Breez is Nice!

日本時間今朝のニューヨーク、バークレイズセンターで行われたマイキー・ガルシアvsエイドリアン・ブローナー、この興行のセミファイナルで元ジュニア・ミドル級王者ジャーマル・チャーロが、ミドル級に初見参。154ポンドで見せた圧倒的な動きを、160ポンドでも披露、ホルヘ・セバスチャン・ハイランドを4ラウンドでストップしました。

「ミドル級のビッグネームと戦いたい。俺はトミー・ハーンズの再来だ、この階級は俺に合っている」。今日の相手、ハイランドのレベルを差し引いても、ジャーマルが160ポンドでもトップファイターであることに、疑う余地はありません。

この勝利で、ジャーマルはゲンナディ・ゴロフキンが持っているWBCタイトルへの使命挑戦権を獲得。ゴロフキンが9月16日にカネロに勝てば、早ければ次戦でジャーマルがタイトルマッチのリングに上がることになります。

ここで、ややこしくなるのが、もしカネロがゴロフキンに勝ったケースです。9月16日のメガファイトではWBCのタイトルは賭けられない可能性が高いというのです。そうなると、カネロが勝つとWBC王座は空位となります。


【リング誌:STATE OF THE GAME(各階級詳説)のミドル級から。トップ戦線の一角を担ってきたアッサン・エンダムを事実上圧倒した村田は今や、ミドル級スターウォーズで注目される惑星の一つです。】
 
さらに、根本的な問題としてカネロ、というかゴールデンボーイ・プロモーションがジュニア・ミドル級時代からチャーロ兄弟との対戦を徹底的に避けてきたという背景があります。もちろん、プロボクシングはスポーツである前にビジネスですから「強いけど名前がない」チャーロ兄弟は、ハイリスク・ローリターン、戦う意味がありません。

カネロファンは、オースティン・トラウトやエリスランディ・ララは「強いけど名前がない」ボクサーじゃないのか?と反駁するかもしれませんが、トラウトとララの拳は優しく、危険はありません。もし、カネロがゴロフキンに勝ったとしても、すぐに凶悪な拳を持つジャーマルと戦うことは無いでしょう。

現状でこの階級で最もパンチがあるのはゴロフキン、スピードはカネロではなくジャーマルでしょう。ガードの固さと、純粋な1発のパンチなら村田がトップでしょうが、それでは攻撃力とデフェンスはトップなのかとなると、悔しいかな、現状では一番とは言い切れません。

黒人特有のバネとスピード、パワーを自在に操るジャーマルは、日本人が最も劣等感を感じてしまう存在ですが、村田にはその時が来たら、倒して、勝って、重たい霧を晴らして欲しいですね。

さらに、ここにウェルター級最強と目されているエロール・スペンスJrも食指を伸ばしています。

IBF王者スペンスはWBA/WBC王者キース・サーマンとの統一戦、あるいはマニー・パッキャオとのメガファイトを熱望していましたが、サーマンが肘のケガから戦線離脱、復帰は早くても来年前半、パッキャオもジェフ・ホーンに負けていなかったとしても危険極まりないスペンスを対戦相手に選ぶ理由はありません。

スペンスは「キースの復帰は待ってられない。ゴロフキンとカネロの勝者と戦いたい。普段の体重は160ポンドを超えている。9月16日の勝者とミドル級タイトルを争うことに何の問題も無い」と、BOXING NEWS 24に語っています。

さすがに、ミドル級ではパワー不足でしょうが、カネロ相手ならスペンスのジャブは有効でしょう。トラウトやララ、フロイド・メイウェザー、ミゲール・コット、ジャブの名手にことごとく手を焼いたカネロが、卓越したスピードと回転力のあるスペンスのジャブをさばけるとは到底考えられません。

もちろん、カネロはスペンスとは絶対やりませんが。

いずれにしても、ミドル級戦線、9月16日が最終決着ではなく、そこから本当の物語が始まります。

我らが村田諒太がどのタイミングで、どのビッグネームと激突するのか、期待がどんどん膨らみます。

メガファイトの舞台で、勝ち名乗りを受ける日本人を見てみたいです。見せてください!

