カテゴリ: オッズを蹴散らせ!大番狂わせを巻き起こせ!

Saturday 21, February 2026
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission 
event name:The Ring: High Stakes
promoter:Tom Brown, Oscar De La Hoya
matchmaker:Eric Gomez,
        Whitfield Haydon,
                       Javier Razo

 view on DAZN PPV 

WBAジュニアウエルター級12回戦

©︎ゲイリー・アントゥアン〝The Last〟ラッセル
vs
平岡〝Da Blade〟アンディ



ラッセルの評価の低いのは対戦相手の質。それを言い出すと、アンディのキャリア最高の相手は、日本に引っ張り込んだ41歳のイスマエル・バロッソ。

ただ、ラッセルが底を見せたファイターであるのに対して、アンディはまだ何も試されていません。

試合開始!

前半戦は難しい展開も、第6ラウンドになってようやく攻勢。アンディのボディショットに王者の顔が歪む。

第10ラウンド、アンディがローブローを取られて1点減点。これは痛い。

チャンピオンシップラウンド。アンディが意地の猛攻。倒せ!採点は微妙。

最終回もアンディが取ったか。

And New…を聞かせてくれ!!!!!

and still…オフィシャルは117-110/116-111*2のユナニマスで王者の防衛。


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前半、無駄にラウンドを与えてしまいました。結果論ですが。

117−110のスコアに「アンディが3ラウンドしか獲っていないなんてありえない」と、怒る会場のボクシングファンもいますが…。そうですね、117−110はない。

116−111も、アンディに厳しい。もっと競った内容でした。

じゃあ、負けはあり得ない不当判定か?と言われると…。

これが軽量級なら「もう一丁!」ですが、激戦の人気クラス。次のチャンスがいつ巡ってくるか…。
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Saturday 21, February 2026
  
T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commission Nevada Athletic Commission
event name The Ring: High Stakes
promoter Tom Brown (TGB Promotions),
                Oscar De La Hoya (Golden Boy Promotions)
matchmaker Eric Gomez, Whitfield Haydon, Javier Razo
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スクリーンショット 2026-02-21 20.48.29



平岡アンディ。

直近の試合は昨年ではなく、一昨年の9月(イスマエル・バロッソ戦)まで遡ります。

渇望のタイトルマッチがセットされたのは、昨年の11月14日。万全に仕上げた29歳は、あした渡米というタイミングで興行自体が中止になったことを知らされます。

そして、仕切り直しとなった今回。ビザが発給されない想定外のアクシデントに、本当に直前まで渡米できない可能性が膨らんでいました。

前日計量は0.5ポンドアンダーと余裕をもってクリアしたのも、急な展開でとにかく無理矢理にでも落としたんじゃないか?彫刻のように削り取られた肉体に、最高の仕上がりよりも脱水症状の心配をしてしまうのは杞憂か?

アウエーのラスベガス。「大健闘も微妙な判定負け」は十分にありえます。

さらに、挑戦するチャンピオンは強打のゲイリー・アントゥアン・ラッセル。早い段階でノックアウトされても、散々振り回されての直前の渡米、そんな〝事故〟も起こるでしょう。

本人には何の責任もないのに、幾つも重なった不運。

敗北の言い訳は、いくらでも用意されています。



だからこそ。

だからこそ!!!!!!!!!!!
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140ポンド、ジュニアウエルター級は日本人のタイトルホルダーを3人輩出しているとはいえ、33年以上も遠ざかっている難関階級です。

現在の勢力図は、1月31日に人気者テオフィモ・ロペスに完勝してリング誌/WBO王者の座に就いたシャクール・スティーブンソンが最強候補。

スティーブンソンの王座獲得は、大方の予想通りでした。

それに先立って、1月10日にスブリエル・マティアスをTKOで倒してIBFタイトルを強奪したダルトン・スミスは番狂せ。

わずか21日で二つのストラップの所有者が変わった140ポンド級。

明日、T -モバイルアリーナではオッズや予想の通りの結果が出るのか?それとも番狂せか?

