4月22日、ラスベガス・T-Mobile arena。ガーボンタ・デービスvsライアン・ガルシアの136ポンドキャッチウェイト12回戦。

凋落一方の米国ボクシングシーンが「カネロ・アルバレスを抜きにして提供できる最高のカード」(Premier Boxing Champions)です。



テレンス・クロフォードとエロール・スペンスJr.の激突が待たれるウェルター級の完全統一戦=Undisputed championshipが実現したとしても、このタンクvsキングライに興行規模で届かないかもしれません。

136ポンド契約のノンタイトル、デービスもライアンもPFPファイターですらないというのに…。

一方のクロフォードとスペンスは人気階級の完全統一戦、二人とも堂々のPFPファイターでその実力は誰もが認めています。この試合の勝者が多くのメディアのPFPランキングでトップ評価を受けるのも確実視されているというのに…。

長年のボクシングファンとしては、残念な思いが強烈に込み上げてきますが、これが現実です。

クロフォードのようなウェルター級の実力者でも、人気が全く伴わないボクサーも出現する。これもまた、米国ボクシングの没落を象徴しています。



マニー・パッキャオが主要4団体のタイトルを一切ステイクせずに、数多くのメガファイトを繰り広げたのは2000年代のこと。その最たるものが、オスカー・デラホーヤとのTHE DREAM MATCH でした。

当時すでにアルファベットタイトルの価値は地に堕ちていましたが、ノンタイトル戦とはいえパッキャオはPFPファイターで、その相手の多くもFighter Of TheYearの経験者やPFPファイター。

デラホーヤはPFP10傑には入ってなかったものの、Fighter Of TheYearの経験者で元PFPキング。前の年にはフロイド・メイウェザーに惜敗している実力者でした。

しかし、ガーボンタとライアンはPFPにも入らない、もちろんFighter Of TheYearとも無縁。毎年、暴力沙汰で前科を重ねる犯罪者と、SNSのインフルエンサー。流行りのYouTuber茶番劇よりはずっとマシですが、このマッチアップが最高というのが米国ボクシングシーンの現実。

私が米国ボクシングに惹き込まれた80年代からを振り返っても、世界中のボクシングファンを巻き込む超弩級のメガファイトが紡がれてきました。

「シュガー・レイ・レナードvsトーマス・ハーンズ」「レナードvsマービン・ハグラー」「マイク・タイソンvsマイケル・スピンクス」「デラホーヤ・フェリックス・トリニダード」「デラホーヤvsメイウェザー」「デラホーヤvsパッキャオ」「メイウェザーvsパッキャオ」。

バブル期に2度も東京ドームで戦ったタイソンはもちろん、レナード、デュラン、ハーンズ、ハグラー は、日本でもボクシングファンを超えたビッグネームでした。

試合が地上波で放送され、一般紙でも試合前からどれほどのビッグファイトかが報道され、ナンバー誌などの雑誌でも表紙を飾り、大特集が組まれていたのですから、当然といえば当然です。

ボクシングファン以外でカネロを知っている人がどれだけいるでしょうか?クロフォードとスペンスの試合を楽しみにしている人がどれだけいるでしょうか?

日本では、メイウェザーを茶番劇で初めて知ったスポーツファンも少なくないかもしれません。だから「花束事件」を間違った角度で騒いでしまうのです。

ボクサー時代から品性下劣をキャラクターとしてきたメイウェザーを、知らないのです。