トラッシュトークは、ボクシング界の専門用語ではありません。

しかし、多くのスポーツで「それ」が交換されるシーンは、まず見ることが出来ません。

ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルが、試合前に互いを罵倒しあう。

サッカーW杯の決勝前にブラジルとドイツの選手が乱闘騒ぎを起こす。 

ありえませんね。

先日のワイルダーとヒューリーのメガファイト、その宣伝ツアーで両者は素晴らしいトラッシュトークと乱闘を繰り広げましたが、関係者が後ろで笑っていたのは頂けません。

ワイルダーがその鼻が潰れるまでにヒューリーの顔面に押し付けるパフォーマンスも「あんなの相手とのコンセンサスがないと出来ないだろ」と興醒めしてしまいます。 

多くのトラッシュトーク、乱闘騒ぎはイベントを盛り上げるためのパフォーマンスです。

試合終了後にお互いを讃えあったワイルダーとヒューリーを見るまでもなく、それはわかります。

殴り合ったあとに抱擁する、それはラグビーのノーサイドやサッカーのユニフォーム交換を超越した、感動的なドラマのエンディングです。

しかし「本当はおれ、相手をリスペクトしてたんだ」という気持ちの発露は、次の試合のパフォーマンスにとってはマイナスでしかありません。

「アリの頭の中は本当にイカれてるんじゃないか?」

「 メイウェザーは本当の銭ゲバ野郎じゃないか?」

そう思わせ続けることが、本当のパフォーマンスです。

バーナード・ホプキンスが、死刑執行人の悪役キャラで記者会見に臨みリングインする一方で、孤児院や刑務所を慰問することに、メイウェザーは「死刑執行人なら慈善活動の姿は絶対に公表してはいけない。孤児院や刑務所で打ちひしがれた人を励ますなら、死刑執行人の仮面は脱がなければいけない」と思わず本音を漏らしてしまっています。
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メイウェザーは、莫大な金額を慈善活動にも投じています。

その事実を突き止めたCNNに「素晴らしい仕事です。(恵まれない子供達に)メッセージを」と問われたマネーは「私が奴らにカネを使う理由はただ一つ、税金対策だ!これが節税に最適だと弁護士が教えてくれたのさ。私が DVで起訴された4回目の裁判で雇った弁護士だ。そもそも、顔も知らない子供が親から虐待されようが、餓死しようが知ったこっちゃない!」と即答してみせました。

子供って頭が良いんです。そんなメイウェザーを見せられても、メイウェザーが大人の事情で嘘をついてるのが、すぐにわかるんですね、バカなボクシングファンより遥かに賢いのです。

「フロイド、パッキャオに絶対に勝って!」。

そんな健気な声援を聞いても、銭ゲバは一切ブレません。

「当たり前だ!でも、お前たちのためではないぞ、勘違いするな。カネのために勝つ!カネだけのために勝つ!」。

正真正銘、本物のプロフェッショナルです。鳥肌ものの、プロフェッショナルです。 

あそこで「いや、実は私も父親に虐待されたり、厳しい幼年時代を過ごしたので…」なんて告白していたら、地に堕ちた好感度は上がっても「メイウェザーが負けて悔しがる姿を見てみたい」というボクシングファンのイビツなマグマの熱は一気に冷めてしまっていたでしょう。

初めての世界戦で拳を交えたヘナロ・エルナンデスが、癌と闘っていたとき、莫大な治療費(日本円で数億円レベル)を匿名で負担していたのも有名な話です(ボブ・アラムも相当な支援をしていました)。

ヘナロの妻が、愛する人の死をメイウェザーに告げたとき、いつも「この私が何度殴っても倒れなかったヘナロが癌なんかに負けるわけがない」と早口で励ましてくれていた、おしゃべりなメイウェザーが絶句してしまったそうです。

「ヘナロに最後のお別れに来てください。私も子供達もあなたにまだ、一度も会ってお礼を伝えていない」とお願いされても、メイウェザーはどこまでも突き抜けて、メイウェザーです。

「ヘナロとはあの試合で全てを語り尽くした。今更、彼に贈る言葉なんて、一言もないない」。

「テレビや新聞やネットは見ないのかい?今の私は税金の滞納やら借金であちこちから取り立てに追われてるんだ。行きたくても、葬式に行く交通費もないんだよ。そのうちにカネを借りにいくから、そのときには必ず会いに行くから、逃げるなよ」。



こういう小さな記事をほじくり出す行為は、メイウェザーの望むところではありえないでしょうが、私にとっては「銭ゲバのままでは終わらせないぞ」という思いです。

きっと、メイウェザーは他にも、いっぱい慈善活動をしているのでしょうね。 

それらをほとんど経費で計上しないで(したら〝いいヤツ〟だとバレますからね)、米国税務省から「最重要人物」とマークされてるのも…それもまたマネーの生き様です。



本質的には、もちろん銭ゲバで、数百億円稼いだ中から数億円を慈善事業に投資してるだけで、本質的に下劣で嫉妬深い人ですから…ちょっと、褒めすぎましたね。 

ちなみに、メイウェザーが最も感動した〝他人の試合〟は「ヘナロvsアズマー・ネルソン」です。

テレビで観ながら、あのメイウェザーが、感動して泣いたと言います。この試合はYouTubeでも観れます。


これは、HBOのマイク音声が入っているバージョンなら、誰でも泣きます。

それにしても、ヘナロからタイトルを奪ったリング上でも号泣してましたし、ヘナロ妻からその死を告げられたときも泣いたのは間違いありませんから、ヘナロはあのメイウェザーを少なくとも3度は泣かせたわけです。

帝拳のヘナロも、凄い!!!!!!!


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次回は 、もうあの人しかいません。

しかし、私がリアルタイムで観たのは引退間際の1試合だけ。

こんな場末のブログでも、書くもおこがましい偉人ですが…。
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これは、トラッシュトークの達人にして、世界史上最も偉大なスポーツ選手モハメド・アリがインスパイアされたプロレスラー、ゴージャス・ジョージです。 

アリは、知らないくせに語りたいことが溢れてしまう、そんなグレートです。 

先日、ジョージW.H.ブッシュ、父ブッシュが亡くなってCNNは一日中、哀悼の意を流し続けました。

しかし、それでも、2年前のアリを超える内容、時間ではありませんでした。

アリがどれほど偉大か、私はむしろ過大評価してるくらいだと思っていました。

しかし、CNNが48時間もぶっ続けでアリを追悼し、本当にあらゆる雑誌がアリを偲ぶ特集号を出版するに至って、何度もアメリカに行ってるボクシングファンでしたが、あの国にとってアリがどんな存在なのか、何もわかっていなかったことを思い知らされました。

人に生き死に、そこに重軽などありません。極論したら、キリストや仏陀の死も、私の死だって一緒です…めっちゃ大きく出てみました。

それでも、モハメド・アリの死は、アメリカにとっても、ボクシングファンにとっても、重かった。途轍もなく、重かった…。