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マイキー・ガルシアがエイドリアン・ブローナーをユナニマスデジションで下しました。

117-111, 116-112, 116-112というスコアはかなりブローナーに好意的です。個人的には118−110。

それにしても、ここまで両者の力量に差があるとは思いませんでした。ブローナーのボクシングは完全に読まれてしまっています。そして中途半端なシュルダーロールは相変わらずで、この防御面での欠陥は不治でしょう。

ブローナーが手数で上回れば面白い試合になると予想しましたが、技術とスピードでここまで劣勢ではどうしようもありませんでした。

ブローナーがパンチをもらうたびに首を振って「効いてない」と繰り返す強がりのポーズは、もはや滑稽ですらありました。

CompuBoxによると、ガルシアが放ったパンチは783発、内244発を命中。ブローナーは400発と125発。命中率はお互い31%と同じとはいえ、手数でマイキーを撹乱するしかないブローナーがその手数で半分しか出せないのですから勝ち目はありません。

多くのファンがブローナーに同じシンシナティ出身のアーロン・プライアーの野生を期待しましたが、それも彼には荷が重すぎました。

マルコス・マイダナとショーン・ポーターには力でねじ伏せられましたが、なんとか抵抗も見せました。しかし、教科書通りに美しくまっすぐ飛んでくるマイキーのワンツーには、貝になるしかありませんでした。

「ブローナーの方が速いという人もいたが、ボクシングにおいて見た目の速さなんて何の意味もない。私がいつも言っているが、このスポーツはタイミングが全てなんだ。いくら速くても、いくら強くても、タイミングが悪ければそのパンチは何の威力も持たない」。

マイキーの言う通りです。

大激闘と期待しましたが、結果はミスマッチでしたね。

最後にリング誌電子版から。

「試合が終わってもブローナーはまだ妄想を見てるらしい。『トムとジェリーだったな。ネズミを捕まえなきゃいけなかったんだが…。それでもまだ俺はABだ、大金を稼ぐし、能力の高い男だ。ガルシアが再戦したいなら受けてやる、今度はカリフォルニアでやろうぜ』。カートゥーンでトムは愚かな猫として描かれているが、今日の試合と試合後のブローナーはもっと遥かに愚かだった。彼が今後やらねばならないことは、Bレベルの相手には勝てることを証明することだ。彼は三人のAレベルと戦い、全て完敗した。彼がどんなに見栄を張ろうとも、彼が何者かはもう全てバレてしまったのだ」。

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いよいよ、明日、ニューヨークはバークレイズセンターでゴングが打ち鳴らされるマイキー・ガルシア対エイドリアン・ブローナー。

スーパースター候補と騒がれながらも、マイキーはプロモーターとの契約問題のコジレから、ブローナーは身から出たサビと防御の欠陥が曝け出されたことから、遠回りを余儀なくされた二人の激突です。


【「マイキーとブローナーの未来は明るい」。今から5年前、2012年頃は世界中のボクシングファンが期待していましたが、マイキーはリングの外(契約問題)で、ブローナーはリングの内外で大きな壁にぶつかってしまいました。】

スタイリッシュな人気者マイキーと、リング内外で奔放な野獣ブローナー。この二人の試合は、ちょうど35年前1982年に拳を交えたアーロン・プライアーとアレクシス・アルゲリョが繰り広げたジュニア・ウェルター級の名勝負(第1戦)のような素晴らしい試合になると煽られています。

確かに、140ポンド、ジュニア・ウェルターという階級だけでなく、マイキーとアルゲリョのボクシングはどこまでも美しく、プライアーとブローナーの破天荒な野生も類似しています。また、プライアーとブローナーは同じシンシナティ出身。

共通点はそれだけではありません。マイキーとブローナー、そしてプライアーの3人は身長168㎝、リーチ175㎝と全く同じなんです。ただし、アルゲリョだけは身長178㎝、リーチ183㎝と頭抜けています。

プライアーがジュニア・ウェルター、ブローナーがライト、マイキーがジュニア・ライトと近接した階級からデビューしている一方で、3人よりも10㎝も長身のアルゲリョはバンタム級デビューという点からも、このニカラグア人だけ明らかにシルエットが違います。

そして、明日のニューヨーク決戦の見所は試合だけでなく「ブローナーが140ポンドの体重を作れるのか」という点にも注目が集まりました。

前の試合(エイドリアン・グラナドス戦は140ポンド契約ながらブローナーが体重を落とせなかったことから147ポンドに変更され、試合もグラナドスが勝っていたと見られています)で一悶着を起こしたブローナーは「気を抜いて180ポンド(86.2㎏)まで体重が増えたんだ。そこから40ポンドなんて落とせないだろ?147でも20㎏近く減量したわけだから」「そんな状態だから気持ちも入らないし、体も動かなかったんだ」と言い訳にならない泣き事を並べていましたが、今回は138ポンド3/4で計量を一発クリア。