もし、明日も2人の王者が陥落すると、今年に入ってまだ2ヶ月足らずで4つのタイトルが入れ替わることになります。

「誰が見たって強い選手が多い激戦階級だ。大きな試合が組める。だからこそ、やりがいもある」と話すIBF王者のリチャードソン・ヒッチンズは、オスカー・デュアルテの挑戦を受けます。


“Congratulations to him or whatnot, but he has a title, and he's on the radar. If I beat him, I feel like I would then earn the credit that I deserve, like I, Gary Antuanne Russell, is the true boogeyman of 140.”

WBC王者ゲイリー・アントゥアン・ラッセルは「スティーブンソンはロペスを相手に素晴らしいパフォーマンスを見せた。評価が上がるのも当然だ。ただ、私が彼を倒せば、その評価は全部こっちのもの」と語り、平岡アンディをクリアした先にあるビッグファイトを見据えています。

ヒッチンズとラッセルには、スティーブンソンのような評価も、スミスのような人気もありません。

ただ、この階級を統一すると、少なくとも高い評価が手に入ることはわかっています。




アンディが番狂せを起こすと、ジュニアウエルター級のトップ戦線に名を挙げることになります。

日本のボクシングファンが、この階級の価値を理解して期待を膨らませるなら、スティーブンソンを日本のリングに引っ張り上げることができるかもしれません。

スミスなら英国に乗り込むしかないかもしれませんが、それはそれでワクワクします。今度は渡航が遅れるなんてことはないでしょう。

大一番のゴングが打ち鳴らされる瞬間が近づいてきました。




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Saturday 21, February 2026

T-Mobile Arena, Las Vegas, Nevada, USA
commission:Nevada Athletic Commission
event name:The Ring: High Stakes
promoter:Tom Brown (TGB Promotions),
      Oscar De La Hoya (Golden Boy Promotions)
matchmaker:Eric Gomez, Whitfield Haydon, Javier Razo
view on DAZN PPV 



いよいよあと1週間に迫った平岡アンディがWBAジュニアウエルター級王者ゲイリー・アントゥワン・ラッセルに挑戦する大勝負。

このイベントでは、もう一つのジュニアウエルター級タイトルマッチ、IBF王者リチャードソン・ヒッチンズvsオスカー・デュアルテ・フラドもセットされています。

プロモーターとマッチメイカーの「次は統一戦」という思いが透けてくる、楽しみな2試合です。このクラスで最強と目されているのはリング誌/WBO王者でPFPランキング急上昇中のシャクール・スティーブンソン。

そして、WBCはスブリエル・マティアスを番狂せで倒した英国の〝新〟ブルーカラーの英雄ダルトン・スミス。

アンディにとって、イベントタイトルの通りのまさに、High Stakes(大一番)。人気階級だけに、勝てば日本人が見たことのない風景が待ち構えています。

ウィリアムヒルの見立てはアンディの勝利が5/2(3.5倍)、ラッセル2/7(1.29倍)。アンダードッグは当然として、大きく離れた掛け率ではありません。

も一つのジュニアウエルター級タイトルマッチはヒッチンズ1/6(1.17倍)、4/1(5倍)。

リング誌の階級ランキングは王者がスティーブンソン、1位がスミス、2位がヒッチンズ。ラッセルはタイトルホルダーながら7位。

ESPNのトップスリーはスティーブンソン、テオフィモ・ロペス、キーショーン・デービス。ヒッチンズは4位。ラッセルは8位。

いたずらにKO記録を作ってきたラッセルは、タイトル持ちとしては非常に評価の低いファイターです。対する平岡もまともなランキングではいずれも圏外。

WBAストラップがステイクされているとはいえ、階級最強決戦とはかけ離れた〝偏狭〟タイトルマッチ。

それでも、舞台は〝茶番のインフルエンサー〟ライアン・ガルシア(vsマリオ・バリオス)がメインをつとめるT−モバイル・アリーナのビッグイベント。露出度は満点です。

勝てば、花火が上がります。




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How did The Ring magazine report that Massive Upsets?

