あと四日に迫りました。
ボクシングは伝統的にメディアの囲い込みが顕著なスポーツです。しかし、今回の村田諒太の挑戦に関してはそんな垣根を越えて、異例の報道合戦が繰り広げられています。
ここまで高い注目を集める理由としては、多くの場合「ボクシングで最も層の厚いミドル級」に日本人が挑む、という背景が挙げられています。
【「ゴング・ワールド・ボクシング」1982年2月増刊号から〜伝統的に人気のあるミドル級のすぐ下のジュニアミドル級は、レナードやデュラン、ハーンズらスーパースターが進出する1980年頃までは完全日陰の階級で日本人や韓国人の王者も珍しくありませんでした。今のジュニアミドルは最激戦区ウェルターからミドル級へのパスポート階級として、一気にハードルが高くなっています。日本のファンにとってはジュニアミドルが身近な時代、たった一階級しか差がないのに、その壁の分厚さを嫌という程実感していたが故に、ミドル級へ畏敬の念をさらに強めたであろうことは想像に難くありません。】
「層が厚い」を、イコール「競技人口が多い」という単純な図式で考えるのは短絡的かもしれませんが、競技人口に当て込めると意外な結果に驚かされます。
プロボクサーの競技人口のカウント方法も、これは何が正しいか一筋縄ではいきません。世界各国のコミッションが発表している「有効なライセンスを持っているボクサーの人数」となると、引退状態のボクサー、それどころかデビューすらしていない(する気もない)いわゆる「ペーパープロ」までカウントしてしまいます。
ここではBoxRecのデータを活用させていただきます。このデータの欠点としては、すべてのボクサーを網羅しきれていないということですが、プロサッカーやプロ野球と違い精密に管理されていないボクシングでは完全無欠の「戸籍」はおそらく存在しません。
ということで、BoxRecから各階級の競技人口を割り出してみましょう。(5月16日現在・数字は男子ボクサーの数)
ミニマム級:292人/ライトフライ:456人/フライ:745人/スーパーフライ:683人/バンタム:981人/スーパーバンタム:1233人/フェザー:1540人/スーパーフェザー:1431人/ライト:1991人/スーパーライト:1859人/ウェルター:2238人/スーパーウェルター:1796人/ミドル:1539人/スーパーミドル:1359人/ライトヘビー:1084人/クルーザー:1252人/ヘビー:1288人
ボクシングファンなら「ミドル級が最も層が厚い」と聞いても「嘘つけ。ウェルターに決まってるだろ」と否定できるでしょうが、「ミドル級がニ番目に層が厚い」と言われると「まぁ、きっとそうだろうな」と認めちゃうんじゃないでしょうか。
確かに、BoxRecのデータでも、唯一の2000人超の競技人口を抱えるウェルター級の1位は不動です。しかし、しかし。意外なことにミドル級はまさかの6位なんです。
1984年という比較的新しい時代に各団体で導入されたスーパーミドル級の1359人を、ミドルとライトヘビーに割り振るとミドル級の競技人口は2000人レベルになり、ウェルターに迫るのですがこれはちょっと無理やりですかね。
ただ、「層が厚い」を「競技人口が多い」と考えたらミドル級は6番目というだけで、「層が厚い」を「競技レベルが高い、スピードとパワーが高次元で結晶している」と解釈すると、「ミドル級は最も層が厚い」というセンテンスに大きな矛盾はありません。
【リング誌2015年7月号から=近代ミドル級最強は誰か?シュガー・レイ・ロビンソン、カルロス・モンソン、マービン・ハグラー、ロイ・ジョーンズ、バーナード・ホプキンスら8人の伝説に、ゲンナディ・ゴロフキン(GGG)をワイルドカードに加えた9人を、トレーナーやメディア、マッチメイカー、歴史研究家が仮想トーナメントで戦わせて最強を決める企画です。優勝はもう言わなくてもお分かりですよね。全勝でロビンソンさんです。】
現在、ミドル級最強と考えられているGGGは、全階級を通じて最もボクシングファンを楽しませてくれるスターの一人です。
シュガー・レイ・レナードやオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオらウェルター級の頂点を極めた彼らが放っていた華やかなオーラは、ミドル級のレジェンドには感じられないケースが多いのですが、その反面、リングの上で強さだけを語るという無骨で紛うことなき王者の風格を見せつけてきました。
GGGもまさにその血統を受け継いだミドル級の世界王者です。
現在のボクシング界で考えられる最も大きな試合が9月16日に行われます。GGG対カネロ・アルバレス。日程だけ決まっていて場所は未定。T-Mobileアリーナ(今やここがベガス最大の会場ですね)、AT&Tスタジアム(パッキャオが2試合戦っている元カウボーイズスタジアムです)の本命2会場の他にも、英国のウェンブリースタジアム、UAEのドバイも招致合戦に加わっているといいます。さらに先日、ドジャースタジアムもこのビッグファイトの招致に手を挙げました。
GGGとカネロの一戦は、ビリー・ジョー・サンダースが保持しているWBOを除いた全てのミドル級タイトルが賭けられる、と海外で報じられているのはちょっと心外ですね、日本のファンからしたら。
村田VSアッサン・エンダムの勝者がWBAのベルトを巻くじゃないか!
