日本時間9月29日、日曜日。

世界ウェルター級統一戦。カリフォルニア州ロスアンゼルス:ステイプルセンター。このイベントはFOXがPPVで全米生中継します。

メインはIBF王者エロール・スペンスJr. vs WBC王者ショーン・ポーター。

スペンスはマイキー・ガルシア戦に続いて2戦連続二度目のPPV、ポーターはキャリア初のPPVです。

最もグラマラスな階級のトップ選手の激突です。

オッズはスペンス勝利が1.12倍、ポーター5.5倍。5-1でIBF王者に大きく傾いています。

現在のウェルター級シーンはスペンスとテレンス・クロフォードがトップ2と見られ、それに次ぐのがポーター、キース・サーマン、ダニー・ガルシア、マイキー・ガルシアらの第2集団。

さすがウェルター級。彼らは全員、100万ドルファイターのビッグネームですが、ご存知の通りこのクラスには別次元のパワーハウスが存在します。

マニー・パッキャオです。

カネロ・アルバレス を除いて、当たり前に2000万ドル以上の報酬が約束されているパックマンと戦えることは、自身も高報酬が期待出来るだけでなく、世界的にも大きな注目を浴びることが出来る夢舞台です。

しかし、それだけではありません。

今年12月で41歳となる生きる伝説のキャリアが最終章に差し掛かっていることに疑う余地はなく、パッキャオを明白に倒すことはスーパースターのトーチを受け継ぐこと、つまり「王位継承」を意味します。

ポーター戦に向けてのプレスカンファレンスの席でスペンスは「ポーターに集中しているが、勝てばパッキャオと戦いたい」と何度もフィリピン人の名前を口にしてきました。

全盛期のパッキャオのスパーリングパートナーだったポーターも「パッキャオとは何の交渉も始まっていないから、興味もない。スペンスを倒すことしか頭にない」と語りながらも「ウェルター級やその周辺階級でパッキャオと戦いたくないボクサーがいるのか?」と逆質問、本音を漏らしています。

偉大なキャリアのグランドフィナーレをどう演出するのかは、もはや自身が決めるほどにパッキャオの伝説は偉大です。

近未来にスペンスvsポーターの勝者や、クロフォードとの最強決定戦を選択する可能性はありますが、それはすぐ次の試合ではありません。

マイキーかダニーの人気者と比較的負荷の少ない試合で大金を稼いでから、というのがフィリピン上院議員の優先順位でしょう。

それでもこの試合に勝利を収めることはパッキャオからトーチを簒奪する候補に名乗りを挙げることが出来ます。

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前置きが長くなりました。

日本時間で3日後、日曜日の白昼にスペンスとポーターが拳を交えます。

スペンスは身長177㎝/リーチ183㎝の29歳、サウスポーのボクサーファイターです。25勝21KO無敗。

対するポーターは31歳、170㎝/177㎝のブルファイター。30勝17KO2敗1分。

ポーターの2敗はサーマンとケル・ブルックに喫したものですが、どちらも拮抗した展開で、Showtimeはまだ完敗を知りません。

しかし、そのブルックを11ラウンドKOに屠っているのがThe Truthです。

ボクシングに三段論法を持ち込むことの愚かさを重々承知していても、其れを無視できないのがメディアやファンです。

将来はミドル級に上げてカネロ戦も見据えるスペンスの体格と、変則のサウスポーで破格の強打はポーターを大きなトラブルに巻き込むと予想するのは当然です。

177㎝/183㎝というスペンスのフレームは、ライトヘビー級進出を決めたカネロの173㎝/179㎝を上回り、ゲンナディ・ゴロフキン(179㎝/178㎝)はもちろん、ミドル級でも恵まれている村田諒太(183㎝/184㎝)と比べても遜色ありません。

先程、会場となるステイプルセンターで行われた最後の記者会見では、それまでのリスペクトから一転、挑発モードへ。

スペンスが「私を倒せるものならやってみろ。威勢がいいのは土曜日のゴングまでだ」と煽るとポーターも「135ポンド(ライト級)のマイキーをKO出来ないのに147ポンドのShowtimeに勝てると思うな」と応酬。

「ポーターはダーティーファイターだが私には関係ない」と嘲るスペンスにポーターが「ダーティーなやり方なんてした覚えがない。私の攻勢には誰もがなす術もなくなるが」答えると、スペンスは「お前がダーティーじゃないなんて誰も思っちゃいない。汚いやり方しか出来ないんだろう」と口撃。

明日の前日計量でもバチバチに火花を散らしそうな2人です。

さて、戦前予想も各メディアで出揃ってきました。

リング誌が関係者21人から集めた予想は、なんと20人がスペンス勝利を予想。オッズ(5-1)を上回る20-1でスペンスを推しています。

ただし、20人の内KO決着と見ているのは3人だけ。

「ライト級のマイキーを倒し切れなかったスペンスがポーターをノックアウト出来るとは考えにくい」ということでしょう。

ただ1人、ポーター勝利を予想しているジョン・スカリー(トレーナー)の声を拾います。

「ポーターは不屈の精神で戦うはず。それはスペンスにとって厄介だ。もしポーターの執拗な接近を止めることができなければ、スペンスは判定を失うだろう。どちらが勝っても不思議ではないが、もし自分のカネを賭けるなら掛け率が高いポーターだ。つまり、掛け率ほどに両者の力量差はない」。

もし、タフなポーターをスペンスが序盤で粉砕するようなことがあると、それはそれでパッキャオ戦は遠ざかる気もしてきます。

また、サーマンに負けているポーターが番狂わせを起こすようなら、生きる伝説が最終章を、有終の美で飾る可能性が膨らみます。

熱烈なパッキャオファンですが、スペンスとクロフォードにはパッキャオと戦うまでは強いまま、無敗のままでいて欲しいと願っています。