契約では、1ポンドオーバーにつき50万ドルのペナルティが課せられていましたが、これも払わずに済みました。

この試合はノンタイトルの12回戦(ジュニア・ウェルター級のダイアモンドベルトがかかっていますが、この試合を「階級最高の試合」と認定するとは恐れ入ります、さすがWBCです。もはや「階級最高」の試合にかけるなんて言わなきゃいいんですが…)ですが、トップ戦線に復帰した無敗のガルシアは、キャリア最大のビッグネームとの対戦に無敗のレコードを賭けます。

一方でマルコス・マイダナ、ショーン・ポーターというゴリ押しファイターに二つの黒星を付けられているブローナーは、直近の試合の出来も悪く、評価は急降下、生き残りの一戦となります。

35年前は王者プライアーにアルゲリョが史上初の4階級制覇を賭けて挑む「THE BATTLE OF THE CHAMPIONS(真の王者同士の決闘)」と銘打たれたボクシング史に持つ意味でも大きな試合でしたが、今回は「THE BATTLE OF 〝A〟 CHAMPIONS(数多くの王座が溢れる中で4階級制覇したブローナーと、3階級制覇しているマイキーの戦い)」ですね。


会場は1982年がオレンジボウル(NFLマイアミ・ドルフィンズの本拠地で2008年に解体されましたが、日本人にとってはサッカーの「マイアミの奇跡」の舞台であり、その跡地に建ったのがマーリンズパーク、イチローがプレーするマーリンズの本拠地として思いれがある土地です)。ここに2万3000人を超える大観衆を集めました。

明日のリングはバークレイズセンター。ニューヨークのスポーツシーンを彩る新しいメッカとはいえ室内競技場、キャパシティは1万8000人ですが、さてどこまでシートを埋めることが出来ますか…。

そして、気になる両者の報酬。プライアーは160万ドル(当時の為替レートで約4億円)、アルゲリョが150万ドル。

対して、マイキーとブローナーはそれぞれ100万ドル(現在のレートで約1億1000万円)と、4分の1、35年という長い時間まで考慮すると悲しいほどのスケールダウンです。このスポーツが辿って来た凋落を如実に表す数字です。マイキーとブローナーには、試合内容で100万ドルは安い!とアピールして欲しいところです。

オッズはプライアーvsアルゲリョが5−4レベルで接近、マイキーvsブローナーは試合が近づき拮抗してきたとはいえ2−1でマイキー有利。

35年前は、美しいボクシングと右強打のアルゲリョを、プライアーが野生的な手数とスタミナで侵攻、14ラウンドTKOで決着をつけました。

【2009年7月1日、自宅で亡くなったアルゲリョ。少し疲れて寝ているだけのようにも見えます。その死因は未だに謎のまま、あの英雄が自殺したとは考えたくないのですが…。前年に首都マナグアの市長に当選していたボクシング界の伝説は、北京オリンピック入場行進で旗手も務めました。このときはフィリピンの旗手がパッキャオ、ボクシングファンにとって晴れがましい五輪マーチとなりました。】

今回も、一発の強打はガルシア、手数でブローナーと同じような展開が予想されています。

大方の予想は、ブローナーが集中力を欠いていき、着実にポイントを重ねるマイキーが終盤ストップか明白な判定勝ちする、というところです。

ESPNの視聴者投票でもマイキー勝利が71%(KO42%+判定29%)、ブローナー28%(12%+16%)と専門家予想に沿っています。

35年前は日本でも戦ったアルゲリョを熱狂的に応援しましたが、今回のマイキーにはそういう思い入れはありません。軽率で薄っぺらなブローナーもイマイチ好きにはなれませんが。

天邪鬼ですが、ブローナーのガチャガチャした連打にマイキーが削られていく展開で、番狂わせを予想します。

とにかく、35年前を思い出させてくれるような、両者噛み合った大激戦を期待したいですね!

