軽量級とシングルモルト。

この二つは、全くもって酷似している。

どちらも長い間、正当な評価を受けずに埋もれて来た。

そして、その価値を識ることは「隠された秘密」を垣間見る特権を享受出来るということに他ならない。

フライ級やバンタム級の小さな体は敏捷で、スピードとパンチの回転力に優れ、鈍重な階級とは一線を画す。

また、実際の体格や重量感が伝わりにくいテレビ画面では、軽量級のハイテンポなボクシングは退屈な展開に陥りにくい。

軽量級が一発強打の魅力に欠けると思い込んでいる人がいるとしたら、見たことがないだけだ。

見てから言え。 

また、人間の肺胞の表面面積は体格差によって大きく変わらない。118ポンドのバンタム級に対して、236ポンドのヘビー級に2倍の酸素供給能力は無い。

優れた軽量級は12ラウンドをハイテンションのまま躍動できるのに、重量級ボクサーが試合中盤でも見苦しいガス欠を起こすのはやむを得ない人体の生理や構造の問題だ。

シングルモルトにウイスキーのエッセンスが詰まっているように、軽量級にはボクシングの面白さが全て詰まっているのだ!
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〜いきなり、モルトの聖書「モルトウイスキー・コンパニオン」のパクリな書き出しで始めちゃいましたが、軽量級とこの30年で一気に世界的な認知を得たシングルモルトはエッセンシャル&プリミティブな魅力を備えている点で、非常に似通っています。

軽量級は、一部の専門家を除いてまだまだ欧米で認知されていませんが。

また、ボクシングの重量級級、中量級、軽量級は闘牛、闘犬、闘鶏にも例えられるでしょう。

闘鶏は目の前で見る単純な迫力で見劣りするものの、精緻なカメラがしっかり動きを捉えるテレビ画面で見ると、そのスピードとダイナミックさは闘牛や闘犬の比ではありません。

その軽量級で、世界をリードする日本の駿才が激突するのです。

蒙昧な欧米のボクシングファンが知らない、知ろうともしない計量級の深遠な世界。

幸いなことに、日本のボクシングファンは、軽量級の甘美を味わう審美眼を長い時間をかけて熟成してきました。
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井岡一翔vs田中恒成。

この世界タイトルマッチは、注目度という点では「大場政夫vs花形進」「薬師寺保栄vs辰吉丈一郎」「畑山隆則vs坂本博之」「亀田興毅vs内藤大助」など過去の日本人対決に劣るかもしれません。

しかし、超ホープからスターに駆け上がった究極のエリート対決という構図は、過去の日本人対決とは全く色彩が異なります。

つまり、Aサイド対決、勝敗予想は五分、というよりも誰もがどちらが勝つのかハッキリとイメージできない大勝負です。

https://www.ringtv.com/615952-a-qa-with-kosei-tanaka/

宮田有理子の田中へのインタビュー記事がリング誌電子版でアップされています。日本語でやり取りされたインタビューが、英語で記事になるーー世界のボクシングファンに読んでもらいたい記事です。

この試合の勝者は、軽量級で最もタレント豊富なジュニアバンタム級の最強決戦に進撃することになります。

ファン・フランシスコ・エストラーダが日本のリングに初登場する。ローマン・ゴンザレスやシーサケット・ソールンビサイが日本のリングに帰ってくる。

その辺の中量級が日本で試合するよりも、はるかにワクワクする〝大事件〟です。

ジュニアバンタム最強決戦に勝ち抜くとなると、世界中のボクシングマニアがリクエストの声を上げるでしょう。

「日本最強の軽量級を決めろ」と。

In The Ring,Anything Happen.

明日はいよいよ計量!

この二人に関しては、何の心配もない、完璧な仕上がり具合を楽しむお時間です。