1970年12月11日、金曜日。メキシコ、バハ・カリフォルニア州ティファナ市の巨大アリーナ。

フリオ・セサール・チャベスやルーベン・オリバレスが憧れたWBCフェザー級王者ビセンテ・サルディバルが柴田国明を迎える防衛戦。

まだ、WBAからWBCが分離独立して日が浅かった時期でしたが、WBCが国策並みの根回しを経て立ち上がったことからも、メキシコにとってこのスポーツがどれほど重要なのかは容易に想像できるでしょう。

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リング誌1971年3月号。ファノ・アルメンダリスの記事にもジョー小泉が登場します。

******

「サルバディルが柴田に楽勝するのは既定路線だったが、日本の特派員(ジョー小泉)から「柴田は簡単な相手ではない」と警告が届いていた。

サルバディルは8年前に喫した敗北が唯一の黒星。誰もが「史上最高のサウスポー」と認める、最強のフェザー級王者だった。

柴田に勝ち目はないと考えるのが常識的だったが、オッズは5−4。ブックメーカーの冷静な目は、強打の日本人にもチャンスがあると見ていた。

13ラウンド終了TKO。

オッズは拮抗していたとはいえ、衝撃的な滅末だ。あのサルディバルが負けたのだ。

そして、この番狂せが決してフロックではないことは、この試合を見た誰もが思い知らされた。規律正しい、根性のある23歳の日本人が丁寧に徹底的に絶対王者を削っていったのだ。

世界中のボクシングファンが驚いただろう。そして、日本では多くの人が柴田の快挙を狂喜乱舞しているだけでなく、もう一つの大勝負への期待が膨らんでいる。

1971_柴田チャンピオン
リング誌の評価は柴田が王者。WBAの西城は1位。それにしてもこれぞ世界ランキング。現代のデタラメにも程がある、認定団体都合で並べられた無茶苦茶な順番とは全く違います。


リング誌も柴田を正当なフェザー級王者と認めたが、WBAへの思い入れのある日本では西城正三との決戦が求められているのだ。

世界的には無敵のサルディバルが敗れた喪失、日本では柴田の勝利がさらなる大きな試合につながると考えられている。

*********

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⬆︎こちらは、柴田と西城のフェザー級決戦を持ち上げるジョー小泉のレポート(1971年4月号)。




日本のファイターが敵地で打ち上げたどでかい花火を、リング誌の素晴らしいアーカイブから振り返ってゆきます。



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平岡アンディが11月14日(日本時間15日)にマイアミ州でWBAジュニアウエルター級王者ゲイリー・アントアン・ラッセルに挑戦することが決定しました。

舞台はカセヤセンター。Netflixが世界配信する「ジェイク・ポールvsガーボンタ・デービス」のメガイベントでセミファイナルに組まれると見られています。

ジュニアウェルター級で「世界」のストラップを獲ったファイターは、日本ボクシング史上3人しかいません。



最初は藤猛。1967年にローマ五輪銀メダリストのサンドロ・ロポポロを2ラウンドで仕留めてUndisputed championに。初防衛戦も4ラウンドでKOしますが、所属のリキボクシングジムとの金銭関係のもつれから、JBCに提出した引退届けは受理されず。

ボクシングに集中できないまま、WBCタイトルが剥奪され、WBAのみがステイクされたニコリノ・ローチェとの防衛戦に失敗(10ラウンド終了TKO負け)。

藤猛が在位(1967年4月30日〜1968年12月12日)していた時期は、すでにWBAからWBCが独立していたものの、一部の階級では王座は分裂していませんでした。



