「米国で軽量級は注目されない、報酬も低い」(ノニト・ドネア)。

井上尚弥との再戦で、またもや敵地のリングに上がることになったドネアは「米国でやるのがフェアだけど、日本以外の開催は考えられなかった」と、嘆きました。

何を馬鹿なことをと笑うでしょうが、ドネアの4階級制覇がフライ〜バンタム〜ジュニアフェザー〜フェザーの不人気4階級ではなく、ライト級とウェルター級、ジュニアミドル級、ミドル級の人気階級で、JMとMで通用しなくてウェルターに出戻りだったら、トップランクはドネアをお荷物の赤字ボクサーと追放しなかったでしょう。

人気の無さと低報酬に悩む必要もなかったでしょう。

IMG_2952

それにしても、米国で、軽量級はずっと無視され続けて来たのでしょうか?

団体や階級が増殖する1970年以前も、ヘビー級が別格で、ライト(軽量)級以下の注目度・待遇が低かったということは今と変わりません。

しかし、オリジナル8の時代、フライ級の世界戦をメインにニューヨークのポログラウンズに2万人以上の大観衆が詰めかけるなど、現代ほど軽量級の扱いは酷くありませんでした。

オリジナル8をヘビー級を除いた7階級で分けると、ライト級を中心に、上が3階級(ウェルター・ミドル・ライトヘビー)、下も3階級(フェザー・バンタム・フライ)と分かれます。

現在のヘビー級を除いた16階級で「上の3階級」「下の3階級」がどうなったかを見ると、上の3階級がジュニアミドル、スーパーミドル、クルーザーを加えて6つになったのに対して、下の3階級はストロー、ジュニアフライ、ジュニアバンタム、ジュニアフェザー、ジュニアライトの水増しで9つに増殖しました。

オリジナル8では上から8番目のフライ級は、現代では上から数えて54番目グループです。

オリジナル8で7番目のバンタム級は48番目グループ。メキシカンのスターでも登場しない限り、もはや歯牙にもかけてももらえない順位です。

ただでさえ、ボクシング人気は長い低迷の坂道を転がり落ち続けているのです。

世界王者の粗製濫造と人気凋落によって、一つのイベントに複数のタイトルマッチを盛り込むことが日常的になります。

オリジナル8の時代に世界戦が二つ組み込まれるなんて、あり得ないことです。

今では、メインは人気階級、前座に軽量級の世界戦というのが米国の大きな興行のデフォルトです。

こんなことを繰り返しているのですから、ただでさえ人気下落のボクシング、その中でもさらに不人気の軽量級のマイナーイメージはますます定着してしまうのも当然です。

IMG_0686
FullSizeRender

矢吹丈と力石徹の死闘も8階級しかない時代であるが故に起きた悲劇だった、と考えられます。

もし、両者が歩み寄ることができるジュニアフェザー級やキャッチウェイトの発想があれば、試合終了直後に両者は健闘を讃え合う握手をしっかり完成して、悲劇は起きなかったかもしれません。

なにはともあれ、王者と階級がいたずらに増殖、大量生産される時代なら「あしたのジョー」は成立しませんでした。


…続きますが、

Why is Boxing losing black kids?〜メイウェザーでその血脈は途絶えるのか?〜①

https://fushiananome.superknova.org/archives/26624695.html

に合流します。

米国ボクシングの没落、その底はどこにあるのか?

潜ります。