プロボクシングの団体とクラスの数、つまり世界タイトルの数は1950年代まで1団体8階級でしたが、現在では4団体17階級にまで増殖しています。

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MLBの球団拡張や、サッカーW杯の出場国枠拡大など「エクスパンション」は売り上げ増大を図るビジネスでの常套手段ですが、どんなに拡大しようともMLBやサッカーW杯のチャンピオンは1チームだけ。

しかし、ボクシングの〝エキスパンション〟が狂気の沙汰なのは、たった一つしか存在すべきでないチャンピオンを量産していることです。

MLBやWorld Baseball  Classicは MLBコミッションが、サッカーの国際大会はFIFAが統括していますが、ボクシングには世界的な統括団体が存在せず、王座が増えると収入も増える認定団体だけがいくつも跋扈しているのです。

ボクシング界は、王座の乱造・その価値の暴落によって安易な複数階級制覇が促され、タイトルの価値はますます下落する、負のスパイラルにはまりこんでいます。


さて、最近のトレンドである団体統一は、認定団体にとって、世界王者の数を減らすビジネスチャンスのロスに繋がりかねません。

しかし、統一戦は興行規模が大きくなる傾向があり、承認料はファイトマネーに比例する変動性なので統一王者が防衛を重ねて王座に居座ることなく統一、即タイトルを返上してくれるなら、決定戦でまた承認料を稼げるので、認定団体には好都合。

統一→返上→空位の王者決定戦。現代の統一戦は空位ビジネスと密接に結びついています。

4-Belt Eraはタイトルの価値が暴落し、複数階級制覇が安易に出来る時代です。

マニー・パッキャオの8階級制覇は驚天動地とはいえ、一団体8階級時代では考えられません。パッキャオの8階級制覇ですら「安易」と看做すことができます。

しかし、そんな4-Belt Eraでも複数階級制覇が難関であり続けているクラスがあります。

クルーザー級とヘビー級です。

200ポンドのクルーザー級を飲み込んで複数階級制覇をしようとすると、直下のライトヘビー級は175ポンドリミットですから、階級の壁は25ポンドもの厚さになります。

さらに、クルーザー級から体重制限無しのヘビー級を制圧するとなると、タイソン・フューリーのような巨人相手になると50ポンド以上の体重差に立ち向かわなければなりません。

それでも、昨年8月に244.5ポンドのアンソニー・ジョシュアを返り討ちにした元クルーザー級王者オレクサンダー・ウシクのウエイトは23ポンドも軽い221.5ポンドでした。

ヘビー級以外の階級でも体格差が取り沙汰されるケースがありますが、前日計量での体重差はほとんどありません。

ヘビー級の体格差は、下の階級からの複数階級制覇ではない場合でも、フレームの差という生易しいレベルを超えたとんでもない〝ハンデキャップマッチ〟になることも普通にあります。

そして、ウシクは極端にしても、ヘビー級では明らかな体重差をひっくり返す〝番狂せ〟が珍しくありません。

また、パッキャオに話を戻すと、減量階級では当たり前の「前日計量での体重差はほとんどない」という常識を愚弄するようなリングにも上がっています。

体格が大きいだけで体重が同じだと「どちらの距離で戦うのか」だけの問題ですが、体格が大きく体重も重い相手となると話は全く違ってきます。

体格も体重も乗り越えるファイターたち。

ヘビー級は何故に特別なのか?

パッキャオは何故に特別なのか?