「軽量級の報酬はいくらなんでも安すぎる」。

ことあるごとに軽量級の〝存在に耐えられない軽さ〟を訴えているのは、ジュニアバンタム級のリング誌王者ファン・フランシスコ・エストラーダ。
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仕方がありません。

そもそも、ジュニアフェザー級以下の超軽量級で、HBOやShowTIMEが仕掛けるPPVイベントが組まれた事例は歴史上ゼロです。

フェザー級まで広げても、イエメン王朝とアラブの富裕国から絶大な寵愛(資金援助)を受けたナジーム・ハメドが存在するだけです。

そのハメドですらPPVイベントはマルコ・アントニオ・バレラとの1試合だけです。

米国ボクシングにおいて、ウェルター級やミドル級、ヘビー級などの人気階級と、ジュニアフェザー級以下の超軽量級では野球とソフトボール、サッカーとビーチサッカー以上の収入格差が存在します。

つまり、報酬や華美な世界だけの比較では「全く別のスポーツ」なのです。

村田諒太がやろうとして途上にあるのは、イチローや松井秀喜と同じようにジャパンマネーを踏み台にした「華美な世界」への挑戦です。

西岡利晃や井上尚弥がやっているのは、チンケなジャパンマネーで日本国内に向けて「 ソフトボールは世界でもメジャー」と言ってるのと同じです。

「ソフトボール」がメジャーになるわけはなく、その試合を無理やりヤンキースタジアムでやっても、その先の着地点が全く見えてきません。 

例えば、井上vsエストラーダの軽量級PFP対決が実現したら、最も大きな舞台が用意できるのは日本を置いて他にありません。コロナ禍が落ち着いて、MGMグランドガーデンアリーナでやれば中上階席封鎖、格安チケット、ESPN+で配信は目に見えています。

では、米国で超軽量級に陽が当たることは永遠にありえないのでしょうか? 

シュガー・レイ・レナードはたったの1試合で、ヘビー級が保持し続けてきた覇権のトーチを、中量級が奪い取る大逆転劇を演じて見せました。

もちろん、米国人の五輪金メダリストが成し遂げたことで、パナマ人のロベルト・デュランが石の拳でやってのけたことではありません。

フリオ・セサール・チャベスが道を整備し、カネロ・アルバレスが登り詰めたスーパースターの頂点が「メキシコ」という名の追い風を受けているのは明らかです。

この強力な追い風が、これまで真っ暗闇だった超軽量級に光を当てる松明になるかもしれない…そう期待したこともありましたが、強くて試合も面白いエストラーダ でも報酬10万ドルが最高レベルというのでは、メキシコの風ですら超軽量級には非情に冷たく吹き付けるだけなようです。

欧米の価値観を外的刺激によって変えるのは不可能です。

マニー・パッキャオですら1000万ドル単位のメガファイターに仲間入りできたのはオスカー・デラホーヤを相手に衝撃的な勝利を収めてからでした。

とどのつまり、パッキャオは軽量級で米国を制圧したわけではありません。奴らの根城、ウェルター級に土足で上がり込んで大暴れしただけだったのです。

欧米の価値観を外的刺激によって変えるのは不可能…逆にいうと内的要因、あるいは世界的な要因があれば奴らの価値観も変容する可能性はあります。