IMG_6329
もう夜中の12時前だというのに歌舞伎座では1日の初日を前に看板などの設置工事中。

お客さんのいない夜中にお仕事をする人って、なんだか格好良いもんです。

早朝から夜中まで社畜的に働くのはどうかと思いますが…。


「スポーツ疾風怒濤編」なんでタイトルを付けながら、スポーツの清々しさとは真逆の醜悪なバブル時代のお話に足を突っ込んでいます。

現在の冷え切った景気の中で就職活動している学生が聞くと、腹の立つ話かもしれませんが、バブルと呼ばれた時代がありませた。

1985年から1991年までの7年間というのがバブルの定義らしいのですが、私には、もっとずっとバブルだった気がします。今でも。

大学の体育会に身を置いていました。

当時の就職は完全無欠の売り手市場で、学生がライバル企業と接触しないように都内の高級ホテルやフランスレストラン、貸切ディズニーランドで「拘束」という名の囲い込みがあちこちの企業で当たり前に行われていました。

そんなことしたって、無駄なのは当たり前で、ほとんど全ての学生は第一志望の企業ときっちり接触して、散々拘束という名の接待を受けながら、第二志望以下をお断りするのが普通でした。

当時はバブル、金融の時代です。証券業界はこの世の春を謳歌、リーディングカンパニーなら普通の大卒で2年目冬ボーナス200万円以上、お茶くみの女の子でも70万円を超える狂気の沙汰でした。

ただ、仕事は激務、離職率も高く、現実には不人気企業でした。

不人気とはいえこの世の春を謳歌してるので、会社としては傲慢で「すみません、総合商社にしました」なんてお断りすると、人事担当者が「嘘ついてたのか!そんなんじゃ社会人として失格、どんな仕事につこうがうまくいくわけがない!」と激怒・罵倒された挙句、コーヒーぶっかけられた…なんて都市伝説がありますが、事実です。

人事担当者の行為は侮辱罪や傷害罪で訴えられてもおかしくありませんが、当時はそんな視点はありません。

「24時間働けますか?」なんてバカなCMが当たり前に流れていた時代です。

ニューヨークの名所を三菱地所やらソニーが買収、日本の土地価格は全米を上回ったと言われ、モノづくりから雇用体制まであらゆる日本のシステムが米国よりも優れていると自画自賛していた時代。

もっとわかりやすく言うと、お金を儲けることは、すべからく美徳とされていた時代です。

過酷な仕事に体調を崩すどころか、健康に大きな障害を残したり、命を落とす友人知人もいました。

たかが、仕事なのに、馬鹿らしい。

いつも笑ってお酒飲んでた陸上仲間の友人が、お酒を飲みながら「この仕事は続けられない」と泣いた夜がありました。

大学も就職先も違いましたが、彼はインカレで上位を争う強豪大学の投擲選手でした。

私たちはたまたま体育会の役員をしていて、原宿の岸体育館なんかの開合で会うことはありましたが、試合や記録会で顔を合わすのを含めても、年に10回も会わない仲でした。

体はもちろん顔の作りまでゴツいヤツで、人前でボロボロ泣くようなヤツには絶対見えませんでした。

普段はカラオケなんて行かないのに、その夜は気まぐれでカラオケスナックに入りました。

彼はブルーハーツのヒット曲を歌いました。

ここは天国じゃないんだ
かといって地獄でもない

いい奴ばかりじゃないけど
わるい奴ばかりでもない

ジャイアンばりの音痴でしたが、大声でがなり立てると少しは気が紛れたのか「さっきまで自殺したい気分だったけど、たいしたことないな、これくらい」と笑った彼と別れました。

社会人になる寸前の大学時代の話です。

そこで出会った気の合った友人知人は、今となるとなんというか、大袈裟ですが戦友のような気がします。

あの時代、けして恵まれた時代ではありませんでした。

当たり前のことが、当たり前じゃなかった時代。人の命や健康がお金の二の次にされ、ハラスメントなんて言葉がまだ英語だった時代。

バブルは弾けて、日本は失われた10年だか20年だかをのトンネルに沈降したのかもしれません。

バブルが弾けて多くの人が、巨大な損失を抱えてしまったことを知らないわけではありません。

個人的にはバブルが日本の絶頂だったというのは、大間違いです。あんな時代には絶対戻ってはいけません。

それでも、あの時代に、私たちは社会に放り出されました。

入社したら先輩や上司になる人から、上得意先のように接待されるわけです。

狂った世界です。

このブログで登場する私の知り合いはみんな美人だったり、よく出来た人間だったりしますが、そうでない人ともたくさん会ってきました。

あの時代が狂っていないと考えていた人もいました。いや、むしろそんな人の方が多数派だったかもしれません。




どんな接待を受けたか自慢するヤツ。

興味のある業界ではなく、給料が高くて名前の通りが良い企業を志望するヤツ。

その会社で何が出来るかわからないお前を大金かけて拘束するのは、その会社の大学枠を埋めるためだけで、入社したらホテルニューオータニのスイートルームでディナーはトゥールダルジャンなんてありえない、捨て駒に扱われることが分かってないのか?

お前が優れているんじゃない、世の中が狂ってるんだ。

自分たちの方から拘束・接待しながら、入社を断られると激昂する人事担当者。拘束してる時点で、相手を信用していないんだから、それで裏切られて怒るなよ。



…そんな狂乱の中でも「こんな私に最初に内定をくれたから」という理由で、会社を選んだヤツもいます。

拘束や接待を「疑わないでください。自分を信用してくれない会社には、逆に行けません」と参加を固辞したヤツもいます。

そんなアホどもは互いに惹かれ合うのはなんとなくわかりますが、私はそうではありません。

珍しい高級酒を飲ませてくれると誘われれば行くし、幸いコーヒーはかけられませんでしたが、第二志望以下の何社かは接待・拘束を受けながらお断りした人間です。

そんな私なのに、バブルに踊ることを拒んだアホどもが中核をなす仲間との付き合いが、どうしてまだ細々とはいえ続いているのか、正直よくわかりません。

バブルはまだ弾けていない,そんな気がしているのは、あの頃出会った友達との結びつきが結構強いからかもしれません。