藤猛から19年後の1986年、浜田剛史がジュニアウエルター級のWBCストラップをレネ・アルレドンドから初回KOで鮮烈に奪取。

初防衛戦はのちの名トレーナー、ロニー・シールズに辛勝するも、2度目の防衛戦でアルレドンドと再戦し第6ラウンドTKOに散りました。

浜田の時代は完全な2団体分裂時代。WBAはウバルト・サッコやパトリツィオ・オリバ、IBFはジョー・マンリーやゲイリー・ヒントン、テリー・マーシュと地味な王者がパッとしない交代劇を繰り広げていました。

しかし、一つ下のライト級はWBAでレイ・マンシーニやリビングストン・ブランブル、エドウィン・ロサリオが闊歩、WBCにヘクター・カマチョが派手なネオンを煌めかせ、ジュニアライト級からフリオ・セサール・チャベスがライト級に食指を伸ばしていました。

満身創痍の浜田が安定長期政権を築くーーーそんなことは誰も期待していませんでしたが、一つ間違えば歴史的なスーパースターと拳を交えるタイミングだったのです。




ロサリオが「歴史的なスーパースター」といえるかどうかは別にして、1992年にメキシコの闘牛場でWBA王者ロサリオをわずか92秒で失神させてしまった平仲明信の大番狂せは歴史的でした。

リングに駆け上がったドン・キングとのツーショットも衝撃的でした。

当時のWBC王者はPFPキングのチャベス。IBFはパーネル・ウィテカー。現在とは違い、団体間の確執が深く、統一戦の実現は容易ではありませんでした。

それでも、藤猛の時代とは違い、堂々の人気階級になっていたジュニアウエルター級の牙城を日本人が崩したことに、大きな夢が広がった…そう感じたものでしたが。



ーーーそして、平仲明信の衝撃から33年。

この間、ジュニアウエルター級はますます日本から遠い存在のクラスになってしまいました。



今年6月には、さらに遠く彼方のウエルター級で佐々木尽がブライアン・ノーマンに人気階級の壁の厚さ、高さをまざまざと見せつけられました。

11月にアンディが挑むラッセルは、かつての勢いは失っているものの、強打のラッセル。

29歳のサウスポー、同い年対決の掛け率(bet365)はラッセル勝利が4/11(1.36倍)、アンディは11/5(3.2倍)。

兄の元WBCフェザー級王者ゲイリー・ラッセルの全盛期のような難解な相手ではありませんが、アンディにとってキャリア最強の相手です。

それでも、パワーもテクニックも大きく見劣りしません。

大きなダメージを負うことなく、序盤を潜り抜ければ十分チャンスがあるはず。


藤猛は第2ラウンド、浜田剛史と平仲明信は初回で勝負を決めました。彼らと同じ衝撃をフロリダから届けることが出来るか?

おそらく、アンディが序盤から仕掛けることはないでしょう。その意味では早いラウンドで試合が終わる可能性は高くありません。

もし、それが起きるとしたらアントアンが威嚇も込めてスタートからアクセルを踏み込み、アンディが迎え打たざるを得なくなった状況でしょう。

メインイベントのexhibitionがシナリオ通りに塩試合になるのは間違いなし。

世界配信の大舞台で、主役を喰うスペクタクルな大番狂せを期待します!

がんばれ、アンディ!!!






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スポットライトから外れた軽量級ファイターたちは、栄光と報酬を求めてライト級以上の人気階級を目指してきました。


「中量級の壁」なんて幻想だ。

佐々木尽の惨敗に際して、平岡アンディがボクシング・ビート9月号で絞り出した言葉です。

中量級。欧米基準でいうと軽量級はライト級以下、中量級はジュニアウエルター級からミドル級を指すことが多いのですが、日本ではライト級も含めてミドル級までの5階級、あるいはフェザー級まで「中量級」と表現することが珍しくありません。

ミドル級が事実上の最重量の日本では、ウエルター級〜ミドル級は文句無しの「重量級」になりますから、フェザー(羽毛)級が中量級という感覚は何もおかしなことではありません。

