開幕したばかりのカタールW杯ですが、サウジアラビア、そして日本が劇的な逆転勝利で大番狂せを引き起こしました。

日本がドイツからもぎ獲った大金星は、7.5倍のオッズをひっくり返す大番狂せ。


近年、驚天動地の大番狂せというと、岡崎慎司が所属していた英国プレミアリーグ・レスターの2015-16シーズン優勝が真っ先に思い出されます。

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開幕前のオッズはなんと5000倍。「ネッシー発見=2000倍」や「2017年以前に宇宙人が確認される=1500倍」などの掛け率を遥かに凌駕する〝超常現象〟の領域に踏み入れた、「超」をいくつ付けても足りない、大番狂せでした。

大番狂せが起きる大前提は、過小評価されたアンダードッグの存在です。

そして、トップドッグが慎重に戦おうと硬直してしまったとき、あるいは予想外の逆襲に戸惑ってしまったとき…大番狂せのの魔物は大きな口を開くのです。

アルゼンチンとドイツは格下相手に先制点を挙げ、このまま押し込めると自信を深めたはずです。

しかし、アンダードッグは臆することなく、同点、逆転を狙って牙を剥いてきました。

ドイツにとって前回大会の初戦で韓国に足元をすくわれた敗戦は、絶対に繰り返してはいけない屈辱でした。

さらに、サウジの逆襲に仕留められたアルゼンチンを見ているのですから、ドイツに油断があったとは思えません。

昨夜のドイツ代表の慎重な立ち上がりからは、格下相手にも大切に戦うという強い意志が感じられました。

日本は「0-0の時間を長くしてドイツの焦りを誘う」のが基本戦略でしたが、ドイツは「早い段階に先制して主導権を握って戦う」青写真を描いていました。

これは前日のアルゼンチンも同じでした。「格下相手に先制するとさらに展開が有利になる」のは強者の鉄則、勝利の方程式です。

しかし、先制されたサウジも、昨夜の日本も怯えて守りを固めようとはせず〝殴られたら殴り返す〟という、下剋上の気概を全面に押し出して、格上からの勝利を強奪してみせました。

思い通りの先制点を手に入れて、大事に戦おうとしたアルゼンチンとドイツは、アンダードッグのなりふり構わない逆襲に飲み込まれてしまいました。

…もし。先制点が逆だったら?

サウジと日本はもっと楽な展開で勝利を手にしていたでしょうか?

慎重に立ち上がったドイツの隙を突いた前田大然のシュートがオフサイドではなく、ゴールだったら?

日本が勢いに乗り得点を重ねて、ドイツを圧倒、大勝していたでしょうか?

私には、そうは思えません。

ロースコアで勝負が決まるサッカーの試合において、先制点が重く大きいことは間違いありません。

先制点が災いをもたらす、そんなことは本来ありえないはずですが…。

しかし、アルゼンチンとドイツは、あの先制点でより大事に固く勝利を収めたいという、硬直を生んでしまったように見えてしまうのです。

もちろん、サウジと日本に風は吹いていましたが、先制点を奪われて、刺し違えても構わないというような覚悟と勇気が、大国をたじろがせました。

もし、あそこでサッカー大国のプレッシャーに負けていたら、イランの二の舞になっていたかもしれません。



マニー・パッキャオが演出した数々の番狂せ劇とは違い、サウジと日本がもう一度、アルゼンチンやドイツと戦うなら、オッズも専門家予想もファンの見方も、やはりアンダードッグのままでしょう。


勝ちに不思議の勝ちがあり。

アホな例えですが昨夜のドイツ戦がボクシングなら、ダウンの数は2-1で勝っていましたが、90分間の判定勝負なら、明白にドイツがものにしていました。

何かがほんの少しだけ、違っていたら、ドイツが大量得点していたかもしれません。

もちろん、負けに不思議の負けはなし。

ドイツは、敗れるべくして敗れたのです。


近い将来、日本がサッカー大国に名を連ねる時代が来るなら、今度は私たちが下剋上の牙に狙われる立場になるのです。

格下相手をナメてはいけない、だからといって必要以上にリスペクトしてもいけない。

奥深くて、残酷で恐ろしい…大番狂せの舞台裏に迫ります。



Behind the scenes〜大番狂せの舞台裏〜

次回【②】は、無敵艦隊も撃沈!グループリーグトップ通過!!!ウィリアム・ヒルのオッズはブラジルに続いて二番人気に急浮上!!!です。

※番狂せが続かない場合(そんなことあり得ませんが)、内容を「マニー・パッキャオ 番狂せ血風録」に変更することがあります。