スポーツファンのほとんどがその名前を知らなかったアスリートが、たった1試合で日本列島の隅々までその名を轟かすことがあります。

全英女子オープンで優勝した渋野日向子はその典型です。

一度不合格に泣いたプロテストに昨年合格したばかり。ボクサーならまだ4回戦かせいぜい6回戦で戦っているような浅いキャリアです。

それが全英女子優勝。ボクシングなら完全統一ウェルター級王者になるようなものです。 

井上尚弥を「PFP4位というのは凄いこと。テニスやゴルフで世界ランキング4位というのと同じ。もっと注目されるべき」と見るのは大間違いにもほどがあります。

PFPは現実の試合で決まるものではありません。なおかつ「ヘビー級以外の選手にも光を当ててあげる」という救済措置的な意味合いがあるお情けランキングです。

階級と王座が増殖するボクシングのファンにとってPFPは楽しいお遊びですが、それ以上の意味はありません。

「井上はもっと評価されるべき」「リング誌をカバーするなんて井上は凄い」と真剣に考えている人がいるとしたら、井上よりも遥かに高い評価を得ていたローマン・ゴンザレスについてどれほど知っているのでしょうか?

やはり井上を大きく上回る評価を得ていたノニト・ドネアについて何か覚えているのでしょうか?

井上信者が幻覚を見ている「ラスベガスでPPV」なんてロマゴンもドネアも全く無縁でした。リング誌単独カバーも2人は全く無縁でした。

井上が戦うバンタム級は世界的にはドマイナーの階級です。女子スポーツで男子と同列で語られる数すくない種目のゴルフでメジャー制覇した渋野と比べて扱いが卑小なのは当然です。

英国の片田舎、スコットランドの会場で上階席を封鎖しなければならないほどの卑屈な興行で前座というのが井上の世界評価です。

もちろん、日本のボクシングファンにとっては至宝です。ただ、残念ながら世界が歓迎する階級とは程遠いところで戦っているのです。