これは合法(の殺人)、だったらその権利を行使して何が悪い?

これも、いただけない発言ですが、ワイルダーが納得できるような反論が出来るか?と聞かれると言葉に詰まってしまいそうです。

「それはそうなんだけど、それを言ったらおしまい」。そんな程度でしょうか。

急所を狙い、コーナーから「殺すつもりで行け」と聞こえても違和感のないスポーツです。

しかし、逆説的ですが「(そんな)ボクシングだからこそ(トラッシュトークやパフォーマンスは)必要だ」と説明して見せた、すこぶる頭の良いボクサーがいます。

フロイド・メイウェザーです。

Paradoxical (
逆説的)。なんと、フロイド的な言葉でしょう。

フロイドは機嫌がいいときに、ポロっと本音を口にしてしまうんです。

2011年のビクター・オルティス戦に向けたプロモーショナルツアーは、メイウェザーを教授にオルティスが熱心な生徒になってパフォーマンスとトラッシュトークを学ぶ授業の旅でした。

「ボクシングはオブラートで包むにはトゲがありすぎる。大げさでカラフルなマットレスで包んでやるのがちょうどいいんだ。ただし、そこには最低限のルールがある。トゲからは離れることだ」。

ワイルダーは禁断のトゲに触れてしまったのかもしれません。

試合後に、オルティスは「フロイドには感謝しかない」と素直に喜びました。

そんな甘ちゃんのオルティスを〝世紀の不意打ち〟でノックアウトしてしまうのが、メイウェザーなんですね〜。

それにしてもどこまで、Paradoxical なんでしょうか。