そう言いたいところなんですが、GGGはWBAのスーパー王者であるから、価値的にその下のWBAレギュラーのベルトは眼中に無いということでしょうか。
いずれにしても、ミドル級のタイトルが収斂されていくことは間違いありません。あと四日後に、村田が、笑顔の素敵なカメルーン人を倒したら、否が応でもこのミドル級ウォーズに巻き込まれるのです。否なわけ無いですね、こういうでっかい場所でビッグファイトを繰り広げるために、ヘッドギアを外して、プロのグローブをはめたのですから。
さあ、温室ではなく、檻から解き放たれる時が四日後に迫ってきました。
ずっと日本人とは無縁と諦めていたボクシングのメガファイト、その舞台の入り口に村田諒太が立とうとしているのです。有明のリングはAT&Tスタジアムにも、マジソン・スクエア・ガーデンにも、ドジャースタジアムにも、世界のどこにだってつながっていきます。
私たちには、応援することしかできません。
頑張れ!村田。見せてくれ!扉を開けてくれ!
ボクシングは伝統的にメディアの囲い込みが顕著なスポーツです。しかし、今回の村田諒太の挑戦に関してはそんな垣根を越えて、異例の報道合戦が繰り広げられています。
ここまで高い注目を集める理由としては、多くの場合「ボクシングで最も層の厚いミドル級」に日本人が挑む、という背景が挙げられています。
【「ゴング・ワールド・ボクシング」1982年2月増刊号から〜伝統的に人気のあるミドル級のすぐ下のジュニアミドル級は、レナードやデュラン、ハーンズらスーパースターが進出する1980年頃までは完全日陰の階級で日本人や韓国人の王者も珍しくありませんでした。今のジュニアミドルは最激戦区ウェルターからミドル級へのパスポート階級として、一気にハードルが高くなっています。日本のファンにとってはジュニアミドルが身近な時代、たった一階級しか差がないのに、その壁の分厚さを嫌という程実感していたが故に、ミドル級へ畏敬の念をさらに強めたであろうことは想像に難くありません。】
「層が厚い」を、イコール「競技人口が多い」という単純な図式で考えるのは短絡的かもしれませんが、競技人口に当て込めると意外な結果に驚かされます。
プロボクサーの競技人口のカウント方法も、これは何が正しいか一筋縄ではいきません。世界各国のコミッションが発表している「有効なライセンスを持っているボクサーの人数」となると、引退状態のボクサー、それどころかデビューすらしていない(する気もない)いわゆる「ペーパープロ」までカウントしてしまいます。
ここではBoxRecのデータを活用させていただきます。このデータの欠点としては、すべてのボクサーを網羅しきれていないということですが、プロサッカーやプロ野球と違い精密に管理されていないボクシングでは完全無欠の「戸籍」はおそらく存在しません。
ということで、BoxRecから各階級の競技人口を割り出してみましょう。(5月16日現在・数字は男子ボクサーの数)
ミニマム級:292人/ライトフライ:456人/フライ:745人/スーパーフライ:683人/バンタム:981人/スーパーバンタム:1233人/フェザー:1540人/スーパーフェザー:1431人/ライト:1991人/スーパーライト:1859人/ウェルター:2238人/スーパーウェルター:1796人/ミドル:1539人/スーパーミドル:1359人/ライトヘビー:1084人/クルーザー:1252人/ヘビー:1288人
ボクシングファンなら「ミドル級が最も層が厚い」と聞いても「嘘つけ。ウェルターに決まってるだろ」と否定できるでしょうが、「ミドル級がニ番目に層が厚い」と言われると「まぁ、きっとそうだろうな」と認めちゃうんじゃないでしょうか。