ライト(軽量)級からが欧米のボクシング。ジュニアフェザー級以下の軽量級は米国で州タイトルが存在しないことも普通にあります。

ライト級からの人気階級であるがゆえに層も厚く、報酬も高く、つまりボクシングに集中できる専業ボクサーの比率も高くなります。

人気階級のハードルが、不人気階級(軽量級)よりも高いのは当たり前で、そこに「壁」があるのも必然です。

その意味ではアンディの「幻想」という考えは間違っています。そこに横たわっているのは、幻想ではなく、厳しい「現実」です。

軽量級の井上尚弥や中谷潤人が人気階級で同じことをやってのけていたら、つまりライト級を手始めに3階級、4階級制覇を果たしてチャンピオンクラスのスターを根こそぎ倒していたら、世界の捉え方がまったつ違っていたことは、狂信的な井上信者ですら否定できません。

誤解を恐れずにいうと、人気階級はサッカーや野球とすると、軽量級はフットサルやソフトボール。コアなマニアは興味を示しても、カジュアルなファンは認知していません。

軽量級にも中谷潤人や井上尚弥のような強豪王者は生まれますから、彼らを倒すよりも中量級の穴王者に勝つ方が易しいという見方はできますが、一般的には「中量級の方がはるかにレベルが高い」のは言うまでもありません。

日本人中量級はなぜ世界に通用しないのか?

理由は簡単で「中量級はレベルが高い」「人気階級だから日本で好き勝手できない(チャンスが極端に少ない)」からの2点に集約されます。



どうして人気階級から目を背けるのか???の続きです。

今回もジョー小泉の通用しない理由は「技術の問題」という考え方もご紹介しながら。





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ボクシング・ビート8月号「ジョー小泉の珍談奇談」から「日本人中量級はなぜ世界に通用しない『世界の壁』突破の試案その1」について。

佐々木尽のウエルター級挑戦が惨敗に終わったことを受けての記事です。

「軽量級選手が多数、世界を制覇する一方で、中量級以上ではパワー負け、技術(特に防御)負け、スピード負けしている現実にどう対処すればいいのだろう」というテーマに迫っています。

そして、その対処法として「軽量級と中量級の教え方は違えるべきか」として、「手打ち、連打型の軽量級」「パワー、強打型の中量級」の差があるとして、結論は9月号の「その2」に持ち越されますが、教え方を変えるべきという立場を示しています。

「手打ち、連打型の軽量級」「パワー、強打型の中量級」という棲み分けは、非常に単眼的な見方で、ジュニアフェザー級の井上尚弥はもちろん、バンタム級を実質制圧している日本人選手を見ても「手打ち、連打型」では括れません。


「日本人中量級はなぜ世界に通用しない」、本当の原因は大きく二つ。

一つ目は、スタイルの差ではなく日本人が好き勝手できないクラスだからです。

具体的には、コストが大きく「挑戦機会があまりにも少ない」から「穴王者狙いのマネジメントが効かない」からです。

もし、ウエルター級が好き勝手できる階級なら、日本人初のウエルター級王者を狙う場合「まずはマリオ・バリオス」だったはずです。

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バリオスはウエルター級を好き勝手できるマニー・パッキャオに取られてしまいますが、〝まずは〟ならブライアン・ノーマンJr.は危険すぎます。

もちろん、そんな好き勝手を言っていては、チャンスが限定されている中量級ではいつまでたっても挑戦できません。何度失敗してもチャンスが与えられる軽量級とは全く違うのです。

そして、パッキャオやフロイド・メイウェザーが人気階級で見せたパフォーマンスは運動量豊富な軽量級のボクシングでした。

軽量級と中量級の指導に大きな差はありません。

「日本人中量級はなぜ世界に通用しない」原因の二つ目は、国内レベルが低いから。

世界レベルにある練習相手はゼロ、ほとんど手探りの状態でシャクール・スティーブンソンやアンディ・クルス、ノーマンに当たって砕けろとばかりに挑戦したのが吉野修一郎であり、三代大訓であり、佐々木尽でした。

