Lineal Champion。

「The Man Who Beat The Man…王者を倒したものだけが王者を名乗ることが出来る」。

それは、古き良き時代に主としてヘビー級で語られた王位継承の物語です。

ジョン・L・サリバンから続く「The Man Who Beat The Man…」の系譜、王者の名前をボクシングファンは当たり前に誦じていたと言われています。

ずっと昔むかし、人気スポーツの片隅に追いやられていたとはいえ、まだボクシングにメジャーの色が残っていた時代の話です。

そんな時代はモハメド・アリを最後に閉ざされてしまいましたが…。



団体分裂と階級増殖の中で、王者はすべからく
Lineal Championである、という常識は崩壊してしまいました。

ボクシングの没落と歩みを同じくして埋れていった
Lineal Champion。

17階級に渡るその現状を振り返ります。

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1999年10月から23年以上もLineal Championの座が空位のままのストロー級。

リカルド・ロペスがウィル・グリズビーを下してIBFジュニアフライ級王者になったことで、ストロー級王座を返上してから続く空位の歳月は17階級で最長、唯一20世紀から続いています。

この四半世紀に迫る大空位時代のあいだに、レオ・ガメス、ローマン・ゴンサレス、ドニー・ニエテス、井岡一翔というジュニアバンタムまで制圧した4階級制覇王者を生み出し、八重樫東、田中恒成とフライ級までの3階級を抑える王者も送りだしてきました。

最も層が薄い、すなわち最もレベルが低いと軽んじられがちのストロー級ですが、ここを起点に多くのPFPファイターが巣立っています。

「PFPファイターが多く産出される階級がレベルが高い」というロジックに従うと、近年ではこの〝ストロー級上がり〟の選手がひしめいたジュニアバンタム級が最もレベルが高いことになります。

しかし、PFPをそんな信頼できるモノサシだと考えている人は皆無でしょう。

「ストロー級を起点に世界王者になるのがPFPへの近道」というのが正解です。

逆に複数階級制覇の道が閉ざされているヘビー級や、複数階級制覇のために乗り越えなければならない体重差が大きいクルーザー級のファアターはPFPの門戸が非常に狭くなっています。

ボクシングの世界で冷遇される軽量級、その中でも底辺に澱んでいるのがストロー級です。

しかし、フィニートやチョコラティトは別格にしても、井岡や恒成、重岡銀次朗のボクシングを見て「レベルが低い」と感じる人はいないでしょう。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーを見るまでもなく、ボクシングにおける完成とは軽量級のボクシングをいかに上の階級に持ち込むか、に行き着きます。

もし、銀次朗のサイズがタイソン・フューリーと同じで、今と同じ動きをヘビーで再現できるのなら、とんでもないことが起きてしまいます。



さて、そんな最軽量のストロー級の世界タイトルマッチがこの日曜日に執り行われます。

重岡銀次朗と優大が挑むのはいずれも暫定王者決定戦。

腐敗極まる4団体時代では「ああ、またいつものやつか」と思われるかもしれませんが、いずれも〝正当な理由〟があることはご存知の通りです。

重岡兄弟が王座を分割してしまうと、Lineal Championの誕生はまた遠ざかってしまいますが、さて、どうなりますことやら。