身長もリーチも、サウスポーなのかオーソドックスなのか、階級も何もかもわからない、そもそも目に見えない敵だ。どうやって戦って良いのかさえわからない。わかっていることは敵は強大で攻撃的で、無慈悲であることだけ。
癌は強力で容赦無く、残忍な敵だった。
ビリーは癌と戦って一度敗れ、最初の妻サラを失ってしまった。
今度負けたら、2連敗になる。信念のRefuse 2 loseを受け入れてしまうことになる。
そればかりか、今度負けるともう雪辱の機会すら永遠に失うことになってしまう。
しかし、半年もの間、全身の激痛と化学療法の副作用でビリーの肉体は限界を通り越していた。衰弱していくビリーを見ていると、俺の方まで絶望で気が狂いそうになる。

「パパは癌になんて負けないぜ」。
2022年秋に息子 Laithと約束して闘病生活に入ったビリーだったが、癌の進行と化学療法の副作用は想像を絶する過酷なものだった。
ビリーは2023年を迎えられるかどうかもわからなかったが、年は越せた。それでも「俺の親友はもう十分に戦った。俺はビリーを誇りに思う」と、そんな考えちゃいけないことが頭をよぎることもあった。
病室にあるホワイトボードには、ビリーの兄貴が殴り書いた言葉が残されていた。
〝Get up, you son of bitch, because Laith loves you〟
〜立ち上がれ、このクソ野郎!(息子の)レイスはお前が大好きで泣いて心配してるんだぞ!
それは昔、兄弟で夢中になって観た映画「ロッキー」に出てくる台詞(Get up you son of a bitch!!Cause Mickey loves you!)だった。
ビリーは「もうダメだと何度も諦めかけたが、家族や兄貴、ビレルたちが励ましてくれた。癌に何度も叩きのめされたが、彼らを失望させるわけにはいかなかった」と、のたうち回りながら敗北を拒否し続けた。
2023年3月6日。
俺たちは病院から信じられない報告を受ける。
この半年間、医者は「覚悟をしておいてくれ」と、いつもの仏頂面で声を絞り出していたが、この日は「先に結果だけ言うぞ」と見たことのない笑顔で駆け寄って来た。
「Remission!」

「お父さんが癌に勝った!」「お父さんは約束を守ったぞ!」と大喜びの Laith。
https://twitter.com/BillyDib/status/1632606675101437952?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1632606675101437952%7Ctwgr%5E975e494abcf2523ca3caf13a4f485a2c6ca6057c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.ringtv.com%2Farticle%2F2023-most-inspirational%2F
すぐに理解できなかった俺に、医師はもう一度叫んだ。
「Remission!(癌が消えたんだ!)」。
本当に嬉しい瞬間、人間はコーナーポストに登って雄叫びをあげたりしないってことを、俺はこのとき初めて知った。
歓喜がぐるぐる全身を巡ると、力が抜けた。病院の廊下にへたり込んでしまって、しばらく立てなかった。

ビリーは癌が再発していないか、今も定期検査が欠かせない。
それでも、もう日常生活に戻って「A TRUE HEART〜THE FIGHTS OF MY LIFE」なんて闘病記まで出版しやがった。
ビリーは「いつもボクシングが救ってくれた」と感謝している。
If it hadn’t been for that moment [in sparring], I may have found out too late.
ビリーは語る。「もし、あの日のスパーリングでボディを叩かれなければ、進行の早いバーキットリンパ腫を発見出来ずに手遅れになっていたのは間違いない」。
「もし、生死を彷徨う大病に苦しまなければ、人生にとって何が大切なのか、よくわからないまま年齢を重ねていただろう」。
そういえば、WBCのマウリシオ・スライマン会長がビリーに特別ベルトを贈呈すると発表していたな。
…まさかと思うが、あいつら認定料を請求してくるんじゃないだろうな?
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▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎ 井上尚弥がFighter Of The Yearに輝いたリング誌の2023年アワード。ビリー・ディブはMOST INSPIRATIONAL(最も感動的な物語)賞に選出されました。
8月17日で39歳になるビリー・ザ・キッドは、リング復帰については明言していません。
グローブを吊るして、家族と友人たちと幸せな人生を歩んでいって欲しいと思いますが…。
癌は強力で容赦無く、残忍な敵だった。
ビリーは癌と戦って一度敗れ、最初の妻サラを失ってしまった。
今度負けたら、2連敗になる。信念のRefuse 2 loseを受け入れてしまうことになる。
そればかりか、今度負けるともう雪辱の機会すら永遠に失うことになってしまう。
しかし、半年もの間、全身の激痛と化学療法の副作用でビリーの肉体は限界を通り越していた。衰弱していくビリーを見ていると、俺の方まで絶望で気が狂いそうになる。

