アブネル・マレスがジュニアライト級王者ジャーボンテ・デービスに果敢(無謀?)な挑戦は、マレスの故障によって中止、代役は日本でもお馴染みのウーゴ・ルイスが早速決まっています。

ウールイはデービスと同じアル・ヘイモンがマネジメントしているとはいえ、あまりに安易なマッチメイクです。


そう考えると、日本人でビッグマッチに最も近いのは階級的には伊藤雅雪ですが、マネジメント面、つまり現実的にはヘイモンと契約している亀田和毅です。

今更ですが、ウールイはWBA暫定のバンタム、WBCフェザー級を獲った日本的には二階級制覇(世界では暫定は認められていません)ですが「典型的な Chump(穴王者)」(ESPN)でした。

もちろん、日本で亀田興毅や長谷川穂積が戦ったときは「世界的な強豪王者」と紹介されましたが、この国のメディアにかかるとウィラポンやオマール・ナルバエスでも「伝説の名王者」です。

オッズはデービス勝利が1.02倍。もはや勝負ではありません。

大番狂わせが見たい、衝撃を受けたい、というのがボクシングファンの本能ですが、その発露は「強い奴が勝つんじゃない、勝った奴が強いんだ」という新星誕生の瞬間を見たいという気持ちです。

ウールイが勝つとしたら、デービスが重篤な病気など瀕死の状態でリングインしたときのみです。

バンタム級でも穴王者だった選手が、バリバリのジュニアライト級王者に挑むのですから、まったくもって前のめりに見ることは出来ないカードです。




〝ボクシング界のアイドル〟シンシア・コンテのインタビューで「勝利の自信がないとやらない」と答え、「基本的なことしかやっていない。たぶん50年前のボクサーがやっていたことと変わらない」とオールドスクールの練習を打ち明けるマイキー。と言いつつ練習している気圧の低いドームは50年前にはありませんが、アリやデラホーヤが好んだ高地のキャンプと同じ理屈です。

デービスvsマレスは中止となりましたが、同じ目線で果敢な挑戦と見られていたのが3月16日に行われるエロール・スペンスJr.vsマイキー・ガルシアです。

この試合は、マニー・パッキャオが2試合戦っているテキサス州アーリントンの AT&Tスタジアム(カウボーイスタジアム)に特設リングが組まれます。

かかるタイトルはスペンスのIBFウェルター。現在空位のリング誌タイトルは、このマッチメイクではさすがにかかりませんが、あざといWBCはダイアモンドタイトルと認定、両陣営が受け入れています。

2月3日現在のオッズはスペンス勝利が1/4 (1.25倍)、マイキー1/3(3倍)。アバウト2−1という、予想以上の僅差です。

マイキーがその実力が十分に理解されているのに対して、スペンスはケル・ブルックやラモント・ピーターソンに勝っているとはいえ二人ともプライムタイムではないことから、マイキーにまだ見えざる欠点が暴露される可能性があると見られているのでしょう。

異名こそ〝The Truth〟(本物)ですが、スペンスはまだまだ証明しなければならない課題が山積しています。

とはいえ、スペンスは穴王者ではありません。

しかし、アンドレ・ベルトらのように雑魚相手には目を見張るKO劇を演出していたのに下の階級でも誤謬を見せていたビクター・オルティスやロバーロ・ゲレーロに番狂わせで敗れるという〝タイソン型〟の王者も珍しくありません。

「スペンスの圧勝」を多くの専門家が予想していますが、冷徹なブックメイカー、ギャンブラーはまだスペンスに懐疑的なのでしょう。

身長177㎝、リーチ183㎝のスペンスに対して、マイキーは168㎝、173㎝。フレームの差は圧倒的です。

デビューから154〜147ポンドで戦ってきた生粋ウェルターのスペンスと比べて、フェザー級(126ポンド)から体重を上げてきたマイキーは明らかにクラスが違うファイターです。

「減量から解放される」と笑うマイキーですが、ヘビー級以外で減量無縁のボクサーはめったやたらにいません。

バンタム級であれだけ無双し、今なお厳しい減量を強いられている井上尚弥でも「フェザーは厳しい」と告白しています。

カネと名誉のために適正階級でないウェルターを侵略したフロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオのような、減量無縁の異次元スーパースターの扉を、マイキーがこじ開けられるのか? 

米国ファンの間では「マイキーが勝ったらドーピング」と早くも ヒートアップしているメガファイトを、3月16日、試合当日まで追いかけます。