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明日に迫ったマイキー・ガルシアvsエイドリアン・ブローナーのジュニア・ウェルター級ノンタイトル12回戦。

スタイリッシュな人気者と、破天荒な野獣の激突。35年前のアーロン・プライアーvsアレクシス・アルゲリョのような名勝負が期待されています。

…と、この注目の一戦について書こうと思っていたのですが、上海で木村翔がとんでもない大番狂わせを起こしてくれました。

マカオでは20−1、欧米でも10〜15−1とブックメイカーが軒並み一方的なオッズを立てたWBOフライ級タイトルマッチで、王者ゾウ・シミンを11ラウンドTKOに屠りました。

海外でも Big upsetを通り越して、Massive upset、とんでもない大番狂わせと報道されています。普通に考えたら、今年のUPSET OF THE YEARは決定、日本ボクシング史上でも過去最大の大番狂わせです。

試合前の会見では「そりゃ日本でやるのがいいですが、僕はそういう選手じゃないので」「ゾウはスーパースター。僕は日本でもうんこ、下の下」と卑下しながらも、「ここまで来たらやるだけ」と異常な闘志を燃やしていた木村でしたが、なにしろ相手はゾウ。

ただし、ゾウは五輪2連覇とはいえ、プロ入り後の評価は決して高いものではありませんでした。36歳という年齢は、単なる経年劣化だけではなく、長年染み付いてしまったアマチュアスタイルをプロ仕様にモデルチェンジするにはあまりにも厳しい数字で、過去の10戦からもゾウの能力に伸びしろがないのは素人目にも明らかでした。

それでも、この中国人が難攻不落と見られていた根拠はたった一つです。強い相手、危険な相手を徹底的に避けて保護されてきたからです。フライ級時代のローマン・ゴンザレスと戦っていたら中盤までも持たなかったでしょうが、ロマゴンのいるリングに上がらなければ、負けることはありません。

【リング誌9月号:STATE OF THE GAMEから。ゾウは、フライ級で「MOST PROTECTED(最も過保護な選手)」に挙げられています。そして、河野公平との試合が決定しているやはり中国のレックス・ツォーもジュニア・バンタム級で「MOST PROTECTED」。河野も木村に続いて、過保護なスターを蹴散らして、大番狂わせを起こしてほしいものです。】

アマチュアスタイルから抜け出せないまま36歳まで保護されてきたゾウの試合は中国だけで数千万人が視聴し、その報酬は50万〜80万ドル、ロマゴンも凌ぐ高級取りです。

さらに、この試合はトップランクと袂を分かち、自ら立ち上げたプロモーションが取り仕切る、記念すべき最初の興行でした。

無名の日本人を豪快に倒して、その門出を祝おうという腹づもりだったのでしょうが、この貴州省出身のアマエリートには、国ぐるみで過保護に担ぎ上げられたデビュー時点から、スターダムに駆け上がるプロボクサーに絶対必要条件であるハングリーさも、煮え切らない試合を繰り返す自身への反省も見えませんでした。

それにしても、まさか木村がゾウをTKOするとは…。プロテクトされてきたとはいえ、それはアマチュアで飛び抜けた実績を持つが故です。対戦相手を吟味しているというのも、ゾウが弱いボクサーというわけではけしてありません。

ジョージ・フォアマンやオスカー・デラホーヤがそうであったように、ゾウが保護されるのは傑出したアマエリートが辿る鉄板ロードだったのですから。

とにかく、ものすごい超大金星です!本当によくやった!

10ラウンド終了時点でボクシングニューズなど米国メディアは2、3ポイント差で木村を支持していましたが、公式ジャッジは94−96、93-97、96−94と2−1でリードを許しており、倒さなければ、あるいは倒しても判定までいけば逃げ切られてしまうかもしれない展開でした。

スタートから貫いたボディ攻撃は本当に、お見事でした。

完全な咬ませ犬が、スターを倒す。フィリピン人ボクサーのお家芸でしたが、裕福な日本では強いボクサーを咬ませに差し出すことはありえません。今回の木村も、ジムの経済力も含めて、弱かった…いいえ、失礼いたしました、弱く見えたことからゾウに選ばれたのです。

それにしても、すごい!木村選手、本当におめでとうございます!!!

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2年近いブランクがあり、今年で37歳になるコットに全盛期の実力が無いことは明らかです。

加齢によって最初に失われる要素はスピードだと思われがちですが、現実には「反射」です。技術や理屈ではなく、反射的に防御したり、攻撃に転じたりする一瞬の反応は加齢によって真っ先に鈍化してしまいます。現在のマニー・パッキャオはその典型です。

次に衰えるのが「動体視力・視野」です。全盛期のフロイド・メイウェザーは相手のつま先(実際に動きだす方向)と目(フェイント)を同時に見ることが出来たと言います。余程の距離を取ればありえますが、マネーは接近戦でも見えたと言うのですから驚きです。これは川上哲治の「ボールが止まって見えた」と同じ話ですね、現実にはありえないことです。そして、その超人的な〝動体視野〟が衰えてからは、防御優先のタッチボクシングに傾倒していきました。

