ヘビー級のトップ戦線を覗いた藤本京太郎。

ウェルター級〜ジュニアミドル級、米国で最もディープなクラスでビッグネームと拳を交えた亀海喜寛。



【第7位】テオフィモ・ロペス

2019年7月19日、メリーランド州オクソンヒル・MGMナショナルハーパー。IBFライト級挑戦者決定戦。

当時の米国ボクシングシーンの中心は、翌7月20日にラスベガスでキース・サーマンを破ったマニー・パッキャオでした。驚くべきことに多くのブッカーが40歳のパックマンが10歳年下の無敗のサーマンに対してトップドッグと見なしていたことでした。

オッズが「専門的な試合予想だけでなく人気も多分に反映される」ことを考えても、パッキャオの底知れぬ実力と、衰えない人気にあらためて感服したものでした。

しかし、2022年のフィリピン大統領選への出馬が確実視されていたパッキャオが、キャリアの最終章に深く分け入っているのは誰の目にも明らかでした。

そんな米国ボクシングの転換期で、明日の希望と大きな期待が寄せられていたのが。テオフィモ・ロペス。13戦全勝11KOの21歳。

OPBF王者・中谷正義も18戦全勝でしたが、キャリア初の海外での戦い。人気階級における「アジア王者」は、安全牌の保証書にすぎません。

中谷に快勝し、IBF王者リチャード・カミーに挑戦、そこでも勝利をもぎ取って、ワシル・ロマチェンコの牙城に挑むーーーそれがテオフィモの「スケジュール」でした。

中谷戦は景気付けの肩慣らしになる、はずでした。

しかし、試合は「無敗の同士によるスリリングな世界挑戦者決定戦になるなんて誰も考えていなかった!」と、ESPNの解説を務めたティモシー・ブラッドリーが驚きの声を上げる12ラウンドになります。

ロペスはリング上では「12ラウンド戦うことができた」と気丈に語りましたが、ホテルのエレベーターの中に入ると泣き崩れてしまいます。



この試合で評価を上げた中谷は、次の試合でも大国プエルトリコの切り札の一枚と見られていたフェリックス・ベルデホを劇的な番狂せでノックアウト、世界トップと互角に戦えることを証明しました。

その中谷を6ラウンドでストップしたのが吉野修一郎です。

「シャクール・スティーブンソンにはKO勝利が求められる」(ブラッドリー)と、米国の多くの専門家やファンは吉野に簡単に勝てると考えてるようですが、どうやら彼らには学習能力が欠落しているようです。