日本において、ボクシングはマイナースポーツです。

プロの有効ライセンスを保持しているボクサーは男子だけで2000人前後ですが、この中には1試合もリングに上がっていないペーパーボクサーもカウントされています。

そして、アマチュアボクシングの競技人口は、男女合わせて4743人(2017年度)。
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日本の事実上の国技、野球を見ると今年の夏の高校選手権大会出場校だけで3957校、部員数は14万3867人にのぼります(日本高等学校野球連盟)。

高校の野球とボクシングの競技人口は、ボクシングが2017年調べで2年のギャップがありますが、2176人。66分の1です。

もちろん、こうした統計数字を鵜呑みにして「高校ボクシングは高校野球と比べたらカス」なんて評価は禁物です。

ボクシングのミドル級は世界的な最激戦区ですが、このクラスで競技人口が100人に遠く満たない日本が五輪の金メダリストを輩出するのです。

とはいえ、まともな場所では言えない思いがむくむくと頭をもたげてきます。メジャー競技のトップ選手がボクシングをやっていれば…。

「大谷翔平なら世界ヘビー級王者になれたんじゃないか?」。

「イチローの身体能力(スピードとパワー)と反射神経はロマチェンコの比ではない」。

「サニブラウン・ハキームのスピードとパワーはエロール・スペンスを弄ぶはずだ」。

「久保建英がボクシングをやってたら中学生でストロー級で世界を獲って、ロマチェンコも粉砕して9階級制覇している」。

はたして、そうでしょうか?

もちろん、ビッグイフで「高校野球の甲子園大会がボクシングだったなら」を想像してみましょう。

つまり、高校時点で15万人の競技人口を抱えて「高校ボクシング」が全国的に注目されていたなら…。

そんなビッグイフの世界では、日本人でも途轍もない才能が現れて4団体時代の今ならヘビー級やクルーザー級をはじめ17階級の世界を席捲している可能性が高いと思います。 

…深く掘れば、深く掘るほど貴重な宝石を探り当てられることは間違いありません。小さな水溜りよりも、大洋にこそ巨大魚が棲んでいるのは当然です。

しかし、…ボクシングでも本当にそうでしょうか?

プロボクシングは古くから存在する職業ですが、それは医者や弁護士などよりも遥かに特殊な才能が求められる仕事です。

才能、というのは正確な表現じゃないですね。単純な身体能力や反射といった才能だけなら球遊びや駆けっこのトップ選手の方が優れているでしょう。

幼年期で、優れた野球選手は優れたサッカー選手になれるでしょう。球遊びは、互換性が強いお遊戯です。

ボクシングには球遊びや駆けっことの互換性はありません。

この職業に必要なのは才能ではなく、資質です。もっとわかりやすく言えば、運命や宿命です。

ナックルパート、拳の奥の奥の方に運命や宿命が埋め込まれた資質だけがボクサーになれるのです。

現代ボクシングで単純な身体能力が最もすぐれている「才能」がアンソニー・ジョシュアであることに異論がある人はいないでしょう。

一方で、おそらく単純な身体能力が最も乏しいボクサーの一人がアンディ・ルイスJr.。それでも、あのヌイグルミのような肥満体の中にこのスポーツに必要な「資質」を秘めていたことも…おそらく多くの人が気づいているでしょう。

まだまだ、続きます。