贔屓目かもしれませんが、ダウン応酬のようなギリギリの戦いなら日本人は勝負根性で上回ったかもしれません。しかし、彼らとの実力差は勝負根性が試される次元ではありませんでした。

豊富で多彩な練習相手に不自由しない海外を拠点にするのは、「世界の壁」突破の解答になるかもしれません。

そして、村田諒太のように奇跡的にアマチュアでハイレベルのスタイルを確立したボクサーなら、プロ転向を機に米国を拠点にすべきだったと思いますが、多くのボクサーは早い段階から米国で練習・試合をすべきです。

亀海喜寛は日本でマエストロと呼ばれたテクニシャンでしたが、米国では小手先の技術は通用せず、天性の打たれ強さを全面に出した激闘型への転身を余儀なくされました。

真逆のスタイル転換を強いられながらも、最高峰の舞台でも潰されずにゲートキーパーの手前まで辿り着いた亀海はやはりマエストロだったのでしょうが、本来なら、米国でマエストロとして成長すべき才能だったかもしれません。

「挑戦機会が少なすぎる」「練習相手がいない」という問題さえ解決されていたら、ウエルター級の空白などとっくの昔に埋められていたはずです。

そして、日本のジムやファンがラスベガスを目指したいと本気で考えているなら、そこがメジャーリーグだという意識を明確に持つことです。

「軽量級でPFPに入ったからゴール」という考え方も間違ってはいません。

しかし、ラスベガスの大会場でPPVイベントのメインを張るのがメジャーリーグだとしたら、軽量級はベガスとは無縁の日本が主要地域のマイナーリーグなのです。


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どうして英国のスター選手は噛ませ犬のメキシカンに大番狂せを起こされるのか?

これは、フィリピン人にひっくり返される日本人にとっても笑い事ではない。

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ドアを開けると、そこは外気よりも湿度がグッと高くなる空間。

汗の匂い、ワセリンの匂い、揺れるパンチングボールやサンドバッグが軋む音。トレーナーの声、選手の荒い呼吸。3分間と1分間を刻むブザーの音…それはニューヨークの近代的なジムでも、メキシコシティーやマニラの場末のジムでも全く変わらない。

目を瞑ってそこに立たされると、それが東京なのか、ニューヨークなのか、メキシコシティーなのか、マニラの外れなのか、誰にもわからないだろう…いや、気温が違う。

目を瞑っていても、メキシコやフィリピンの不快指数100%のねっとりした空気が全身にまとわりついてくる。

メキシコやフィリピンのジムはとにかく暑い、暑すぎるのだ。蒸し上がった空気をかきまぜるだけの扇風機も、3台あれば1台は壊れて動かない。

そして、目を開くとメキシコやフィリピンのジムの狭さに、まず驚くだろう。

もちろん、リングも狭い。

後楽園ホールの18フィート(約5.48m四方)のリングは小さいことで世界中の関係者に知られているが、メキシコやフィリピンのジムに置かれている粗末なリングの相場は、なんと14フィート(4.26m四方)だ。

欧米は中重量級、メキシコやフィリピンは欧米のレーダーが捕捉しにくいジュニアライト(130ポンド)級以下、それどころかストロー(105ポンド)級、フライ(112)級、バンタム(118)級の超軽量級のゾーンに多くの選手を抱えている。

だから、リングも小さいのは当然にも思えるが、答はそうではない。

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マニラのジムの中の蒸し暑さときたら。普通の人なら20分で限界だ。カメラのレンズも曇りがち。

記者がお願いするとボクシング番組「ブロウ・アンド・ブロウ」でNo.1人気を誇るまだ中学生のようなあどけない小さなファイターは「ちょうど僕も外の空気を吸いたかった」と笑ってくれた。