加齢によってじわじわと進行するのが「打たれ脆さ」です。激戦を重ねることで、鋼鉄のアゴでもグラスジョーに変質してしまいます。鋼鉄のアゴと聞いてすぐ思い出すフリオ・セサール・チャベスも、エリック・モラレスも、晩年は打たれ脆くなりました。

さらに、脚のスピードと、試合でのスタミナも年齢とともに失われてしまいます。練習のインタバルで若い頃よりも速いタイムで走れても、現実のリングではその脚は動いてくれません。パッキャオもメイウェザーも、そしてコットも加齢に伴い省エネボクシングに傾いていきました。

しかし、ハンドスピードの喪失の執行猶予は、意外なほど長い時間が与えられています。アンチエイジングの象徴的な存在であるジョージ・フォアマンと、バーナード・ホプキンスはそのことをリング上で実証しました。

そして、年齢を重ねても最後まで残るのがパワーです。

「私の左ジャブは40半ばでもイベンダー・ホリフィールドを止め、シャノン・ブリッグスを幻惑させる速さがあった。そしてパンチの威力は若い頃よりも間違いなく大きかった」(フォアマン)。「とにかく相手に考えさせることだ。まずパワーパンチを見せて警戒値を膨らませ、ジャブを差し合ってチェスのような展開に持ち込むことだ」(ホプキンス)。


【多くのスーパースター同様、プロモーターやトレーナーとの関係は長続きしないコットですが、フレンチブルドッグの愛犬とはどこへ行くのも一緒、良好な関係を続けています。】

今のコットは、往年の反射や動体視力・視野、軽快なフットワークを失っています。それでも、フォアマン並みのジャブの名手であることはパッキャオやカネロ・アルバレスとの一戦を見るまでもなく明らかです。

身長、リーチでコットを上回る亀海ですが、コットとジャブの差し合いをしても勝負になりません。

偉大なプエルトリカンの全盛期はスピード自慢のザブ・ジュダーとシェーン・モズリーを破った2006〜2007年のウェルター級王者時代ですが、その左右フックのパワーは階級を上げた今でも健在です。

一発殿堂確実、コットのジャブとフックは、世界のトップレベルで戦った経験のない亀海にとっては異次元の代物です。序盤でコットの左右フックの威力に怯んで、左ジャブで翻弄される展開になると、試合は早く終わってしまうでしょう。

一方で、マルガリートとの2戦で露呈したようにコットは体力で押してくるスラッガーへの対応能力は高くありません。

肉を斬らせ続けるラウンドを重ねて、徐々に体力勝負の乱打戦に引きずり込む。美しくジャブを差し合うクラシックな戦い方では勝負になりません。亀海が勝つ方法は、それしかありません。

亀海の大金星を後押ししてくれる記事を見つけました。リング誌電子版で、今月15日のオマール・フィゲロア戦で生涯初のTKO負けを喫して引退宣言したロバート・ゲレーロが「BEST I FACED(私が戦った最強の相手)」の中で、亀海をBEST CHIN(最も打たれ強い)と評価してくれています。「会心のパンチもヒットさせたがビクともせずに向かってきた。亀海の過去の試合を見ればわかるが、どんな強打にもひるまず打ち返してくる。あの打たれ強さは信じられない」。

ゲレーロが認める打たれ強さで序盤の劣勢をジワジワ挽回して、終盤に乱打戦に持ち込めるか。大番狂わせを期待したいですね!

***閑話休題***

…もうすぐ大田区総合体育館でライトフライ級(WBA/田口良一vsロベルト・バレラ)、ミニマム級(ホセ・アルグメドvs京口紘人)のゴングが鳴ります。複数の日本人がトップ戦線を走る階級だけに、今後の日本人対決も実現して欲しいところです。

意外というと失礼ですが、田口がアバウト3−1、京口が2−1で明白に有利のオッズが立っています。

…先日のザ・フォーラムで三浦隆司に完勝したミゲール・ベルチェルトの防衛戦に、ジョニー・ゴンザレスが名乗りをあげました。今日の試合で無敗のフィリピン人、ジェシー・ロサレスを2ラウンドで粉砕、WBCラテン王座の初防衛に成功、リング上からベルチェルトとの対戦を熱望しました。

そろそろ無名の相手にコロッと負ける頃と思ってましたが、どっこい生きてたジョニゴン。フィニッシュのボディブローはお見事でした。三浦との打撃戦も見てみたいところです。

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