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ESPN電子版は、モハメド・アリの4回忌にあたる6月3日(日本時間4日)に特集企画を組みました。



私のような「アリを知らないボクシグファン」がボクシングのことを知れば知るほど、わかってくることは、モハメド・アリがいかに偉大かということです。

大学時代、広い図書館で貪り読んだスポーツイラストレイテッド誌やリング誌からタイム誌やニューズウィーク誌などの米国の薄くて頼りない紙質の雑誌。

ときどき、大きくフィーチャーされるモハメド・アリに対して「もうとっくに引退した選手なのに、米国はどうしてモハメド・アリをこんなにも慕っているのか?」という思いがしばらく拭えませんでした。

それは、きっと私がアメリカ人でないから。

きっと私が黒人でも白人でもないから。

クリスチャンでもムスリムでもないから。

そういうのも全部ひっくるめて、歴史や文化圏が違うから。

最初はそんな風に、自分で納得していました。

でも、そんな肌の色や人種、宗教、歴史や文化に理由を求めるのは間違いでした。
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Ali, then Clay, drinks at a restaurant in Louisville, Kentucky, in 1963. James Drake/The LIFE Images Collection/Getty Images


その答えは、きっと、こういうことです。

「乗り越えられそうもない困難に直面したとき、絶望的な悲しみに打ちひしがれたとき。彼なら絶対に諦めたり泣き暮れたりはしないだろうーーそう確信できる人間」を米国は幸運にも手に入れたからです。

それが、モハメド・アリだったのです。



それにしても、この人の言葉はどうしてこんなに劇的に感動的な説得力を持つのでしょうか。

もちろん、世界一のアスリートが語るからこそ、深くて重い言葉になるのでしょう。

それにしても、やっぱり大袈裟でもなんでもなくThe Greatest という以外に彼を表現することはできません。
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最近のお気に入りは、この言葉です。

Age is Whatever You Think It is. You are as Old as You Think You are.

「年齢なんて関係ない。自分が年寄りだと思うなら、その通りだ。若いと思えば、その通りだ」。

ああ、酔っ払ってるせいではなく、無理です。

私なんかが訳すなんて野暮すぎます。アリの言葉に翻訳やフィルターを通すなんて、身の程知らずもいいとこです。

そうです、この↓有名な一節ですら「蝶のように舞い蜂のように刺す」ではありません。

ビートルズがこのあとノックアウトされる写真も有名な一枚です。
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The Greatest が発したその言葉、そのままに…。


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その通りです。結局は、みんな想像力が足りないんです。
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逆境に追い込まれれば、追い込まれるほど、彼の言葉が響きます。

「もうダメだ」なんて、人間が脳内で作り上げた妄想です。それは、幻想です。事実じゃありません。

その通りです。

不可能なんて、人間が勝手に頭の中で作り上げた実態のない妄想です。

でも、私みたいな蒙昧な人間は、ときとして「突き抜けた自信や高邁な信念のほうが妄想、幻想だ」と思い込んでしまうのです。
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彼ほどの高度な技術をマスターしたアスリートに言われると嫌味でしかないはずですが、そうは聞こえません。

それほどまでに、強靭な意志の力を世界に示してくれましたのです。「根性は技術を超える」ことを、世界中が注目するリング上で、何度も証明してくれたのです。

あ、野暮な訳をしていまいました…。
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彼が The Greatest だということはこれまで何度も思い知らされました。

それでも2016年に亡くなられたときは、私がアリをいかに過小評価していたかを、またもや思い知らされました。

あのとき、米国メディアの反応は冗談抜きに大統領が3人死んだくらいの悼み方でした。

あらゆるメディアがトップニュースで、これ以上ない大きな扱いで報道しました。連日、報道し続けました。

CNNがアリの葬儀や偉大な足跡の特集番組をいくつも制作・放映したのはもちろん、その死を悼み、その偉大な思い出をテロップでなんと丸二日もぶっ続けで流し続け、喪に服しました。

不謹慎な物言いで申しわけありませんが、父ブッシュ大統領がお亡くなりになったとき、CNNが〝喪に服した〟のは1日(24時間)でした。
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Ali fends off a kick from wrestler Antonio Inoki during an exhibition fight in Tokyo on July 5, 1976.

ボクシングがまだ偉大だった時代。ボクシングのヘビー級チャンピオンが、あらゆるスポーツの中で別格の存在だった時代。

そんな時代にアリは現役の世界ヘビー級チャンピオンとしてエキシビション(プロレス)のリングに上がったのです。

常識ではありえません。そう、常識では。 

ある意味、アントニオ猪木戦は、アリが最もアリらしかった舞台かもしれません。
 

ESPNの記事では、敢えてでしょうが、現在の大揺れに揺れる世界の危機については語っていません。

それでも、モハメド・アリの言葉をいつも以上に重く、深く受け止めるしかない4周忌になってしまいました。



アリの肉体は滅びたのかもしれませんが、死んでないです。どう考えても死んでいません。

モハメド・アリは、いきいきと、今なお生きています。