ゲンナディ・ゴロフキンvsカネロ・アルバレスの「世紀の再戦」。

両者の意地が激突する素晴らしい消耗戦でした。 

公式のジャッジは115−113 が二人、114−114のドローが一人。三人には、1ラウンドの評価差しかない、精度の高いジャッジだったと思います。

が、しかし…。 

ESPNのコメンテーター、ステファン・A・スミスは「左ジャブを有効に使っていたゴロフキンが7ラウンドを取っていた。彼の勝利だ」と主張。 

戦前、カネロ勝利を支持していたテディ・アトラスも「体格差を活かして、長い距離からジャブを指して空間を支配していたのはゴロフキンだ」と公式ジャッジを強く否定しています。
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「勝ったのはゴロフキン!」と判定に疑義を唱えるアトラス(手前)とS・A・スミス(後ろ)。

試合を中継したHBOは、カネロが支配していたはずの前半6ラウンドでも57−57のイーブンとスコアし、最終的には116−112と明白にGGGを支持。

ESPNのダン・ラファエルとリング誌も114−114と、GGGのジャブを評価してドローと採点しました。

ボクシングの採点で最も重視されるべきは「有効打」です。

左ジャブではありません。

そして、WOWOWのオープニングでも説明されているように「有効打は与えたダメージで判定する」のです。

これは、米国はもちろん世界のどの国のコミッションでも共通です。「左ジャブを有効に使っていた方が勝ち」なんて採点基準は世界中、どこを探したってありません。

今回の試合では、両者ともに決定的な場面は作れなかったものの、「ダメージを与えた有効打」は12ラウンド36分間に渡って一貫して繰り出されたカネロのボディブローでした。
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パンチの精度、パワーパンチでカネロが上回った一方、ジャブだけで見ると118発と59発、GGGはカネロの丁度2倍ものジャブを放っていました。
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この試合で明白な有効打は、カネロのボディブローでした。多くのファンが「ボディでGGGをノックアウトするかもしれない」と予感しただけでなく、HBOの解説席でも指摘していたというのに、「それ(ボディの有効打)とこれ(採点)は別」ということでしょうか…。

確かに、ラスベガスでは特に21世紀に入ってから「左ジャブで試合をコントロールする」ことが、最もポイントを得やすいスタイルであり続けています。

これは、「ボクシング=スイートサイエンス(麗しい科学)」であり、酒場の喧嘩じゃない、という考えから、左ジャブで局面を解決・打開していくスタイルを美しい、つまりポイントに価値するという見方です。

「ボクシング=格闘技、高度な喧嘩」という日本的な考えでは「どっちが勝ったか=どっちが強かったか」です。つまり、ダメージを与えた方の勝ちです。

今回は、公式のジャッジが〝ラスベガス〟に流されなかったのが幸いでしたが、「ダメージよりも左ジャブを評価する」なら、それを明文化すべきです。そして「有効打かどうかは与えたダメージで判定する」の一文を削除すべきですね。

WOWOWも「ラスベガスはボディを評価しないから」と諦めるんじゃなくて、「それ、おかしいでしょ」と指摘すべきです。WOWOWは、パッキャオvsマルケス戦でパッキャオの大差判定勝ちを支持したものの結果は2−0の僅差だったときも、「素人採点ですみません」みたいにお通夜みたいな雰囲気になりましたが、ちゃんと自分たちの見方を主張すべきです。

「ダメージで測る有効打」で採点するのが正しいのですから。左ジャブの数が多いとか、攻撃には結びつかないが下がりながらパンチをかわすボクサーの方が、前に出て攻めるボクサーよりも評価されるとか、絶対におかしいですから。