「ライト級に上げてから精彩を欠いている?そう思われているとしたら悔しい。右肩の故障が治らないだけなのに。思い通りに肩が動けば…」。

試合前会見でウクライナのハイテクが漏らした言葉は、多くのメディアやファンに「言い訳」と見られていましたが…。
 


「ホテルカリフォルニア」をBGMにクロラが入場。

ロマチェンコの入場前に流された「セブンネーションアーミー」はボクシングでは亀海喜寛が解説していたようにGGGの入場曲でお馴染みですが、昨年のサッカーW杯でゴールの度に流されていたようにサッカーの試合で定番です。
試合中に「お〜お、おお〜お…」と声を揃えてセブンネーションアーミーを歌ってたのはクロラのファンでしょう。

第1ラウンドのゴング。 「手数と体格で押し込みたい」と語っていたクロラは作戦を変更したのでしょうか?両者様子見のまま最初の3分間が終了。 手数でロマチェンコ。10−9。

第2ラウンドはロマが攻撃を加速。それでもクロラは前に出ない。ロマ20−18。

第3ラウンドはロマがさらに攻撃のボリュームを上げる。クロラは作戦変更したわけでも、序盤を様子見に費やそうとしていたのではありませんでした。前に出れなかったのです。

ロープに詰めたロマがアングルの見本市のようなパンチをまとめると、ジャック・リースがロープダウンの判定。ロマは勝利と勘違いしてコーナーポストに登りましたが、リースはダウンのゼスチャー(ストップなら両手を交錯させるか、片手を振る)をハッキリしていました。

インスペクターも試合終了と勘違い。第3ラウンドはクロラがゴングに救われる形で終了。ロマの30−26。

第4ラウンド、60秒のインタバルでもクロラのダメージは全く回復していません。 ハイテクからジャブ、ストレート、フック、アッパー、あらゆるパンチがあらゆる角度で放たれます。

45秒過ぎ。クロラの耳からテンプルを舐めるような撃ち下ろす右フックでフィニッシュ。パンチの百科事典のような試合の最後を締めくくるにふさわしい、並のボクサーでは打てない角度とタイミングの右でした。 
Final Punch Stats
FIGHTERTOTALJABSPOWER
Lomachenko72 of 249 (29%)14 of 112 (13%)58 of 137(42%)
Crolla12 of 96 (13%)5 of 45 (11%)7 of 51 (14%)
-- Courtesy of CompuBox

パンチスタッツでクロラは96発放って12発を着弾させていますが、その数字以上に何も出来ませんでした。

勝利者インタビューでロマチェンコは開口一番「肩を完全に治してくれたドクターに感謝する」と 語りましたが、確かにフィニッシュパンチは右肩に故障を抱えていては打てないパンチのように見えました。

ロマチェンコにとってクロラのスタイルはオーダーメイドだと戦前から言われていましたが、それを差し引いても強かった、ひたすらに強かったです。

次の試合については「マイキー・ガルシアが135ポンドに落とせるなら」と、メガファイトも口にしたロマチェンコ。

この両者の激突は「マイキー有利」と見られていましたが、マイキーがエロール・スペンスに完敗、今日のハイテクの出来を見てしまうと、オッズも予想も逆転しそうな気配です。

それにしてもロマチェンコ。なんというロマチェンコ。

「ライト級での試合内容だけならPFPキングじゃない」。

そうも思っていましたが…テレンス・クロフォードやカネロ・アルバレス、オレクサンダー・ウシク、スペンス…彼らと比較しても、明らかにモノが違いますね。

正常に機能したウクライナのハイテクを止めることが出来るボクサーなど、この世にいるのでしょうか?