2007年7月、WBCは池仁珍が保持していたフェザー級タイトルを剥奪した。

韓国からタイトルホルダーが消えてしまったが、この瞬間に2026年になっても出口の見えない長いトンネルに突入したとは、地球上の誰も気づいていなかった。

明けない夜はない。というが、私たちは明けない夜があることを知っている。

夜明け前の闇が最も暗い。それにしては、夜明け前がいくらなんでも、あまりにも長すぎやしないか?


不器用な男がいた。名前は池仁珍。

池仁珍、日本人から見ると変な名前だ。日本なら「珍」なんて字は、まず使わない。


Crypto.com_Arena_exterior_2023


ーーーロスアンゼルス最大のアリーナは今も昔も、ここです。クリプト・ドットコム・アリーナです。

ネーミングライツでころころ名前が変わるのが、なんだかもうどうなんだろうか、永遠不滅の阪神甲子園球場を見習え!とも思うのですが、それはまた別の話。

クリプト・ドットコム・アリーナがまだステープルズセンターと呼ばれていた頃、ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナなどと並んで、ここはボクシングのビッグファイトのメッカの一つでした。

さらに、HBOのPPVイベントとなると、これはもう当代最高のイベント。

このレベルの興行で、メインを張った日本人はいません。

〝ボクシング界の大谷翔平〟マニー・パッキャオを例外にすると、アジア人は〝立ち入り禁止区域〟です…ましてや卑しい軽量級なんて!

…どんな世界でも例外は必ずあります。

まず、軽量級でHBOのPPVメインに組み込まれるなんて、ビジネスとしてあり得ませんが、とんでもない人気者なら例外です。

ーーーたとえば、エリック・モラレス。

そんな〝テリブル〟モラレスが〝息抜き〟の挑戦者にアジア人が選ばれたなら〝立入禁止区域〟に足を踏み入れることが出来ます。

ただし、そこに待っているのは処刑です。完全Bサイド、そして何よりも絶望的な実績の差。

井上尚弥や井岡一翔ら日本のエース級は絶対に上がらない処刑台に、池仁珍は嬉々として駆け上がりました。

先にリングに上がった池は、巨大アリーナの大観衆に、WBCフェザー級王者エリック・モラレスの入場シーンに、ひたすら感動します。

こんな舞台があるのか!エリック・モラレスとは、これほどの英雄なのか!

この素晴らしいリングで、このとんでもない男と、俺はこれから戦えるのか!!!





恩讐の彼方にーーー。