どんなファイターが好きか?と訊かれたら、俺は迷わずこう答える。

何度も大番狂せを起こすファイターだ、と。

訊いておきながら、ヤツは笑うだろう。

マニー・パッキャオか?あんなのは、あれしかいないんだぞ。私が訊いたのは「どんなファイターが好きか?」だ。「誰が好きか」なんて訊いていない。

そもそも大番狂せなんて、パッキャオ以外のファイターでは何度も起こせるもんじゃない。

今度は俺が笑い返す番だ。

ロンドンかニューヨークの席料だけがバカ高いボクシングしか見たことがない可哀想なヤツに、このスポーツのエッセンスが何なのかを、教えてやるのさ。

あんた、クアドロ・アラスを知らないんだろう。

349be76417db765de1be1d94dd9beb4d-500x332 2

TREASURE BOXING PROMOTIONが「【契約発表】ジョンリエル・カシメロと複数試合契約を締結🤝We signed a contract with John Riel Casimero.」と、昨日発表しました。

スポーツは結果が全て。しかも、ボクシングでは1試合で全てを失うような敗北もあり得ます。

さらに、カシメロは今月13日で33歳。軽量級ボクサーに残された時間は限られています。

それでも、プロモーターの選択として、伊藤雅雪は素晴らしい買い物をしたと思います。

プロボクシングという、どうしようもなく不公平な世界の中で、軽量級というさらに不毛なクラスで、Bサイドのアジア人として世界中をサーカスしてきたのがカシメロです

2007年、当時フィリピンで社会現象を巻き起こしていたマニー・パッキャオに憧れてプロデビューしてから16年。

2008年からパッキャオがさらに驚天動地の活躍を見せたことは、カシメロを大いに勇気づけたでしょうが、彼は早い段階で「自分はパッキャオになれない」ことに気づいたはずです。

それでも、諦めずに16年もこの厳しい職業を最も厳しい環境で戦い続けてきたのです。

タイトルマッチはいずれも敵地、傍若無人の振る舞いがアウエーに乗り込むヒールの役回りであることぐらい、とっくの昔に気づいていたでしょう。

36戦のキャリアで上がったリングは母国フィリピン、ニカラグア、メキシコ、南アフリカ、アルゼンチン、パナマ、タイ、中国、英国、米国、韓国…11カ国を数えます。絵に描いたようなロードウォリアーです。

12カ国目は日本になるのでしょうか?

「格好いいから」というだけでビジネスとして成立しないラスベガスに憧れていた井上尚弥を「結構なご身分だ」と嫉妬したQuadro Alas。

ジョンリール・カシメロのRock 'n' Rollなサーカスライフを振り返ります。