確かに、BoxRecのデータでも、唯一の2000人超の競技人口を抱えるウェルター級の1位は不動です。しかし、しかし。意外なことにミドル級はまさかの6位なんです。
1984年という比較的新しい時代に各団体で導入されたスーパーミドル級の1359人を、ミドルとライトヘビーに割り振るとミドル級の競技人口は2000人レベルになり、ウェルターに迫るのですがこれはちょっと無理やりですかね。
ただ、「層が厚い」を「競技人口が多い」と考えたらミドル級は6番目というだけで、「層が厚い」を「競技レベルが高い、スピードとパワーが高次元で結晶している」と解釈すると、「ミドル級は最も層が厚い」というセンテンスに大きな矛盾はありません。
【リング誌2015年7月号から=近代ミドル級最強は誰か?シュガー・レイ・ロビンソン、カルロス・モンソン、マービン・ハグラー、ロイ・ジョーンズ、バーナード・ホプキンスら8人の伝説に、ゲンナディ・ゴロフキン(GGG)をワイルドカードに加えた9人を、トレーナーやメディア、マッチメイカー、歴史研究家が仮想トーナメントで戦わせて最強を決める企画です。優勝はもう言わなくてもお分かりですよね。全勝でロビンソンさんです。】
現在、ミドル級最強と考えられているGGGは、全階級を通じて最もボクシングファンを楽しませてくれるスターの一人です。
シュガー・レイ・レナードやオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオらウェルター級の頂点を極めた彼らが放っていた華やかなオーラは、ミドル級のレジェンドには感じられないケースが多いのですが、その反面、リングの上で強さだけを語るという無骨で紛うことなき王者の風格を見せつけてきました。
GGGもまさにその血統を受け継いだミドル級の世界王者です。
現在のボクシング界で考えられる最も大きな試合が9月16日に行われます。GGG対カネロ・アルバレス。日程だけ決まっていて場所は未定。T-Mobileアリーナ(今やここがベガス最大の会場ですね)、AT&Tスタジアム(パッキャオが2試合戦っている元カウボーイズスタジアムです)の本命2会場の他にも、英国のウェンブリースタジアム、UAEのドバイも招致合戦に加わっているといいます。さらに先日、ドジャースタジアムもこのビッグファイトの招致に手を挙げました。
GGGとカネロの一戦は、ビリー・ジョー・サンダースが保持しているWBOを除いた全てのミドル級タイトルが賭けられる、と海外で報じられているのはちょっと心外ですね、日本のファンからしたら。
村田VSアッサン・エンダムの勝者がWBAのベルトを巻くじゃないか!
そう言いたいところなんですが、GGGはWBAのスーパー王者であるから、価値的にその下のWBAレギュラーのベルトは眼中に無いということでしょうか。
いずれにしても、ミドル級のタイトルが収斂されていくことは間違いありません。あと四日後に、村田が、笑顔の素敵なカメルーン人を倒したら、否が応でもこのミドル級ウォーズに巻き込まれるのです。否なわけ無いですね、こういうでっかい場所でビッグファイトを繰り広げるために、ヘッドギアを外して、プロのグローブをはめたのですから。
さあ、温室ではなく、檻から解き放たれる時が四日後に迫ってきました。
ずっと日本人とは無縁と諦めていたボクシングのメガファイト、その舞台の入り口に村田諒太が立とうとしているのです。有明のリングはAT&Tスタジアムにも、マジソン・スクエア・ガーデンにも、ドジャースタジアムにも、世界のどこにだってつながっていきます。
私たちには、応援することしかできません。
頑張れ!村田。見せてくれ!扉を開けてくれ!
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