楢崎も坂本もパッキャオも原田もフレージャーも、急遽の代役でした。

急遽の代役、とどのつまりは代わりがいくらでもいるリザーブの一人に過ぎなかったのです。

例えば、村田諒太や井上尚弥は「代わりがいくらでもいるリザーブの一人」ではありません。彼らに〝パッキャオ話〟が持ちかけられることはありません。

そんなオファーが届いても「エマヌエル・ナバレッテとは縁がない」と笑って破り捨てるだけです。

村田諒太の最初の世界挑戦はビリー・ジョー・サンダースが第1候補でしたが、サンダース陣営は「日本で村田と戦う」リスクを飲むのに法外な報酬を要求して交渉は破談。

もし、サンダースを選んでいたら「一番弱い王者を選んだ。ESPNで年間最高KO賞に輝いたアッサン・エンダムとやるならまだしも」と、後出しクレームをほざいていたでしょう。

そして、井上にはナバレッテやスティーブン・フルトンらから正式オファーが届いていた可能性がありますが、わざわざ危険な橋を渡る必要はありません。

村田と井上は「選ばれた者」です。

ファイティング原田が世界初挑戦したのは1団体8階級時代、世界挑戦は一生に一度あるかどうかのチャンスでした。オスカー・デラホーヤのイベントでセミファイナル、マニー・パッキャオは10日前に突きつけられたオファーを報酬も聞かずに快諾しました。
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世の中には「選ばれた者」と「選ばれなかった者」が歴然と存在します。

原田やパッキャオ、木村翔らは〝危険な招待状〟を無視することは出来ませんでした。それどころか、嬉々として招待状に即レスしました。

彼らは「選ばれなかった者」だからです。

「選ばれた者」である村田が、わざわざ危険な招待状を、世界で最も危険なファイターにラブレターのごとく送り続けているのは、狂乱の沙汰に見えますが、それこそが「選ばれた者」の証左です。

カネロ・アルバレスには村田らミドル級の強豪や、ライトヘビー級のアルトゥール・ベテルビエフ、ヘビー級のオレクサンダー・ウシクまでがラブコールを送っています。

「選ばれた者」の中でも最高の椅子に座るカネロは、対戦相手を好きなように選べます。

カネロはモテモテなのに、井上はどうして試合枯れするのでしょうか?

その理由は一つではありませんが、危険なオファーを断ることもその一つでしょう。そして、いつも100万ドルと自らの報酬は公表するのに、対戦相手の報酬はまず明らかにしない、つまり驚くほど安いからです。
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危険なオファーを断るのは当たり前です。リスクとリターンの天秤で、リスクの皿が重く沈んでいるオファーなど受ける方が、どうかしてます。

カネロやパッキャオとの試合は敗北のリスクよりも、報酬と注目度のリターンの皿が大きく跳ね上がってるから誰もが戦いたがるのです。


モハメド・アリとシュガー・レイ・レナードは、何故、偉大なのか?

ジョー・フレージャーとのトリオロジーを紡ぎ、若きレオン・スピンクスから王座を奪還したから?ウィルフレド・ベニテスやロベルト・デュラン、トミー・ハーンズとの熾烈なライバル対決に勝ったから?

もちろん、それも彼らの偉大な一部です。

しかし、選ばれた者であるはずの彼らが本当に偉大であることを世に知らしめたのは、選ばれた者であるはずなのに危険な橋を、自らの意思で渡ったからです。

アリにとってのソニー・リストンやジョージ・フォアマン。レナードにとってのマービン・ハグラー。

誰もが「勝てるわけがない」「殺されるぞ」と思い込んでいた戦いで、世界を驚かす結果を出したからです。
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I DON'T HAVE TO BE WHAT YOU WANT TO BE.〜お前らの思い通りにさせてたまるか!

アリは超がいくつも付くスーパースターでしたが、その体に流れていたのはBサイド、反逆の血でした。


********こんな流れになるとは、想定してませんでしたが、まだまだ続きます…。