12月31日マカオで、井岡一翔がドニー・ニエテスと空位のWBO世界ジュニアバンタム級王座を争いました。

この試合は、二人ともに四階級制覇がかかっていましたが、それ以上に日本のスター選手がPFPファイターと戦うという非常に珍しい試合でした。

日本のスター選手、スター候補のボクサーが本物の強豪と戦うことは、非常に稀れな〝事件〟です。

「スター選手=大切の育てたいタレント」 という等式を考えれば、本物の強豪にはぶつけないのは当然です。

しかし、そんな選手がChump(穴王者)やCherry(雑魚挑戦者)と戦うとき、メディアは必ず「伝説の名王者」「10年無敗の最強王者」「無敗のKOマシーン」「最強挑戦者」と明らかな嘘八百を並べ立ててきました。

そして、この国のメディアは Chump(穴王者)やCherry(雑魚挑戦者)のような表現を絶対にしません。

それが、アスリートはすべからくリスペクトする、という崇高な信念なら良いのですが「ジュニアフェザー級は層の厚い激戦区です」「層の厚いバンタム級は強豪選手がひしめいていますからね」…なんて解説を聞いていると、じゃあ層の薄い階級を教えてくれ!と聞きたくなります。

ここまで王者と階級が粗製乱造され、ランキングも恣意的に操作されている現状で「穴王者」「雑魚挑戦者」という記号を使わないメディアの感覚が理解できません。

もちろん「普段は週2しか練習しない引っ越し屋さんのボワイヨは典型的な雑魚挑戦者です」「ブランダムラは強豪ひしめく階級ではいわゆる雑魚挑戦者です」と、テレビ局が言いにくいのはわかりますが、他のメディアは違うはずです。

もちろん「それを言ってしまうと今度はウチが言い返される」から、お互い様なんでしょうが、そんなことしてるからボクシングはダメになるんです。

サッカーや野球の世界じゃ考えられません。

雑魚は雑魚、穴は穴です。そいつらと戦うなと言ってるんじゃありません。

特に軽量級では、名のある強豪なんて滅多にいませんからね。

ただ、そこにファンが気づかないと「伝説の名王者」やら「10年無敗の最強王者」「母国の英雄」「ランキング1位最強挑戦者」「KOマシーン」が、これからも続々と上陸するだけです。

報道の姿勢、これは即刻改めて欧米にならうべきですが、無駄ですね、こんなこと言っても。



さて、スター選手、スター候補に限らず、これまで日本人ボクサーが戦った「本物の強豪」はどれだけいたのでしょうか? 

この「本物の強豪」を防衛回数や複数階級制覇数など、現在ではいくらでも粗製乱造できる数字ではなく「殿堂入り」や「PFP」で考えてみたいと思います。

まず、現時点での日本の二枚看板、井上尚弥と井岡のキャリアを振り返ると、殿堂クラスは一人もいません。

PFPファイターも、井岡が敗れたニエテス(リング誌10位/それも電子版の瞬間ランキング)ただ一人です。

井上のキャリア最高評価はオマール・ナルバエスですが、二階級制覇してそれぞれの階級で10度以上防衛というとんでもない「数字」を持ったアルゼンチン人は、ウィラポン・ナコンルンアンプロモーションやレオ・ガメスらと同列で、殿堂は論外、瞬間的なPFPですらお呼びでない「数字だけボクサー」の典型でした。

この種の試みは、エデル・ジョフレが1位で決定、ロベルト・デュラン、ウィルフレド・ゴメス、アレクシス・アルゲリョらが続く、誰も異論を挟めない見慣れたランキングで落ち着いてしまうので、ここでは四団体17階級、暫定や休養など王者乱造に拍車がかかった1990年代以降で考察してみたいと思います。
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2017年の BEST FIGHTER POLL で井上尚弥は6位にランクイン。24歳(当時)は、このときのトップ10最年少でした。

テキストには昨年、井上尚弥が日本人で初めてトップ10入りを果たしたリング誌の「BEST FIGHTER POLL」をメインに、ESPNやBWAA(全米ボクシング記者会)のPFPランキング等をサブに使用します。

「本物の強豪」と戦っていないスター選手よりも、戦った咬ませ犬選手の方が偉い、優れている、ということではありません。

渡辺二郎よりも松村謙二の方が偉い!っていうわけではありません…ちょっと例が悪かったですね。


まず、文字どおり、教科書的に主要な海外メディアをモノサシにすることから、日本のファンの感覚とズレがあることを、あらためてお断りしておきます。

さらに、酔っ払い脳で、思いつくまま書き綴ってしまいますので、いつものごとくアレが抜けてる、コイツがいない、となるでしょうから、そのときは随時、ご指導・ご鞭撻くださいませ。