誰に勝ったのか?

日本初の3階級制覇を達成した亀田興毅と、アジア初の3階級制覇のマニー・パッキャオの「誰に勝って3階級制覇?」を比べてみます。

4-Belt Eraでは最高クラスと最低クラスの「3階級制覇」です。これほど差のある比較ですから、嫌味や皮肉は全くないので、最初にお断り。

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【最初の階級】

▶︎興毅の最初のストラップはWBAジュニアフライ級。ファン・ランダエタとの決定戦で疑惑の判定勝ちを収めました。

元ストロー級王者ランダエタはジュニアフライ級での実績は乏しく、リング誌ランキングも圏外。

圧倒的有利とみられていた興毅でしたが、蓋を開けてみると大苦戦。議論を呼ぶ判定に助けられました。

スコアはSDで112-115、115-113、114-113。オフィシャルの採点は、一つのラウンドをどちらにつけるか?で勝敗が分かれる接戦に見えるかもしれませんが、BoxRecの「ファンの採点」では109-118。大多数の人があの試合をクロスゲームではなく、ワンサイドゲームと見たのでした。


▶︎パッキャオはWBCフライ級王者チャチャイ・ダッチボーイジムを逆転ノックアウトして初戴冠。大番狂せでした。

ダッチボーイジムはPFPファイターのユーリ・アルバチャコフからタイトルを継承したLineal champion、階級最強王者。

チャチャイは年間PFP(Best Fighter Poll)には入ることはありませんでしたが、当時電子版があれば10傑入りしていたでしょう。


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【二番目の階級】

▶︎興毅は日本ボクシング史上最大のメガファイトの一つ、WBCフライ級王者・内藤大助との大一番に勝利。

PFPファイターでもあったポンサクレック・ウォンジョンカムからタイトルを奪った内藤はリング誌ランキング1位でした。

興毅に悔やまれるべきは、ポンサクレックを迎えた防衛戦で完敗してしまったことでしょう。リング誌タイトルがステイクされたあの試合に下馬評通りに勝っていたなら、日本人初のリング誌PFP入りも確実でした。

ポンサクレックは最高7位まで順位を上げましたから、無敗のまま3階級制覇していたなら、井上尚弥に先駆けるトップ5入りの可能性もありました。



▶︎パッキャオの2階級目は、またもや階級最強と目されたのリーロ・レジャバが持つジュニアフェザー級。

急遽の代打出場、圧倒的不利予想の中で、序盤から南アフリカの石の拳を圧倒、6ラウンドでストップしてしまいます。

レジャバもLineal championで、この試合はオスカー・デラホーヤのメガファイトのセミファイナル、ラスベガスの大舞台でした。



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【三番目の階級】

▶︎興毅は、ジュニアバンタム級をスキップして、アレクサンデル・ムニョスとのWBAバンタム級王者決定戦に勝利。

日本のボクシングメディアは、対戦相手のムニョスを「老ムニョス」「世界戦出場資格無し」と揶揄しました。


▶︎パッキャオの3階級目、フェザー級はリング誌王者、Lineal championで、PFP3位のマルコ・アントニオ・バレラ、文句なしの階級最強で軽量級ではあり得ない人気者でした、

そのバレラを大番狂わせで粉砕してしまいます。

ファイティング原田がエデル・ジョフレを下した大金星に次ぐ、アジア最高の勝利とされていますが、米墨に与えた衝撃度は原田を凌ぎます。

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興毅がパッキャオを上回っているのは、3つの階級を獲った全ての試合で明白に有利とみられていたこと。反対に、パッキャオは全ての試合で絶望的に不利と決めつけられていました。

言わずもがなですが、パッキャオが興毅よりも優れているのは、対戦相手の質、その異常なまでの高さです。それを言い出すと、井上も井岡も、パッキャオとは全く違い、亀田と同じリーグの住人になります。

そんなパッキャオの物語ですら過大評価に溢れています。

キャリア最大の勝利と言われるオスカー・デラホーヤ戦(2008年)は、前の年にゴールデンボーイがフロイド・メイウェザーに惜敗していたとはいえ、かつてのPFPキングではありませんでした。

もし、井上尚弥がデラホーヤほどの名声はないとはいえ全盛期で無敗のテレンス・クロフォードやエロール・スペンスJr.を圧倒してストップしたなら、パッキャオよりも遥かに上と評価されるべきです。

リッキー・ハットンもジュニアウェルター級無敗でLineal championにしてリング誌チャンピオン、階級最強でしたが、その好戦的なスタイルはパッキャオにとってはオーダーメイドでした。

後にジュニアミドル級とミドル級でも王者になるミゲール・コットも、パッキャオ戦のときは明らかにスランプ期でした。

ウェルター級進出後、つまりスターの頂点を極めてからのパッキャオが戦った旬の強豪はPFP3位で当時無敗のティモシー・ブラッドリーだけ。しかも、その試合は認定団体のWBOが誤審を認めたとはいえオフィシャルでは敗北でした。

つまり、Forbes fighterになってからのパッキャオは、ブラッドリーとの再戦と第3戦にしか勝っていないのです。しかも、その2勝はいずれも判定、内容的にも面白い試合とは言い難いものでした。