今週末、HBOが最後のボクシング番組を放送します。

今思えば、生き残りを賭けて必死にやりくりしようともがいていた、超格安予算のSuperfly興行は、断末魔の叫びでした。

昨年は井上尚弥、今年は井岡一翔と日本のエースがリングに上がったイベントを「全米注目のビッグイベント」と能天気に浮き足立った日本のメディアの耳にはHBOの断末魔の叫びは聞こえなかったのでしょう。

そのとき、井上が受け取った報酬は20万ドル足らず、HBOのボクシング予算がさらに悪化した時期の井岡に至ってはわずか2万5000ドルという、何をどう考えても日本でやった方がマシの金額でした。

軽量級の高額ファイトなんてものはラスベガスにないこと、そもそも軽量級の高額ファイトなど海外には存在しないことを、いくら何でも日本のファンもそろそろ気づくべきです。

そして、HBO最後のイベントは女子ボクシングをメインに、軽量級のエストラーダがつとめます。

HBOの葬儀を象徴するカードとなりました。

HBO and boxing have been synonymous for nearly half a century, but that is coming to an end.

半世紀にも渡ってHBOといえばボクシング。ボクシングといえばHBOだったが、その時代がついに終わりを告げる。(ESPN)

米国ボクシング没落を象徴する事件です。

幸いにも日本のボクシングファンは今ならWOWOWと民放で国内外の試合を相当数観ることができます。

WOWOWというボクヲタ待望の番組がスタートするまでも、NHKのBSやテレビ東京系が海外のビッグファイトを列島に伝え続けてくれました。

そして、それらほとんど全てはHBOによるイベントでした。

「日本向けのインタビューはHBOの後に行われる予定です」なんてアナウンスを聞くたびにに、HBOには何か特別なことを話してるのかな、と気になったものでした。

海外のボクサーにとって「HBOのイベントに登場すること」は夢舞台でした。

太平洋の彼方の私たち日本のボクシングファンにとっても世界を見せてくれたHBOは、ボクシングそのものでした。

世界中のボクシングファンの魂を鷲掴みにした、レナードvsハーンズ、ハグラー・ハーンズ、アルゲリョvsプライアー、チャベスvsテーラー…中量級の黄金期と全盛もまた、HBOそのものでした。

2003年、マニー・パッキャオがテキサス州サンアントニオのアラモドームでHBOのメインを張ったとき「ああ、ついにここまで登り詰めるボクサーがアジアから現れたか」と感慨深いものがありました。

あれから15年、米国ボクシングの低迷からHBOは予算を毎年圧縮し、ついに来年度予算はゼロ、つまりボクシング産業から撤退することになってしまいました。