首位打者(打率)を争う権利は規定打席への到達が前提です。防御率を争う権利も規定投球回数のクリアが大前提ですーーー。


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ホームラン王には規定打席はありません…。


Fighter Of The Year や
Fighter Of The Decadeを選考するとき、最も重要なのは「誰に勝ったのか?」です。

日本のコアなボクシングファンが溜飲を下げた2023年のFighter Of The Year。

この年は、井上尚弥とテレンスクロフォードの一騎打ちとなりました。

クロフォードは、PFPファイター対決となったエロール・スペンスとの大勝負に9ラウンドTKOで圧勝。

人気階級ど真ん中のウエルター級の undisputed championship、会場はガチのTモバイル・アリーナ、問答無用のメガファイトでしたが、クロフォードが2023年にリングに上がったのはこの1試合だけ。

一方の井上は、WBO/WBC王者スティーブン・フルトンと、WBA/IBF王者マーロン・タパレスの2人を撃破してジュニアフェザー級のundisputed championに。

「世界的な注目度」という尺度からは、2人を比較するのは全く無意味です。

それでも、人気階級も不人階級も平等公正に扱うのがPFPの考え方の根本です。

それを踏まえても、2023年のクロフォードと井上、どちらが上か?には多くの議論が噴出しましたが、BWAA、ESPN、リング誌ともに井上に軍配が挙がります。

フルトンとタパレスの2人セットでスペンスを上回った、というよりも「試合数をこなさない王者が増える中で井上は2試合、前年12月のポール・バトラー戦も含めると年間3試合のリングに立った」というのが、最も大きな〝勝因〟となりました。

「ウエルター級の方がジュニアフェザー級よりもはるかに層が厚く、タレント揃いでレベルもずっと高い、だから注目度も比較にならない」なんて、言い出してしまうともうPFPの議論ではありません。

PFPとは、Pound For Pound(1ポンドあたりの強さ=体重同一時)の略称です。PFPの原理原則は「階級に貴賎はない」ということ。

全ての階級を平等に見るという博愛主義が、PFPです。

さて、井上が2023年のFighter Of The Year に選出された決定的な要素となった試合数。かつて、1年ベースで5試合の世界戦をこなしたエマヌエル・ナバレッテも、この〝規定打席〟理論でFighter Of The Year にノミネートされたことがありました。

「年間2試合がせいぜい」という、現代の世界王者へのファンやメディアの不満が募っているのは間違いありません。

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そして、本題に戻ってFighter Of The Decade。

これまで3人が選ばれていますが、1990年代のロイ・ジョーンズと、2000年代のマニー・パッキャオはそれぞれの10年間をフル稼働して〝規定打席〟に到達していました。

ーーーしかし…2010年代のフロイド・メイウェザーは、というと…。

マネーの最後の公式戦は2017年8月26日のコナー・マクレガー戦ですが、あの茶番劇にFighter Of The Decadeにつながるレガシーが1ミクロンでもあったと考える人は地球上に1人もいません。

そうなると、銭ゲバの最終試合は2015年9月12日の
アンドレ・ベルト戦となります。

そうです…Fighter Of The Decadeの対象になる2010年〜19年までの10年スパンで、銭ゲバはあろうことか最初の6年しか稼働せず、6/10でリングを去ったのでした。

どう考えても〝規定打席〟不足で、Fighter Of The Decadeの資格がないと考えられてもおかしくありません。

このスパンでの全米ボクシング記者協会(BWAA)のSugar Ray Robinson Award=Fighter Of The Yearはーーー
    
2010年:セルヒオ・マルチネス

2011年:アンドレ・ウォード


2012年:ノニト・ドネア
    (ファン・マヌエル・マルケス)

2013年:銭ゲバ…2007年についで2回目
    (アドニス・スティーブンソン)

2014年:テレンス・クロフォード
    (セルゲイ・コバレフ)

2015年:銭ゲバ…3回目
    (タイソン・フューリー)

2016年:カール・フランプトン

2017年:ワシル・ロマチェンコ

2018年:オレクサンデル・ウシク

2019年:カネロ・アルバレス


※カッコ内はリング誌のFOTY。カッコがない青字はリング誌も同じ。


当該10年で2度(通算3度)のSugar Ray Robinson Awardに輝いている銭ゲバですが、この2回はリング誌がいずれも別のファイターを選んだ弱含みのFOTYです。

銭ゲバが2010年〜19年のFighter Of The Decadeを争ったライバルは、すでにスーパースターの座を確固たるものにしていたカネロと、2000年代に3度のFOTYに選出され2012年まで鬼神の快進撃を続けていたマニー・パッキャオ。

パッキャオの活躍は2013年でストップ。2019年にFOTYを初めて獲得、2年以上もPFPキングに君臨するカネロが有力という声もありましたが…結果は、規定打席に届かなかったにもかかわらず、銭ゲバの圧勝。

規定打席に遠く及ばなかったばかりか、当該10年でFOTYを2度獲得とはいえ弱含みの銭ゲバが何故、文句なしでFighter Of The Decadeに選ばれたのか?

もう、おわかりでしょう。

規定打席よりもはるかに重要なことが、リングの中にはあるのです。

「誰に勝ったのか?」。

銭ゲバは2013年にカネロ、2015年にパッキャオを明白に下したのです。完全にポイントを押さえた銭ゲバ以外にFighter Of The Decadeはありえませんでした。

銭ゲバ、要領良すぎです。

まあ、この「完全にポイントを抑える」を2020年代に応用すると、クロフォードがカネロとウシクに勝てば、この2試合で決まり。あとは寝ていてもFighter Of The Decadeにありつけます。

ウシクは極端にしても、カネロに勝ってジャロン・エニスらこのあと高い評価を浴びる芽を切り摘めばフィニッシュでしょう。

井上尚弥は厳しい、としか言いようがありません。この10年スパンの前半でも4番手前後。後半から終盤にかけて順位を落とす可能性が高く、2020年代のトップ10には入るでしょうが、トップ争いは難しいかもしれません。


それでも、クロフォードもカネロも、そしてウシク、この3人のうち誰かが来年末には引退している可能性が高く(あるいは3人とも?)、井上にとってはまたまたPFP1位返り咲きの機会が訪れます。

そして、中谷との試合は「誰に勝ったのか?」の一点で決定的に弱すぎる井上にとって、絶対に実現しなければならない対決になります。


Fighter Of The Year 、シュガー・レイ・ロビンソン杯を日本に持ち帰ってくれた井上尚弥。Fighter Of The Decadeは、井上からバトンを受け取った次の世代のファイターがもたらしてくれるのでしょうか。

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 井上が頂戴したのは楯タイプでしたっけ?あれはあれでカッコいい!


話はかわりますが、Sugar Ray Robinson Trophyはどうして一般公開してくれないんでしょうか?

日本のボクシングマニアでも知らない人があまりにも多すぎるから?

リング誌は中野区役所で山中慎介のベルトを見ることができましたが。後楽園ホールでも座間市役所でも是非、実物を拝ませていただきたいです!