ボクシングファンの愉しみの一つは、100年以上の歴史もひっくるめて味わえるという点です。

野球やサッカー、テニスのような球遊びにもそれなりの歴史はあります。

そして、奴らは奴らなりに細かいデータをいじくって何やらほざいていますが、ボクシングほど歴史を紐解き感慨に耽ることができるスポーツは地球上にありません。

ヘミングウェイや三島由紀夫も、この深淵なスポーツを溺愛しました。

偉大な芸術家は球遊びなどではなく、常にボクシングにインスパイアされてきたのです。



そんな偉大なスポーツの歴史は私たちをいつもうっとりさせてくれました。

ジョー小泉は「もし見ることができるなら、シュガー・レイ・ロビンソンをリアルタイムで観たかった」と歯噛みしました。

沢木耕太郎は「モハメド・アリの時代を生きてしまうと、ボクシングはもうどうでもよくなる」と達観しました。


今日の本題です!

ボクシングファンとして。

もし、タイムマシンに乗ってリングサイドで観戦できるとしたら、どの試合を選びますか?


①西暦2050年のメガファイト。

ファイトマネーは、それぞれのボクサーにスポーツ史上最高の報酬1兆円。究極に洗練されたタッチボクシングの最高芸術を堪能できます。

タッチとジャブの軌道の美しさだけを競う、これぞ Sweet Science!



②1981年9月6日のシーザースパレス。ボクシングが最後の輝きを見せた時代。そのロウソクの最期の煌めき!

これぞ文句無しのボクシング史上最高傑作
。世界ウェルター級統一戦。シュガー・レイ・レナードvsトーマス・ハーンズ。これこそ、啐啄の機!

感動の涙を拭くハンカチ必須です。



③1974年のザイールはキンシャサ。

Rumble in the Jangle 。言わずと知れた、あの奇蹟の現場の目撃者になれるのです!

世界ヘビー級タイトルマッチ。ジョージ・フォアマンvsモハメド・アリ。

こんな試合をリングサイドで見てしまうと、もうボクシングに興味はなくなるかもしれません。



④1965年5月18日、愛知県体育館。

日本ボクシング史上永遠不滅の最高試合!
。

世界バンタム級タイトルマッチ。エデル・ジョフレvsファイティング原田 第1戦です。

「黄金のバンタム」がよろめいた衝撃の4ラウンド、あなたは、わかっていても席を立ち上がって叫んでしまうでしょう。声が枯れるまで。

「原田、いけーーッ!!!」。



⑤1952年5月19日(ボクシングの日)、後楽園球場。全てはここから始まった!

世界フライ級タイトルマッチ。ダド・マリノvs白井義男。

その会場の規模と熱気の総和は日本スポーツ史上に燦然と輝く、永遠の1位です。

あの日あの時の、後楽園球場、そのリングサイドで見る世界戦は、どれほど眩しかったことでしょう。



⑥ときは1938年6月22日。場所はニューヨーク、ヤンキースタジアム。

資本主義vs全体主義の代理戦争
。

ジョー・ルイスvsマックス・シュメリンク。

ヒトラーとルーズベルトが送り込んだ二人のスラッガー。

これは、もはやボクシングの試合ではありません。あなたは歴史の一部になるのです!



⑦1921年7月2日。史上初のミリオンダラーゲート(100万ドル興行)。

世界ヘビー級タイトルマッチ。ジャック・デンプシーvsジョルジュ・カルパンチェ。

まだ、米国と欧州がトロトロに混じり合っていた時代の、野蛮で無骨な米国人と、洗練されたフランスの伊達男の物語。
Crowd_awaits_news_of_Dempsey_-_Carpentier
試合が終わると号外を求めてニューヨークタイムズ本社に1万人以上の観衆が詰めかけたと言いますから、これはスポーツではありません。社会現象、大事件です。



⑧1910年、ネバダ州リノ。

特設リングに2万2000人が詰めかけた、史上初のメガファイト。

世界ヘビー級タイトルマッチ。ジャック・ジョンソンvsジェームス・ジェフリーズ。

人種差別が公認されていた時代、リングサイドでは交響楽団が黒人を蔑視する曲を演奏する、ありえない環境で白人を切り刻み、倒したジョンソン。

あの時代で、ジョンソンがどうして殺されなかったのか…アメリカは偉大な国だと敬服するしかありません。



⑨1887年マサチューセッツ州グルースター。

ジョン・L・サリバンvsウィリアム・マルドゥーン。

ベアナックルの王者サリバンと、〝プロレスの父〟マルドゥーンの史上初の異種格闘技戦。

例のエキシビションがあったので、皮肉もこめて130年以上前に行われたはるかに崇高でまともな異種格闘技戦を紹介します(下記の事情もあり八百長濃厚の試合でしたが)。

当時のプロレスは真剣勝負もたびたび行われており、マルドゥーンはボクシングでもサリバンのトレーナーをつとめるなど、現在のプロレスラーとは一味も二味も違う〝本物〟でした。

ボクシングとプロレスの両方で殿堂入りしている唯一無二の人物でもあります。



⑩ 井上尚弥vs井岡一翔。




いやぁー、隔靴掻痒!

我ながら稚拙で遠回しで、わっかりにくいことをしてしまいました。

誰だって観たいのは、未来に決まってます!

それも2050年とかじゃない、近未来。

すぐ、手に届くはずものを!!!

言いたいことは、そういうことでした。

おやすみなさいませ。