今日はオッズと予想の話です。

さぁ、村田諒太vsアッサン・エンダム。もう、今週末です!待った無しです!

bet-at-home.comのオッズはエンダム勝利が2.25倍、村田勝利が1.62倍。WOWOWなどでよく使われる日本風にアレンジすると、アバウト5-2で村田が大きく有利というところでしょうか。ドローが24.00倍とやや低い数字になっていることからも、試合は判定までもつれ込むと見られています。

村田有利のオッズが出ることは予想通りとはいえ、日本のファンから見ると「そんな簡単な相手じゃないだろう」というのが実感でしょう。嬉しいんだけど、本当にそう思ってくれてるの?ってところです。

五輪金メダルの威光と、電通―フジテレビ、トップランクー帝拳という圧倒的なバックアップ体制も加味されたオッズ、地元判定の匂いをはっきり嗅ぎ取った上での数字であることは十分に理解しているつもりですが、いざいろんなブッカーが「村田有利」と打ち出してくると戸惑いを隠せません。

これも、シュガー・レイ・レナードや、オスカー・デラホーヤを授かったことのない国のボクシングファンが初めて体験する心地良い動揺、戸惑いなのかもしれません。

当たり前ですが、世界中の専門家もファンも、ブッカーも、村田がプロでは何一つ証明しないまま、ミドル級屈指の強豪と激突することを知っています。

それでも、プロフェッショナルの賭け屋が「村田有利」とオッズを叩いているのです。


【シュガー・レイ・レナード。五輪の金メダリストからスターダムに駆け上がった典型です。「村田とレナードを比べるか?気は確かか?」。そう思うのが当然です。レナードもベニテスに勝つまでは「よくも『シュガー・レイ』なんて厚かましい名前を名乗って恥ずかしくないのか」、そう揶揄され続けました。】

レナードがウィルフレド・ベニテスのウェルター級王座に挑戦するとき、5−1でレナードを支持するオッズに専門家は首を傾げました。「人気はここまでオッズを動かすのか」と。実際に、一方的なオッズに反して専門家予想は真っ二つに割れました。

ベニテスのディフェンスをレナードが突き破ることが出来るわけがない…そう言われると、誰も反論できないほどの技術を、プエルトリコの天才は確かに持っていました。

金メダルを取ったプライドは過小評価され過ぎ、レナードは相手が強ければ強いほどその真価を発揮する…モントリオールの輝きを目の当たりにしたファンにはレナードが躓くなんて想像も出来なかったでしょう。

金メダリストが必ずプロでも通用するとは限りません。しかし、本物の野獣にとって「温室」は「檻」とイコールです。何も知らないメディアやファンの凡庸な目には「温室」に見えたそれは、実は猛獣を解き放つまでの刹那のゲートなのかもしれないのです。

エンダムにとっては、相手は五輪の金メダリスト。しかも、その金メダリストの地元に引っ張り込まれたのです。昨年のリオ五輪にも出場したエンダムの、五輪への憧憬は私たちの想像をはるかに上回るものでしょう。そのメダルの価値、重みは、もしかしたらアフリカ大陸の辺境からやって来た天衣無縫のエンダムこそが、最もよく理解しているのかもしれません。

エンダムの立場からすると「倒さなければ勝てない」と考えるのが自然です。前戦でESPNの年間最高KO賞に輝く22秒の秒殺劇を演出したものの、決してエンジンのかかりが早い方ではないエンダムですが、1ラウンドから一気に攻め込んでくることも考えられます。

エンダムが広いリングの要求を通したのは、村田のプレッシャーをさばく空間を少しでも大きくしたいという思いであることは間違いありません。しかし、プロ入り以来、ずっと世界基準から大きく劣ったボクサーとしか対峙してこなかった村田にとって、最も注意しなければならないのは序盤でしょう。

エンダムのスピード、コンビネーションの滑らかさ、フェイントの狡猾さ。世界トップレベルのエンダムのパフォーマンスが、村田を最も困惑させるのは序盤です。五輪で金メダルを取ったボクサーの順応力が並外れていることは、カメルーン人もよく理解しているでしょう。エンダムにとって序盤は大きなチャンスです。

1ラウンドで攻勢をかけて、そこで村田にダメージを与えることが出来るのがベスト。そこで効果的なパンチを入れることが出来ずに、村田が得意の前進を始めたら、広いリングを目一杯使ってボクシングする。引き出しの多いエンダムは2段構え、3段構えで臨んでくるでしょう。

村田が様子見に時間を費やすであろう序盤はまだしも、賢明なエンダムは強烈な右を持っている日本人との正面衝突は徹底的に避けて、距離を作りたがるでしょう。デビッド・レミュー戦でもそうだったように。

しかし、もう皆さんよくご存知のように、このアフリカーナ、器用に見えて結構不用意にパンチを食うんです。えーー?っていうくらいに。倒せるときに倒すのは当然なんですが、何回倒しても安心できないという、わけのわからない吸収力を持っているのもこの漆黒のボクサー最大の恐るべき特徴なんですね。

ミドル級、それもピーター・クイリンやレミューのパンチなんて不用意にもらったら、普通なら命取りなはずなのに…なんで?。


【ボクシングマガジンも「距離を潰すこと」が勝利の鍵を握ると見ています。】

オッズは5−2。しかし、試合予想はもつれると思います。もちろん、圧倒して勝って欲しいですが。

もうあっちこっちのメディアで散々書き尽くされていることを、ここでも書いてしまうのは躊躇してしまいますが、5月20日、村田諒太が試されます。

海風の吹く初夏の有明コロシアムで、村田諒太が何者であるのかが、ついにわかるのです。

リング誌もESPNも凡戦の末に村田が小差判定で勝つ、そう見ています。現時点では、ゲンナディ・ゴロフキンやカネロ・アルバレスの脅威になるとは考えられていません。

夏祭りにはちょっと早いですが、ドドン!と打ち上げましょう。北米からもはっきり見える、どでかい花火を。

あのタフ過ぎるカメルーン人を相手にしたら、誰だって普通はぐずぐずの試合にしかなりません。

普通じゃないことを見せてやりましょう。

9月16日にゴロフキンかカネロ、勝った方がミドル級最強の称号を得るはずなんですが、そのメガファイトがミドル級最強決定戦じゃなく、準決勝になっちゃうってことを、この週末に東京から世界に知らしめましょう。

「ゴロフキン、カネロ!どっちが勝ってもいいけど、首を洗って待ってろよ!」
(贅沢言わせてもらうとカネロに勝って欲しいですね…カネロー!東京ドームを開けて待ってるぞ!)