“プロボクシングの金子ジムは、世界ボクシング機構(WBO)スーパーバンタム級6位で37歳の大竹秀典(金子)が、8月25日に米アリゾナ州で同級王者のアイザック・ドグボー(ガーナ)に挑戦すると発表した。横浜市で記者会見した大竹は「不可能と思われることを可能にしたい」と抱負を語った。

大竹は2度目の世界挑戦。2014年11月に英国で初めて挑んだ際は判定負けしている。今年7月で37歳になり、王座獲得に成功すれば長谷川穂積が持つ35歳9カ月の男子の国内最年長記録を更新する。大竹の戦績は36戦31勝(14KO)2敗3分け。ドグボーは19戦19勝(13KO)。=毎日新聞=
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いよいよ、明日に迫った大竹の挑戦。

“I would like to continue boxing even after the bout. I cannot lose this fight in order to avoid causing my retirement.” この試合を引退試合にしたくない。まだまだボクシングを続けたいんだ。そのためにもこの試合には絶対に負けられないんだ。(リング誌のインタビューに答えて)

固い決意でアリゾナ州グレンダーレのヒラリバー・アリーナのリングに上がる37歳の大竹ですが、14歳年下のガーナの新星を相手に完全アンダードッグです。

ウィリアムヒルのオッズも、滅多に見ることの出来ない数字を叩いています。

大竹の勝利は12/1、12倍。この数字はある程度は予想できました。

しかし「21世紀のアズマー・ネルソン」と高い評価を得ているドグボーの勝利はなんと1/50!1.02倍なんです。

1/50!世界タイトルマッチではまず見ることの出来ない数字です。

それにしても、ガーナ・アクラ生まれのドグボーの評価は非常に高いものがあります。

確かにここまで無敗、19戦全勝13KOですが「誰に勝ったのか?」となると、今年4月にジュニアフェザー級のWBOバージョンを奪ったジェシー・マグダレノだけです。

このドグボーを、リング誌は FIGHTER OF THE MONTH に選出しました。
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アイザックの情け容赦ないスタイルは古き良き時代の格言・金言を呼び起こしてくれた。〝Pressure busts pipes〟(プレッシャーは小細工を吹っ飛ばす)、〝Will beats skill〟(根性は技術を打ち負かす)、〝You can run, but you can't  hide〟(逃げることはできても隠れることはできない)。

現時点のアイザックはアズマー・ネルソンのような不朽の名作ではない。また、アイク・クオーティのような鋭く洗練された技術も持ち合わせていない。しかし、ネルソンもクオーティも最初から完成されていたわけではない。

なによりも、アイザックにはガーナのボクシング史が脈々と受け継いできた誇り高い戦士の血が流れている。

つまり、我々がこれから目にすることが出来るのは不朽の名作の制作過程なのかもしれないのだ。  〜リング誌2018年8月号〜
 
マグダレノ、確かにいいボクサーです。あのドネアに勝ったのですから。しかし、そのドネアはプライムタイムをとっくに過ぎていたことも忘れてはいけません。

そもそも、このマグダレノも兄ディエゴ(「内山高志の最強の敵」と警戒されたこともありました)とともにかつては「天才兄弟」ともてはやされた典型的な過大評価のサンプルでした。

そんなマグダレノとシーソーゲームを演じたドグボーを「不朽の名作」と見るのは、いくらなんでも時期尚早です。

ドグボーは12歳からボクシングを始め、アマチュア実績も豊富ですが、ロンドン五輪に出場するも初戦で清水聡に敗れています。五輪で銅メダルを獲得した清水が弱いわけはありませんが、少なくとも現時点では「測定不能の怪物」ではありえません。

「Brave-Son(勇敢なる息子)」と渾名される23歳の野生は、アフリカーナへの劣等感が敏感な欧米や日本がよく陥いる過大評価なのか、それとも評判通りの「21世紀のアズマー・ネルソン」なのか、それをはっきりさせてくれるのは時計しかありません。

その時計の針を、37歳の日本人が早回ししてやりましょう!

〝Pressure busts pipes〟〝Will beats skill〟〝You can run, but you can't  hide〟。今度は大竹が、その米国の格言とやらを「不朽の名作候補」と世界に見せつけてやるのです。

このたった1年ほどの短い時間でも、木村翔や伊藤雅雪が、世界が勝手に決めつけた大差のオッズを蹴散らしてくれました。

大竹選手、出番です!