英国ボクシングニューズ誌は、試合や選手の動向などだけでなくトレーニングについても積極的に特集してくれています。

〝先生〟役はかつてブライアン・ミッチェルやアズマー・ネルソンの持つ世界王座に挑戦した経験もあるジム・マクドネル。

井上尚弥に木っ端微塵にされたくせに、いつまでもウジウジと負け惜しみをたらしているジェイミーと名前はちょっと似てますが別人です。

このマクドネル、有名どころではジェイムズ・デゲイルをコーチしていました。 

今夜はその中からをHow to improve your runningをご紹介。 

ランニング。ボクシングに限らず、あらゆるスポーツの基本トレーニングにして、日本野球では盲目的・狂信的に 「打ち込め!投げ込め!走り込め!」などと教えられていましたが、最近では「走ればいいってもんじゃない」と、ランニングへの取り組み方は変わってきています。

野球の投手のスタミナは長距離走で鍛えられるものではありません。江川卓や野茂英雄ら終盤でも球速がが衰えない、驚異的な球数を投げられるタフな投手の多くは長距離走が苦手でした。

どうしてこんな話を書こうと思ったかというと先日「亀田興毅(元ボクシング3階級世界王者)がランニングを語る「ボクサーにとって走ることは仕事」という記事を目にしたからです。

日本人初の三階級制覇王者は、ランニングについてあまり彫り下げずに「現役時代に毎日ランニングをできたのは、試合という目標があるからでした。続けるためには何か目指すものがあれば良いと思います。ただ単に走るとなると続かないですからね」と結んでいます。

マクドネルは「ランニングは土台を作る作業。ボクシングで必要なのは瞬発力と、それを繰り返すことができること。長距離走のタイムが良くなったからボクシングのスタミナがつくわけじゃない。それでも有酸素運動で体をしっかり作ることで、瞬発力を高める練習にスムースに移行できる」と、ランニングそのものはボクシングにとって必要不可欠な練習ではないとしています。

有酸素運動によって土台を作る、これを怠ると試合で求められる瞬発力を高める練習の精度が落ちてしまうのですが、この土台作りは有酸素運動であればランニングでなくてもいいのです。

例えば水泳や、バイク(自転車)。

理論的には全く問題ありません。野球の投手もボクサーもマラソンを走るわけではないので、ランニングを水泳やバイクで代替できます。

しかも、硬い路面に何度も足を叩きつけるランニングは膝や足首などの関節に勤続疲労を溜め込み、ケガの原因になりますから、より衝撃の少ない水泳やバイクの方が故障のリスクも回避できます。
〝ドーピング・グル〟ビクター・コンテに栄養管理を任せているノニト・ドネアらは、ランニング、特に長距離走をほとんどしないことでしられています。

しかし「走らないと不安。走るのが好き」っていうボクサーもいるんです。
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フレディ・ローチが「年齢を重ねると関節を痛めやすくなるからランニング量は減らせ」というのも聞かずにガンガン走っちゃうマニー・パッキャオはその典型でした(最近は議員活動が中心で練習量もランニング量も激減しています)。

HARD work beats talent if talent doesn’t work hard. Talent with hard work is unbeatable.
努力は天才を打ち負かす。ただし、打ち負かすことが出来るのは努力しない天才だ…つまり天才が努力したら無敵。君は天才だ!さあ、無敵になろうぜ!厳しい練習に打ち込もうぜ!

父親の教えを実直真摯に受け入れた亀田興毅は、ランニングを試合で勝つための必要不可欠の練習と、懸命にこなしてきました。

しかし、このランニングというあらゆるスポーツで、特に日本で唯一神のように崇められてきた練習方法は大きな岐路を迎えています。

「打ち込め、投げ込め、走り込め」はもはや死語です。それは、現代では才能の選手寿命を短くするだけの忌々しい呪文です。

金田正一から鈴木啓示の時代はその呪文で扉は開かれたかもしれませんが、もはやそんな時代はとうの昔に息絶えました。

続きます。