痛烈に蹉跌したホープが、30歳半ばを越えて再び眩しいスポットライトを浴びる…そんなことが現実に起こりうるでしょうか?
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塀の中と外を行ったり来たり…カークランドの人生もまた狂った何かを修正できないまま今に至っています。

中谷正義がフェリックス・ベルデホを大逆転で倒す、その9年前のことです。


石田順裕がジェームズ・カークランド相手に大番狂わせを起こしました。

会場は中谷vsベルデホと同じMGMグランドでしたが、リングが組まれたのはガーデンアリーナ、1万6000人を飲み込む大会場です。

それもそのはず、メインはマルコス・マイダナvsエリック・モラレスのメガファイト、当時の米国ボクシングで最も格が高いHBOのPPVイベントでした。

オッズは1-17、石田の勝利に20倍以上を付けるブックメーカーも現れるなど、日本人に張り付けられたのは噛ませ犬の値札。


しかし、リング上で石田が屈辱的な値札を引き裂くのに必要な時間は1ラウンド3分間でも十分過ぎました。

中量級最大のホープ、カークランドをあっという間に3度も転がすと、主審のジョー・コルテスは大きく手を振り試合を終わられたのです。

112秒前までのカークランドの戦績は27戦全勝24KO、米国黒人が中量級に王国再興するための最も重要なピースの一つが日本人の拳によって打ち砕かれたのです。

あれから9年。

日本ボクシング史上、ラスベガスを最も震撼させた石田はディミトリー・ピログやボール・ウィリアムス、そしてゲンナディ・ゴロフキンとの世界戦などミドル級のトップ戦線で戦い、日本ではヘビー級に挑戦。

あの日を境に、石田のキャリアは一変しました。

一方のカークランド。

復帰戦を飾り、2015年にはカネロ・アルバレス との人生最大の大勝負に挑みましたが、石田戦前の輝きを取り戻す日はついに訪れませんでした。

4年のブランクを経て昨年カムバック、二線級相手に2連勝。

Mandingo Warriorが明日また、リングに上がります。

James Kirkland vs. Juan Macias Montiel
10 rounds – middleweights
ロスアンゼルスのシュリーン・イクスポジション・センター、162ポンド契約のスーパーミドル級10回戦。拳を交えるのは26歳のファン・マシアス・モンティエル。 

メキシコ、シナロア州ロスモチス出身というモンティエルは、あのモンティエル一族っぽいですね。

3年前にハイメ・ムンギアに2ラウンドで屠られていますが、戦績は27戦21勝4敗2分。21の勝利は全てKOというハードヒッター。

カークランドvsモンティエル、KO必死のサバイバル。ここで勝っても、層の厚い中量級でトップ戦線までたどり着くには厳しい道のりです。

そんな世界から遠い、本当なら注目すべき試合でなくても、カークランドだから米国メディアはドラマ仕立てで今でも取り上げるのです。

石田はそのカークランドが、もっとも熱い視線を集めていたときに勝利したのです。 

それにしても…。カークランドの生き方、ボクシングを見ているとあれは番狂わせでもなんでもなかったようにも思えてきます。

まあ、でも、そうは言っても。カークランドを応援します。

石田との試合がなければ何の思い入れもないボクサーでしたが、現実はそうではないのですから。




…1ラウンドで粉砕されてしまいました。