「パパは癌になんて負けないぜ」。
2022年秋に息子 Laithと約束して闘病生活に入ったビリーだったが、癌の進行と化学療法の副作用は想像を絶する過酷なものだった。
ビリーは2023年を迎えられるかどうかもわからなかったが、年は越せた。それでも「俺の親友はもう十分に戦った。俺はビリーを誇りに思う」と、そんな考えちゃいけないことが頭をよぎることもあった。
病室にあるホワイトボードには、ビリーの兄貴が殴り書いた言葉が残されていた。
〝Get up, you son of bitch, because Laith loves you〟
〜立ち上がれ、このクソ野郎!(息子の)レイスはお前が大好きで泣いて心配してるんだぞ!
それは昔、兄弟で夢中になって観た映画「ロッキー」に出てくる台詞(Get up you son of a bitch!!Cause Mickey loves you!)だった。
ビリーは「もうダメだと何度も諦めかけたが、家族や兄貴、ビレルたちが励ましてくれた。癌に何度も叩きのめされたが、彼らを失望させるわけにはいかなかった」と、のたうち回りながら敗北を拒否し続けた。
2023年3月6日。
俺たちは病院から信じられない報告を受ける。
この半年間、医者は「覚悟をしておいてくれ」と、いつもの仏頂面で声を絞り出していたが、この日は「先に結果だけ言うぞ」と見たことのない笑顔で駆け寄って来た。
「Remission!」

「お父さんが癌に勝った!」「お父さんは約束を守ったぞ!」と大喜びの Laith。
https://twitter.com/BillyDib/status/1632606675101437952?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1632606675101437952%7Ctwgr%5E975e494abcf2523ca3caf13a4f485a2c6ca6057c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.ringtv.com%2Farticle%2F2023-most-inspirational%2F
すぐに理解できなかった俺に、医師はもう一度叫んだ。
「Remission!(癌が消えたんだ!)」。
本当に嬉しい瞬間、人間はコーナーポストに登って雄叫びをあげたりしないってことを、俺はこのとき初めて知った。
歓喜がぐるぐる全身を巡ると、力が抜けた。病院の廊下にへたり込んでしまって、しばらく立てなかった。

ビリーは癌が再発していないか、今も定期検査が欠かせない。
それでも、もう日常生活に戻って「A TRUE HEART〜THE FIGHTS OF MY LIFE」なんて闘病記まで出版しやがった。
ビリーは「いつもボクシングが救ってくれた」と感謝している。
If it hadn’t been for that moment [in sparring], I may have found out too late.
ビリーは語る。「もし、あの日のスパーリングでボディを叩かれなければ、進行の早いバーキットリンパ腫を発見出来ずに手遅れになっていたのは間違いない」。
「もし、生死を彷徨う大病に苦しまなければ、人生にとって何が大切なのか、よくわからないまま年齢を重ねていただろう」。
そういえば、WBCのマウリシオ・スライマン会長がビリーに特別ベルトを贈呈すると発表していたな。
…まさかと思うが、あいつら認定料を請求してくるんじゃないだろうな?
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▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎ 井上尚弥がFighter Of The Yearに輝いたリング誌の2023年アワード。ビリー・ディブはMOST INSPIRATIONAL(最も感動的な物語)賞に選出されました。
8月17日で39歳になるビリー・ザ・キッドは、リング復帰については明言していません。
グローブを吊るして、家族と友人たちと幸せな人生を歩んでいって欲しいと思いますが…。
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