ジムの外の狭い路地も蒸し暑かったが、かすかな風が抜けてくれるだけでもまだマシだった。錆びた排水管は鈍い音を出して臭い水を漏らしていた。

この少年に明るい未来が用意されていますようにーーーその祈りは、きっとそんなことにはならないという絶望の裏返しだったのだが…。



小さい選手が多いから、リングも小さい。

そして、英国や日本のトレーナーやプロモーターが、JBC規格(18フィート以上)にも満たない、あまりにも小さいリングについて「小さい選手が多いというよりも、貧乏だからまともなリングを買えないんだろ」と笑ったのも、あながち間違いではない。

いや、それが大きな理由だけでなく、それだけかもしれない。小さなリングしか買えない理由は、経済事情だっただろう。

少なくとも、最初は。



メキシコやフィリピンのマネージャーやトレーナーは「特にこれからボクシングを学ぶ選手には、練習用のリングは小さくなくてはならない」と断言する。

「小さなリングで練習するとサボれないんだ。足を使ってリングを大きく使え、というのは米国のトレーナーの口癖だが、楽をしちゃいけない。ボクシングは鬼ごっこじゃない、男のスポーツだ。攻めてくる相手から逃げるなんて言語道断」。

どうやら、彼らは恐れ多くもシュガー・レイ・レナードを否定するつもりか?

「足は逃げるために付いてるんじゃない。強烈なパンチを打ち込むために、踏み込むために、足は付いているのだ」。

「メキセキューショナー(メキシコ人死刑執行人)と呼ばれたマニー・パッキャオはみんな大好きだ。メキシコのスーパースターが倒されて悔しくなかったのかって?悔しくなかったといえば嘘になる。しかし、パッキャオはメキシカンスタイルを貫いたんだ」。

「打撃戦をとにかく好むのがメキシカンスタイルだ。ただ、攻撃だけを考えてディフェンスを無視しろとは言っていない。もちろん、アントニオ・マルガリートのようなファイターは人気が出るが、実はメキシカンスタイルで最も重要なのは防御だ」。

「どちらのパンチも当たる距離は死角だらけの危険極まる空間だ。こっちの死角を減らして、相手の死角を探すんだ。そのためには頭の位置を急がしく動かさなければならない、胴体を巧みに捻らなければならない。これを、非常に限定的な空間と動作の中でやらなきゃならないんだ」。

「足を使って逃げるだけの単細胞とは違うんだ…これはデビン・ヘイニーだけをディスってるんじゃないぜ。クロスレンジで拳を交換する方が、ずっとSweet Scienceだと思わないか?メイウェザーとかヘイニーなんて、誰も自分の子供にそんな名前を付けない。負け犬、逃げ犬の名前だからな」。

「そういうことだ。広いリングは負け犬を育ててしまう。狭いリングは偉大なメキシカンスタイルのファイターを生み出すんだ」。

パッキャオやロベルト・デュランのクロスレンジ(の戦い方)は、おそらく天性だ。

井上尚弥がメキシコの狭いリングで練習したなら、アマチュア時代から指摘され続けるクロスレンジの欠点が改善されるかといえば、おそらくそれはない。

不快指数100%に蒸しかえるジムの劣悪な空気に、狭いリング、そして貧困という名のハングリー。

北米大陸からやはり狭いビジネスクラスを乗り継ぎ、ロンドンのヒースロー空港までの長旅でも、彼らの燃える闘志を消すことは出来ない。

そして、練習場所と試合会場でのリングチェックを終えた彼らは、こう言うのだ。

「街はきれいだし、涼しいし、過去最高のファイトマネー。ここは天国だ。(ファイターに不利なリングの広さはきにならないか?と聞かれて)なんの問題もない。私の仕事がより詳細に伝えられただけ。つまり、リングの中で逃げ回る英国人を追い回せばいいんだろ」。




ーーーーーWhy do Mexicans and Filipinos tear up the script?〜どうして彼らは人がせっかく書いた脚本を引き裂くのか?③へ








