なぜ?

西岡利晃や井上尚弥は、そこにない〝ラスベガス〟に憧れてしまったのか?

彼らが幻覚したメガファイトなど、ジュニアフェザー級やバンタム級ではラスベガスでもニューヨークでもただの一度も開催されたことがないというのに。

ヘビー級やミドル級、ウェルター級の豪華絢爛なイベントを見聞きして「軽量級にもその場所が用意されているはずだ」と勘違いしてしまったのは、単純に勉強不足で格好良いものに憧れただけ、一部の嘘つきメディアの煽りに乗ってしまっただけ…それだけではありません。

この話をするのは、もう少し先になると思っていました…。

具体的に言うと、2年連続で大谷翔平がESPYの総合最優秀選手賞と、スポーツイラストレイテッドのスポーツパーソン・オブ・ザ・イヤーを逃した段階で、アメリカの悪口を、私や私の友人たちが受けた理不尽な仕打ちも含めて、吐き出そうと考えていました。



西岡や井上がラスベガスに憧れたのは、それがアメリカの大舞台だからです。

同じレベルの舞台がインドや中国にあっても、ここまで憧れなかったでしょう。

あるいは、憧れの種類が違うといった方が正確かもしれません。

日本人は日本人が、アメリカを倒す光景を、この目に焼き付けたいのです。

もう一度、戦争を仕掛けることがあり得ない限り、これは日本人が1945年8月15日に背負った宿痾のようにも感じます。

いえ、アメリカへの思いは雪辱だけではありません。

もしかしたら、私たちは「力道山」のいた場所から一歩も前に進めていないのかもしれません。

そして…。

もしかしたら、今日、その一歩を踏み出したのかもしれません。

私たちにその一歩を見せてくれた28歳の青年は、まるで何事もなかったように、その偉業をビデオメッセージで微笑み、他の受賞者を祝福しました。

力道山のようにアメリカの大男を薙ぎ倒すことなく、彼らに愛されながら、山を登り切ってしまいました。

もちろん、彼は登り切ったなどとは微塵も感じていないでしょう。


何もらったか分かってないな、このお兄さん。

大谷翔平が、アメリカ、つまり日本にとって世界の中心で、アスリートに贈られる至高の賞に輝きました。



さて、何から話しましょうか。私のアメリカ体験ではあまりにも消化しきれてない気もします。

父親から聞いた「鷲と雀のお話」からが、良いのかな…。