暑さと、そして目を背けたくなる厳しい自然に翻弄された季節が終わって、秋。ボクシングシーズン到来です。

来週のゲンナディ・ゴロフキンvsカネロ・アルバレスをメインディッシュに、9月は豪華なカードが続きます。

14日に世界戦のリザーブ選手として試合を行う岡田博喜、24日の木村翔vs田中恒成のビッグファイトなど、プライムシーズン真っ盛りのボクサーもいますが、ローマン・ゴンザレスや井岡一翔、ダニー・ガルシア、ショーン・ポーターのように負けたら終わり、最戦線からの撤退を余儀なくされる生き残りを迫られたボクサーが目立ちます。

🍁ダニー・ガルシアvsショーン・ポーター。肘と拳の負傷でブランク中のキース・サーマンが返上したWBCウェルター級王座の決定戦。そのサーマンに惜敗している二人の激突です。

舞台はニューヨーク、バークレイズセンター。戦前のオッズはガルシア1.61倍、ポーター2.37倍。約2−1でガルシア有利と見られていました。

序盤3ラウンドで〝スウィフト〟ガルシアのスピードが主導権を握ったかに見えましたが、〝ショウタイム〟ポーターが4ラウンドから盛り返すシーソーゲームに。

それにしても、ポイントを振り分けにくいラウンドが12ラウンド終了まで続きました。いい試合でしたが、両者ともに決定力が足りません。

サーマンも絡めたこの3人は、テレンス・クロフォードやエロール・スペンスJr.相手にもいい試合を見せるでしょうが、最近ではデボン・アレキサンダーやティモシー・ブラッドリーのような苦々しい塩分を感じさせるファイターです。

あと少し、ほんの少しだけ勇気が足りない。

公式のジャッジは ポーターの3−0。116−112、115−113×2。逆の目でも納得出来る内容でした。

ESPNのダン・ラファエルは、114−114のドローをつけてますね。

どちらが勝者でも良い内容でしたが、CompuBoxのパンチスタッドでは、ガルシアが472発中168発を着弾(36%)、ポーターは742発中180発(24%)。パワーパンチではガルシア304発/139発(46%)、ポーター544発/134発(25%)。精度ではガルシアが明白に優勢でした。

ガルシア「勝ったと思った。でもこれがボクシングだ。ポーターは手数が多かった。それでもクリーンショットは私が上回っていたはず。今はゆっくり休みたい」。

ポーター「このタイトルの意味は大きい。とにかく前に出て重圧をかけ続けることが出来た」。

リングに上がって新王者ポーターに詰め寄ったスペンスJr.「今、お前がガルシアに勝ったように、次は私がお前に勝つ。ウェルター級最強は私だ。この階級を統一するためにポーターと戦う」。亀田和毅はこの試合を、このシーンを見たでしょうか?彼は、もっともっとスマートにならなければなりません。

クロフォードとスペンスJr.のPFPファイターに、生ける伝説マニー・パッキャオ、怪我で離脱中のサーマンと今尚タレント豊富な階級だけに、この二人にとってはまさにサバイバルゲームでしたが、生き残ったのはポーターでした。

報酬はガルシアが125万ドル、ポーターが100万ドル。



 💐井岡一翔vsマクウィリアムス・アローヨ。井岡にとって再出発、重要な一戦でした。

3ラウンドに〝らしい〟ワンツーでダウンを奪っての完勝。

井岡のボクシングで抜きんでているのは攻防の一体感とスピードですが、それ以上に注目は「減量苦が全くない」という軽量級では珍しいボクサーだということです。

これまでの減量では直前に水抜きしてリバウンドは10kg前後とけして小さい数字ではありませんが、他のリバウンドボクサーとは明らかに違います。

さらに115ポンドリミットの今回は食事制限はほとんどする必要がなかったと言います。

減量苦で有名な井上尚弥や比嘉大吾が、ゲッソリして計量に臨んでリングに上がるのに対して、井岡はナチュラルに近い状態でゴングを聞くということです。

〝自然体〟の井岡がジュニアバンタムでも、トップレベルにあることが十分に証明されました。

次が世界戦なら、順当ならWBC(シーサケット・ソールンビサイ)です。ONEの興行となると、シンガポールかマカオか上海か、はたまたバンコクか。もちろん、大阪も有力候補です。

井岡のファイトマネーは日本時代の10分の1にも満たない2万5000ドル、ウィリアムスは5万ドル。

カネを無視して戦う姿勢は素晴らしいし、尊敬に値しますが、それはずっとは続けてはいけません。軽量級の価値がわからない無知蒙昧の米国人には猫に小判です。

「強豪と戦う」という意味では海外のリングの方が実現しやすいとはいえ、軽量級ボクサーが海外リングを拠点とするのは現実的ではありません。

井岡が目指す四階級制覇を一足早く成し遂げ、PFP1位になったローマン・ゴンザレスのキャリアハイが60万ドルです。数字だけなら約40年前の具志堅用高や渡辺二郎と同レベルです。しかし、為替を勘案すると話になりません。

6月9日に開催されたレオ・サンタクルスvsアブナル・マレスの再戦で、サンタクルスは100万ドル、マレスは75万ドルを受け取りましたが、彼らはメキシカンとメキシコ系米国人のスター選手、例外中の例外です。

ジャーメル・チャーロ(75万ドル)vsオースティン・トラウト(25万ドル)をセミに従え、中量級の彼らよりも多くの報酬を手にするような存在には、メキシコ人になるしかありません。

海外で名前を売って商品価値を上げ、日本に強豪やビッグネームを呼んで日本人選手も対戦相手も米国など海外では手に出来ない報酬を獲得できる…そんな流れが出来るといいのですが。

※井岡は、スポンサーのサンキョーから勝利ボーナス、TBSから放映権の一部を手にするので、実際の取り分は1000万円は超えるでしょう。井上尚弥のケースと同じ〝ジャパンマネー補填〟です。同じ軽量級でも日本で無名の木村翔とは違います。

WBO世界王者決定戦に出場したドニー・ニエテスは、同胞のアストン・パリクテとの決定戦のリングに上がり、まさかのスプリットドローで、井上が返上した王座は空位のまま。

スコアカードは116−112(パリクテ)、118−110(ニエテス)、114−114。割れすぎですね…。