6月19日に東京ドームで開催された「THE MATCH 2022」の那須川天心と武尊の試合を明日、TOKYO MXが特別番組「THE MATCH 2022 天心vs.武尊 完全版」として放送するそうです。

展開と結果を知ってるだけに、そこまで興味はそそられませんが、日本史上最大の格闘技イベントの一つであることは間違いありません。

ボクシングに転向する天心が「何処まで行けるのか?」は、ファンや専門家の意見は大きく分かれています。

「何処」が「井上尚弥と戦う世界戦」という期待から、まともにやったら「日本王者レベルがせいぜい」という否定的な見方まで。

何をもって他の格闘技からの転向というのか、その定義は曖昧ですが「プロからプロへ」ということでしょう。

「他のアマ格闘技からプロボクシングへ」というなら、渡辺二郎はもちろん、亀田興毅も田中恒成も〝転向〟組です。

キックボクシングでほとんどのボクシング世界王者を上回る知名度と、大きな報酬を得ていながらボクシングの世界に挑戦する天心には、尊敬の念がまず先ばしります。

私の予想が見事に覆されることを期待しながら書きます。彼がボクサーとして東京ドームをフルハウスにすることは、おそらくないでしょう。

ただ、私は天心の成功を疑う〝否定派〟ではありません。

否定派の根拠は「ボクシングは世界的な格闘技で層の厚さやレベルがキックとはまったく違う」「キックとボクシングでは距離感をはじめ戦い方がまったく違う」の二つに集約されます。

まず、前者は全くお笑い種です。井上信者らがこれを口にしちゃうと、まさに天に唾、です。

ボクシングの軽量級は人気階級と比べて、層の厚さやレベルが全く違います。貧しい国の選手が多く、他に仕事を持つパートタイム・ボクサーが世界基準でも当たり前、日本人ですら防衛戦をある程度こなすまではバイトを続ける世界王者も少なくありません。

キックの競技人口も貧弱ですが、マイナースポーツのボクシングの不人気階級との比較ではそこまで絶望的ではありえません。

後者については、天心はボクシングど素人ではない、ということです。

ボクシング転向を発表するずっと以前から帝拳ジムに通い、世界王者クラスともスパーリングをこなしてきました。キックボクサーが今から準備してボクシングのリングに上がるのとは分が違います。「距離に戸惑う」ことはないでしょう。

独特のリズムのサウスポーに戸惑い、大舞台に慣れた強心臓に気圧されるのは、ボクサーの方かもしれません。

165㎝、約58㎏で戦っていることを考えると世界挑戦はバンタム級(118ポンド=53.5㎏)かジュニアフェザー級(122ポンド=55.3㎏)でしょう。

大橋秀行の「プロ3戦目で世界王者の記録を破れる」というのは真に受けることは出来ませんが、井上がジュニアフェザーに上げた後の〝焼け野原〟バンタム(井上が参戦したときでもすでに荒野でしたが…)なら十分にチャンスがあるでしょう。

エマヌエル・ロドリゲスなら天心を推します。日本会場ならロドリゲスのいつもの超弱気が顔を出して天心にあっさり飲み込まれるかもしれません。

井上が返上したタイトルを誰がピックアップするかによりますが、ロドリゲスやポール・バトラーなら大橋の言う早い段階での挑戦もありだと思います。

アントニオ・ラッセルは未知数、避けるべきはラウシー・ウォーレンのような舞台慣れしたランナーでしょうか。


天心よりも「やれるもんならやってみろ」と揶揄されているのが、YouTuberのジェイク・ポールです。

「夢は世界ライトヘビー級チャンピオン」と表明した、茶番劇の王様は8月6日にマディソン・スクエア・ガーデンの大舞台でハシム・ラクマンJr.とクルーザー級8回戦を戦います。

元世界ヘビー級王者の父から指導を受けている31歳のラクマンJr.は12勝6KO1敗。世界基準の相手とは一切関わりがなく、直近の試合で空位のWBC米国ヘビー級王座決定戦でジェームス・モリソンにKO負け、初黒星を喫したばかり。

一方のポールも5戦全勝ながら、うち3人はデビュー戦のキワモノ相手。もう一人はタイロン・ウッドリーとの再戦ですから実質全員がデビュー戦のど素人、茶番を極めたキャリアを突っ走っています。

ESPNのインタビューで紹介された過去の試合を見ても、アルツール・ベテルビエフや、ドミトリー・ビボルとはまったく違う星の住人です。

天心の軽量級とは違う「層もレベルも高い」階級です。ベテルビエフやビボル相手では、万に一つの可能性もありません。というか、やらせたら大事故にもなりかねません。

もちろん、ポールがバンタム級やフライ級ならここまで話題になりませんでした、ここまでというよりも全く話題にならなかったでしょう。

まともな世界王者は無理でも、主要4団体以外のチャンピオンになら間違いなくなれます。何度も防衛しても驚きません。

ただ、これまでの5戦4人の相手はいずれも身長170㎝台の小さな相手を体格で押しつぶした内容でしたが、ラクマンJr.は191㎝とポールを6㎝も上回る巨漢で、何よりもこの試合がデビュー戦ではありません。

この初めてづくしのチャレンジはYouTuberにとって試練になるのか、それとももう何か仕込み済みで予定通りの結果に終わるのか? 

オッズは茶番王が2/5(1.4倍)、ラクマンJr.が2/1(3倍)とアンダードッグ。 すでにもう仕込み済みなようです。