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どんなスポーツでもGiant-Killing は衝撃的で、それを成し遂げたアンダードッグの生き様、成り上がりの歌は感動的です。

しかし、大きな試合になればなるほど、AサイドとBサイドが存在するボクシングで引き起こされる大番狂せの衝撃は他のスポーツの比ではありません。

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日本のスポーツファンに強烈な記憶を刻んだ「マイク・タイソンvsバスター・ダグラス」は、タイソンにとってはイベンダー・ホリフィールド戦への調整試合、だから米国ではなく日本、だからダグラスが選ばれたのでした。

タイソンは「大きく重い相手、長いリードを操るボクサーに分が悪い」ということは、すでに指摘されていましたが、ダグラスはタイソンが最も得意とする「タイソンを恐れて試合前にすでに負けているボクサー」の典型に思われていたのでした。

試合は日本も米国も北半球が真冬の2月。

「(ダグラスの拠点)コロンバスは雪深いけど、ちゃんとトレーニングして東京に来るはずだ」というドン・キングは、のちに「ダグラスは負けても大金がもらえると、ろくに練習しないで時差も大きな日本に太った体をひくずってやって来ると思っていたと確信していた」と回想していました。

しかし、ダグラスは吹雪の日もニット帽から凍った汗を氷柱にしながらのロードワークを欠かさず、生涯最高の練習を積んでいました。

「地球上の誰も信じなくても、私はお前が絶対に勝つと信じている」と励ましてくれた母親を亡くしますが、それも大きなモチベーションに変えます。

そして何よりも、後楽園ホールでも戦った父親ビル・ダグラスとタイソンを研究。暗愚極まるケビン・ルーニーが盲信したテディ・アトラスが練習用で使っていたナンバリングシステムに毒されたタイソンが限られたパターンでしか動けないことを見つけます。

そして、ルーニーらはタイソンに基本的なバックステップの踏み方すら教えていませんでした。下がったら終わり、しかし彼らは「タイソンを下がらせるボクサーは地球上に存在しない」と、信者と同じレベルで信じていたのでした。

そして、ダグラスは弱気な性格が欠点ながら、体格と技術に恵まれた過小評価のジャバー。一方のタイソンは萎縮した相手を豪快に屠る、弱い相手にめっぽう強い過大評価の典型。

「史上最大の番狂せ」ともいわれるタイソンvsダグラスですが、内容も結果もタイソンの惨敗。第8ラウンドのダウンも、ダグラスが「あれほど注意していたのに圧勝ペースに油断してしまった」と悔やんだ被弾。ダウンはしたものの、キャンバスを叩いて悔しがるダグラスの姿にタイソンがこれまで戦ってきた相手とは全く違うことがわかりました。

第9ラウンドからは再びダグラスが一方的な圧勝ペースを取り戻し、第10ラウンドの惨劇につなげました。

どんなスポーツでも大番狂せは衝撃的で、それはAサイドが好き勝手できるプロボクシングの世界においてはさらなるカタルシスを上乗せします。


ーーー先週、日本でも〝曲者〟でお馴染みのフランシスコ・ロドリゲスJr.が、無敗のスター選手ガラル・ヤファイを大番狂せで撃破、WBC暫定フライ級のストラップをつかみました。

東京五輪フライ級で金メダルを獲得した功績が讃えられ、3年前にはMBE(大英帝国勲章)まで受賞したガラルは英国軽量級の期待の星でしたが…。

WBCの正規タイトルとWBAも掌握、多くのメディアでPFPにもリストアップされている寺地拳四朗を地元バーミンガムのリングに引っ張り上げる構想も、これで御破算。

近年、英国のスター選手がたたき上げのメキシカンに轟沈される大番狂せが続いています。

なぜ、メキシカンは米国大陸を超え、大西洋も渡る長い旅路の果てに、大番狂せを起こせるのか?

このお話も長くなりそうです。

気長にお付き合い下さいませ。


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